オルシェルアに住まうデーモン
オルシェルア王国 大広場
「これよりオルシェルアの新たな歴史に刻まれるであろう…衰退の時は終わりふたたびオルシェルア帝国として始まるのだ!」
「「「ルフェール皇帝陛下万歳!」」」
「「「オルシェルア帝国万歳!」」」
「「「うぉおお!!」」」
だか突然黒い雲が現れゴロゴロと雲行きがあやしくなってきたのだった…そして。
「オルシェルア帝国ぅ~?オルシェルア王国じゃないのか?アタイがこの世で一番消えてほしい名前が聞こえたなぁ~どういう事か教えてもらおうか!」
「まっまさか!」
「見ろ!広場のシルボルの銅像の上に…赤い髪の女が!」
「あの真っ赤な髪の毛…まさかランディ・フラクタルか!」
「あの!帝国を滅ぼした【救国の冒険者】だと!」
「イヤァア!」
「殺される!」
ランディと誰かが言った言葉に反応して大広場に居た国民が騒ぎ演説どころではなくなっていた。
「覚悟出来ているのであろうな?」
「ランディ・フラクタル!なにしに来た!」
「帝国至高主義者を皆殺しに来た!」
「くっ!我々の潜伏していた数千年が!」
「だが我々も貴様に対応する為に準備してきー」
「これの事かい?」
「そうだ!これが我々の切り札の撃…えっどうしてここにある!…貴様は誰だ!」
「この紋章に覚えはない?」
「星光花の紋章!そっそれは貴様まで乗り込んできたのか!帝国の裏切り者サニカ!」
「裏切り者ねぇ…私は皇族としての教育受けてないけど?…それに私は何度も言ってるけど皇族の血は引いてないから」
「貴様のせいで!」
「これだから嫌だねぇ~狂信者は…自分の私利私欲のためにしか動かないのだから、ティルクスは上手くやってるかねぇ」
「ババア!暴れて良いんだよな!」
「好きに暴れろアホ」
◇◇◇
「何でこうなったんだろうな」
『それは暴走機関車のランディが居るからねぇ仕方ないんじゃない?』
オレはルノカに乗り王宮の玉座を目指し爆進していた…ラセス?あのお馬さんはじいちゃんのペガサスの尻を追いかけて居ないよ。
セルクシアは本当に穏やかで従順で良いよな。
「城の中は人いないのはどうしてだろうな」
『ボクの嗅覚でも人間の匂いがしないよ』
「貴族とか居ると思ってたんだが」
『だからこそ余計嫌な感じがするよ、デーモンの匂いがするし、サニカがティルクスにサニカが保管してる宝刀のひとつ【春一文字・花吹雪】を渡すんだもん』
【春一文字・花吹雪】は刃の部分が薄紅色の刀の黒刀である…これはばあちゃんの友人が命を掛けて作った四本のうちのひとつらしい…オレが握った武器の中でもかなり重い…オレに使いこなせるか?
「これで切れってか、オレは一度もデーモンと戦った事無いぞ」
『昔はいきなり実戦の公爵級デーモン切れとか魔法で滅ぼせってティルクスの現状と同じことしてたよ』
「マジかよ」
『ボクは手助けしか出来ないから、サニカの指示でね』
「ここの時間の経ち方は特殊何だもんな」
『外の時間より早く経つよ、外では一週間しか経っていないのにオルシェルアでは1ヶ月経つという時間のズレがあるからね』
「早く国王の元へ急がないと」
『ティルクス着くよ、覚悟は良い?』
「頼む、このまま突き進んでくれ」
『邪魔な扉だねぇ…吹き飛びなよ【蒼獣の風爪】』
ルノカが厳重な扉を破壊し城の大広間にたどり着いたそこでは異形の物体が三体転がっていた。
『あれは…ティルクスあれはデーモンの中でも上位の奴で公爵クラスだよ』
「ルノカなら何体狩れるんだ?」
『ボクなら引っ掻いただけで終わるよデーモン1分で5体かな』
「…やるだけやってみるよ」
『ティルクスが怪我しないように【風守り】…これでよし』
「ルノカも過保護だよな」
『そりゃあね、ボクの遊び相手が減るのは嫌だし…それにそろそろ村の人口増えそうだしね』
「えっ」
『…ティルクスあの異形の物体は切っちゃ駄目だよ?』
「話をそらすな…わかったルノカの警告は聞くよ」
【ほう…まさか【狂犬のフェンリル】と相まみえることになるとは】
『今回はボクは相手しないよ』
【と言うことはそこのガキか】
「オルシェルアの王はどこにいる」
【何処だろうな?…時は満ちた我々の主【悪魔王】のひとりであらせられる【色欲のピプルクルセル】様を召喚出来ると言うものです】
『げっ!あいつキモいんだよね』
【貴様!何をする!】
「ちっ」
オレは話し込んでいる悪魔に気付かれないように影移動して切りつけたんだが失敗したが。
「ばあちゃんの刀どれだけチートだよ、振っただけで城が斬れたよ…玉座壊れたな…」
『ティルクス大丈夫、この城から人間の匂いしないから』
【貴様!ワタシを殺すきか!その刀は!!】
「そのつもりだけど」
【早く召喚しなければ!】
「そうはさせない秘技【風纏】!」
風を纏わせた刃を振って離れている者を切る長距離技を使ったが避けられた。
【ピプルクルセル様!我々の願いを!聞きまたえ!今一度現世に!【悪魔再誕の儀式】発ど…グっ何だと…!影を刃に変えただと…】
「【風纏】は囮で本命は【影の刃】だよ」
『サニカの戦いかたを少し真似たのか』
「ばあちゃんの速度と精密さは出来ないけどな」
『それでも充分だよ…ティルクス場合は刃じゃなくって鎌だね』
影を刃の形にするの疲れるんだよな…確かに変な風に曲がってるから鎌に見えるな。
「ルノカ足元からとんでもない魔力を感じるんだが」
『肉塊が無くなってる…て事は』
「まさか…やっちまったか」
『…やっちゃポイね』
「逃げるしかないよな」
『逃げても無駄だから逃げない方が良いよ、逃げない方が安心だからね』
ルノカの無駄だよ発言によりオレは逃げ遅れたと思っていたがルノカの『逃げない方が安心だよ』の意味がすぐに現れたのであった。
大広場に大きな魔法陣が輝きだして俺でも感じたことがない濃密な魔力が解き放たれた。
◇◇◇
「あー…楽しかった」
「ひとりも逃がしてないー…!」
「全員屠ったよ…国民には手を出さなかったこれで良いのだ…!」
「この魔力は…あ~…厄介なのが甦ったね…」
「ひっ!この魔力はピプルクルセル!この国の者の貞操が奪われる!」
「まぁ…私が前回徹底的にやったからそこまでの元気はないと思うが…」
「サニカ様アタイを助けて…」
「こんな時に媚を売るな全く…仕方ない私たちも向かうか」
「行きたくないお!」
「行くんだよ馬鹿、行かない方が逆に危ないから」
「何でだ!」
「アイツの部下に捕まって大変な目に会うぞ?」
「着いてきます!」
「現金な奴だな相変わらず」
サニカはランディの態度に呆れながらもランディを連れて王宮に向かった。