1000年のお話 日帰り旅行~ハルケンファ編~
【ハルケンファにある神獣の森】
《ウォーモクイレイク》
子供達は釣竿を持ち真剣な顔立ちで湖畔で糸を垂らして釣りに勤しんでいる。
譜月と蓬に護衛を頼み大人たちは少し離れた場所に移動した。
理由は釣りを始めてそうそうに賀実がヨシュア国王陛下のご子息であるシュナイゼル王子を釣り上げてしまったからである。
シュナイゼル王子は水槽にぶちこまれている。
「……どうしよう」
「どうしようって…ねぇ」
「フフフフフッ……流石、僕の甥だよ」
「血筋なのかしらねェ…デジャブを感じるワ」
「テティオに関してはアシュテメリカの方が色濃く出てるから心配はないと思うよ?」
「孫子に出たら嫌だなっテ」
「良いじゃないか。僕の孫子でもあるんだから」
『アシュテメリカ伯母さま、そこのストーカー粘着野郎な伯父が申し訳ない』
「テティオから聞いてたけれども…本当にこの子毒を吐くわね」
『全ての責任を公爵家に婿入りするはずだった父とその影響で結ばれず女公爵になられたシンシア様に放り投げたクソ野郎ですので』
「ひぇー…シンシアに相当、怨まれてるなぁ…シンシアと甥ここまで言わせるとは」
「当たり前なのヨ。それともう貴族ではないのなだから彼女のことは公爵様と呼びなさイ」
『アシュテメリカ伯母さまとテティオ兄様は怨まれてないですのでご安心を。
ストーカー野郎に関しては婿入りするにしても全て自分で清算してからとかやりようがあったのにやらなかったから怨まれてますし』
「いや~止められなかったね!」
アッハハハと悪気なく笑っているビリシス(テティオの父の名前)を見ているお魚姿の甥と賀実は呆れている。
「…アシュテメリカとビリシスを引き合わせたのは私じゃないからその辺の話しは詳しく知らんのよね。知ってるの悠珂だから」
「山本先生とラブ校長先生には悪いけどワタシは語るきはないわヨ?」
「僕はその時のテンションがハイになってたから覚えてないんだよねぇ」
『だからクソ野郎なんですよ…追いかけるためと我が国の宝剣を持ち出して本気で追いかけたのですから』
「あっヨシュア国王陛下に渡すの忘れてた」
「何を?」
「ビリシスが持ち出したフペルファッバ王国の宝剣の修理が終わったからヨシュア国王陛下に返還してほしいとリジエトから渡されてたんだった」
『修繕出来たんですか?!』
「やらかしたらしいという話を言伝てで軽く聞いたくらいだけど、ボロボロになってた宝剣を見たらヤバイことやってるのはわかったからね…リジエトと素材集め苦労したけど全盛期くらいには戻せたと言ってたよ」
『全盛期くらいには戻せた?』
「神剣とかは完全には人工的に完全な力を取り戻せないから後は新生した宝剣と王族たちで研鑽を続けるしかないと言ってたよ。
…シュナイゼル王子殿下、いつになったら元のお姿に?」
『母から引き継いだ力を今日、始めて使ったのでわからないです…宝剣が返還される日が来るなんて…良かった』
「…宝剣の話を置いといて、この世界の海にある大国の人魚姫がフペルファッバに嫁いで来たのかしら?」
『えぇ、本来ならそこにいる元王太子の要望で選ばれていたので父上の妻になる予定ではなかったのです』
「……私はやらかしたと聞いたくらいで詳しい話しは聞いてないけど…場合によっては処さなきゃいけない案件だったりするのかな?」
「そんなことはないですっ!大丈夫です!話し合いは済んでますっ!」
『山本先生殿、永久に父と母とシンシア様から怨まれ続けるとお馬鹿元王太子が言い、それ相当の罰は既にその身に受けて話し合いは済んでます』
「…シュナイゼル王子の親族たちや関係者たちが納得してるなら目を瞑るけども。
アシュテメリカ、もし処して欲しいとなったら言いなさいね?」
「そうなったらお願いするワ」
「確かに迷惑をかけたけど謝罪行脚の旅をして謝ったよ?個人でちゃんと」
「…………」
そんなこんなでやいのやいのしていると湖畔で糸を垂らしている子供達は大きい魚を釣ったー!などの騒ぎで大人たちが話し込んでいるのに気付いていないようである。
騒いでいる子供達の元へラブナシカたちは向かっていった。
「どうしたの?騒いでるけど」
「山本先生たち!玖穏がスッゴいでっかいの釣った!!王子様じゃね?!」
「どれかしら…アタシにも見せてちょうだい」
