クレイバール島の亡霊さんたち
【クレイバール島】
《大広場》
「……郁朔、どうした?」
「オレ様たちを縛り上げるとはどういう事だ?」
「この島に絶対に一人は残る強者が居なくなった今、この時を狙っていたのだよ」
「何がこの時を狙っていたのだよだ…後でシバく…」
「鬼姫…」
「悪いわね…私の一族の復興の悲願のためにここを使わせてもらうわ」
クレイバール島の空は茜色に染まり異常事態が起きているのを示し、大広場にはマジェリルカと詩子以外のクレイバール島に暮らす者たちが縛り上げられ一ヶ所に纏めて集められていた。
「血を広げたのは正解だったみたいね。その世界の重要人物の血筋に私の血を入れ駒とする…あの方が言ってたけどうまく行きすぎて怖いわ」
「……歴代の六月一日家の跡取りどもが雁首揃えて生き返っているのは【霊園】管理者の権限だな?」
「そうね」
「………」
「ベラはスゴいわねぇ」
「わくわくしてるわ」
「さっきから怯えて無口だと思ってたらそっちのほうかい」
「流石はオレの妻だな…肝の据わり方が半端ないな」
「ずいぶんと余裕ね?」
「そりゃ…子供に関しては異世界に居るし、オレらが死んだとしても血は残るからな」
「負け惜し『ちょいと失礼しまーす』
六月一日家の跡取りその1がリマイスの父に危害を加えようとしたところにドコからともなく斬撃が飛んできて跡取りその1を真っ二つにした。
「誰だ?!」
『いやー楽しいことしてんね?』
「【四季・永劫回帰】が宙に浮いてる?!」
「……あらあら今回の騒ぎで【霊園】の輪廻の輪に逆らう亡霊さんたちが目覚めたようねぇ…」
「なんだと?!管理者!どうなってる?!」
『管理者ってこの人のことですか?』
突然、タコ殴りされボロ雑巾の様になっている鬼人の管理者がギュンと猛スピードで宙に現れて戸惑い始めた。
「管理者!?」
『まさかクレイバール島の乗っ取りをこの目で見ることになるとはオモロッ』
「オモロッじゃないからな?ご先祖さんたち」
『お前らも平和ボケしすぎだゾ。今年の夏祭りの頃から何か企んでたみたいだゾ?』
「マジでか」
「それにしてもよく【四季・永劫回帰】を扱えますね」
『いやー…まさかの【四季・永劫回帰】にお呼ばれしたんだよ…島の窮地だから使えってさ』
「悠珂殿の【大剣】は?」
『悠珂先生の大剣なら空に浮いてオートマチックで動いて外からの侵入者の転移門を切って切って切りまくって来れないようにしてるわww』
亡霊の言葉を聞いたその場に居る者たちは空を見上げるとバッサバッサと転移門を破壊しているが、転移門の数が増えると悠珂の大剣は分裂して7本の剣になると物凄い動きでさらに切り始めた。
「鬼姫、まだ早かったかも知れない」
「恐縮するな!郁朔!異界の援軍が来る手はずになっているのだぞ!?」
「おー…マジで反旗を覆してやがるな」
「そっその声は」
「おう、鬼姫。まさかホントにクレイバール島の転覆をやるとはスゲーな。
クレイバール島に来た当初からなら…よく我慢したなぁ」
悠珂は賀実から借りた眼鏡を掛けニヤニヤした顔でクレイバール島の島民たちですら見たことのない槍2本を担ぎ利き手に刀を持って現れた。
「……他の強者は」
「あー...ラブナシカと賀実ならここには来ないぞ?ラブナシカはキャンピングカーでマジェリルカと詩子とフリルデーモンと共に子供たちを見てるし、賀実も上位のフリルデーモンと共に玖穏を抑えてるからな」
「ならっ」
「まっ…恩を仇で返すなら容赦しねえよ…オレもお前と一緒で1000年前以前より研鑽は続けているしな」
悠珂の言葉を途中まで聞くだけで動いた鬼姫だったが鬼姫の目に写る景色はぐるりと回転して地面に落ちていった。
「え…」
「【静平一切】という技でオレの動き見えなかったらまだまだだということだ。
お前の心情を最後まで察してやれなかったし…島の仲間として過ごしたからこそ、せめて痛みのない技の一撃で逝くといい」
「……増…援…」
「たぶん来ないぞ。冥界の使者が動く案件らしいし【本物の紅凰】が暴れ狂ってるから来れないんじゃないか?」
悠珂は六月一日家の跡取りどもの方に目線を剥けた。
「……賀実の眼鏡便利だなー。魂の判別すら出きるのかよ。
元々の六月一日家の跡取りの魂とは別の魂が入ってやがるな?
身体を置いていくならば見逃してやるから跡取りどもの身体をおいてさっさと去ね。
然もなくば…痛みを伴う方法で魂を抜くぞ?」
六月一日家の跡取りの身体を乗っ取っている者たちは悠珂に向かって襲いかかったが悠珂によ...って宣言通りにかなりの痛みを伴う方法で魂を抜き取ってラブナシカに渡された入れ物にねじ込んだ。
郁朔に関しては気絶させて簀巻きにして、捕まっている島民たちの拘束を解いた。
「……ひとつ質問が。悠珂先生はどれだけの実力を出しましたか?」
「んー…五分くらいだな」
「アレで五分かぁ」
「まだまだ研鑽中だかんな。それに不老不死にはなったが、人間やめずにここまでやってんだから凄いだろう?」
「どうだか」
「助けに来たというのにひでえなおい。お前たち何で抵抗しないんだよ?
抵抗できたろうに」
「……隙を着かれたというか…なんかのドッキリ何じゃないかと思ってだな」
「ドッキリかよ」
「悠珂殿、郁朔はどうする?シバこうか?」
「操られてる可能性とか調べるから気絶させてるが…目覚ましビンタするならしていいぞ。
ふざけたことを抜かしたら気絶させてくれ」
「了解」
悠珂は空を見上げるといつもの蒼い空に戻っているのを確認してラブナシカたちに連絡を取った。
そして紅凰様ご本人もラブナシカたちが来るタイミングでやって来た……お気に入りの金棒を真っ赤に染めて。
それを見た亡霊たちは役目を追えたとばかりに楽しかったぜとジェスチャーして去っていった。