大人たちは一斉に今もビタンビタンと地面の上で跳び跳ねている巨大な魚を見るとルミルチルが張った結界に阻まれ水中に逃れられないようである。
『ヌシじゃねえかっ!!』
「えっ…魚がシャベッタァアア!」
『ここ50年は魚釣りの名人たちですら釣れてなかったのに!釣ったよ!』
「…やはり、ミズキ母特製の釣竿はチートだと言うことです。非力な僕ですら釣り上げましたし」
「…ナイジェル王子の口調が粗暴に」
「えっ王子様なの?そのお魚さん」
「子供たちスマナイね。実は少し前に私が釣り上げてたんだ」
「なんだ山本先生が釣ってたのか」
『ヌシ…昔ヤンチャしてたおばあ様が釣り上げて以来釣られてなかったのに…』
「なんか王子様、明後日の方向見てないか?」
「それだけヤバイことをしたってことでしょ?」
「まっ取り敢えず王子様を釣り上げたら国王陛下に知らせようぜ?」
「そうね。ジェサニア、宜しく」
「ミトミも狼煙魔法使えるだろうが」
「あたしが使うとワーオな煙がたまに出て来ますけど?」
「…わーたよ」
ジェサニアが狼煙を上げ暫くして豪華な馬車が湖にやって来て麗しい馬から降りたキレイな女性騎士が馬車の出入り口を開けると国王陛下と王妃様らしき美しい女性が現れたのであった。
アシュテメリカ・レナ・フォルサンドラ
種族 ハイビースト(狼種)
性別 ♀
現在 37
職業 医者
一人称 ワタシ
家族構 夫と息子
今代のクレイバール島のお医者さん
夫ビリシスとのファーストコンタクトの出会いは解くに問題なかったが、その後にひと悶着あったもようであのベルネクローネと天藍ですら口を塞いでいるので賀実が知ったら処すレベルな事件は起きていそうである。
夫との関係性は良好的だそうだが尽くされ過ぎて怖いし、ビースト吸いなどしつこいので時々賀実の家か薔薇色のお宿にテティオを連れて泊まりに行く。
譜月とは狼として共通点が多いのか、かなり仲が良いし、むしろかなり慕っている。
ビリシス・ルドヴィ・ルムナイル・フォルサンドラ
種族 人間
性別 ♂
現在 39
職業 主夫しながらロニセラの牧場のお手伝い
一人称 僕
家族構成 最愛の妻と可愛い息子
元とある異世界の王太子だった。
妻アシュテメリカとの出会いは悠珂と共に腕っぷしを鍛えるために異世界を旅をしている所に神獣の森の視察に来てたところで出会った。
最初は旅人として挨拶を交わした程度だったが視察で来ていた森で王子暗殺事件が起き、それを止めたアシュテメリカがハイビーストの姿に変身した瞬間とその姿に興奮し心の奥深くに隠していたケモナーが暴走し、悠珂とベルネクローネですら「ギャーー!」と叫ぶことをした。
そしてそのまま悠珂に「この世界やベー」と回収されたアシュテメリカとベルネクローネはそのまま行方をくらませた(違う異世界へ転移したことで)。
紆余曲折あり婚姻を結ぶことが出来たが。
内容がヤバすぎて賀実にバレたら確実に一度は死ぬ一歩手前まで〆られるのが決定されてるのでビリシスも悠珂もベルネクローネも天藍も墓場まで待っていくことを話し合い決めている。
ヨシュア・ルイス・オムタナート・フペルファッバ
種族 人間
性別 ♂
現在 35
職業 国王
一人称 私
家族構成 人魚姫の妻と息子と隠居してる父と母
フペルファッバ王国の国王陛下で結婚と同時に王位を継承する習わしで国王となった。
兄のやらかしで妻の国と戦争になりかけたが、追跡者が居ないのは知ってたし今回の原因になったので悠珂たちも戦争回避するのに尽力したので兄以外は怨んでない。
婚約者であった当時公爵令嬢だったシンシアに申し訳ないと謝ったが政略的に結ばれた婚約者だったし今回の件はあの馬鹿が全部悪いと言われ公爵家から赦されている。
妻である人魚姫には全てを打ち明けた上で婚約したので割りきった夫婦になるかとおもわれたが婚約してゆっくりとふたりで愛情を育てていったのでとても良好で月に一度のデートでイチャイチャしてる。
シュナイゼル・シーア・フペルファッバ・K
種族 人間
性別 ♂
現在 9
職業 王太子様
一人称 私
家族構成 母と父と隠居してる祖父母
時期国王となることが決められている王子様。
人間として生まれたが人魚である母の血の影響で水のなかで息が出来るのでサボる時に人間である世話役から逃げるのに国内にある泉に逃げ込み、その瞬間を国民たちに見られている。
今回の件もフペルファッバの国民の方に見られ報告され父である国王にバレた。




