1000年後のお話 日帰り旅行~ハルケインファ編~
【ハルケンファにある神獣の森】
《ウォーモクイレイク》
「「………」」
賀実とラブナシカは目の前の光景に目を剥いた。
何故ならテティオの母であるハイビーストのアシュテメリカの回りに【ハルケンファ】世界の神獣と眷属がひれ伏しているからである。
「流石テティオのママンだなぁ。異界の神獣の血を引くハイビーストの血脈は確かだと思い知らせるようにこの世界の神獣と眷属がひれ伏してる」
「か、母ちゃン」
『だからこの世界にあんまり来たくなかったのよォ~…囲まれるかラ』
「本当に異界の神獣と眷属がひれ伏すなんて…ごめんなさいね…アシュテメリカ」
「僕の妻はやはり最高だ…毛並み、大きさ、美しい瞳、何もかもがパーフェクトっ!
あっこの森に住まう神獣と眷属たちも最高だ!」
神獣と眷属にひれ伏されているハイビースト姿の母にウキウキな父を見るテティオと級友6名と引率者二名は冷静である。
「父ちゃン…自身の生まれた世界の神獣と眷属にひれ伏させるのをやらせて良いのかヨ」
「良いんじゃないかな?僕の妻は世界一だと言う証明になるからね。僕の可愛い仔犬ちゃん♡」
「オイラのハイビースト姿は犬じゃないゾ」
「フペルファッバ王国の元王位継承権第一位がとんでもない発言を言い放ちおった」
「何を言うのかね賀実殿。それだけ僕のアシュテメリカとテティオは「そういうのはいいからな?兄上。テティオと義姉上には兄上が迷惑をかけているようだ。
【完璧主義の清廉潔白】と呼ばれていたと言うのに...何故こうなのだ…」
フペルファッバ王国の現国王であるヨシュア・フェックス・フペルファッバが呟いた。
「ヨシュア、僕は元々こんな性格さ。本来なら隠し通すつもりだった。
でも運命の女神が僕に微笑んだのさ!アシュテメリカとのファーストコンタクト、もとい最高の出会いを!」
「駄目ダ。自分の世界にはいってるヨ」
「いつもこうなのか?テティオ」
「ううン、普段はごく普通の主夫だヨ」
「主夫…あの兄上が主夫か…」
「ビリーさんのアレさえなければ完璧な王族の理想のスパダリなのにねぇ…」
「そうですわね…」
『先生たちも眺めてないで異世界の神獣たちをひれ伏させるのを止めてちょうだイ』
「…神獣と眷属がひれ伏しているのをそろそろ止めさせないとか」
「賀実は動かなくて良いわ。アタシに任せなさい!」
ラブナシカが両手を大きく広げながらゆっくりとハルケンファ世界の神獣と眷属に近づくと神獣たちは尻尾を巻いてガクガクと震えだし、この世界の王族でさえも聞いたことのない怯えた声を出しながらフペルファッバの国王の元に逃げていった。
神獣たちが離れたのを見てアシュテメリカは人の姿に戻った。
「…私も神獣が絶対に出さないであろう怯えた鳴き声を初めて聞いたのだが」
「…………アタシ、威圧してないわよ?」
「知ってる。ラブは包容するポーズのカモーンてしてたけど逃げるのは本能なんだろうさね」
「校長先生はいつもムンムンですものね...」
「確かにな。近くで見ると圧スゲーもんな」
「うん…オーラを感じてるんじゃない?」
「…ブフッ…ふふフ」
「ふふっ…」
「こラ、テティオ、ミトミ。神獣さまと眷属たちとヨシュア国王陛下とラブ校長先生に失礼ヨ」
「アシュテメリカさん。今のは…今のは不可抗力よ…ふふっ」
「僕は怯えた声を出さずにそそくさと逃げると思ってましたが…そう来ましたか」
「玖穏も神獣相手にそそくさと逃げると言うなんて失礼よ…ごめんなさい。フペルファッバ王国の国王陛下様…」
テティオ、ミトミは笑いを堪え、玖穏の言葉にヘリオトープが詫びをいれ、ラブナシカの行動を観察しているルミルチルとジェサニアとリマイスの3人であった。
「今のはそこのお嬢さんがいった通り、不可抗力だろう、謝罪は必要ない。私も初めて聴いたのだからな」
「僕も初めて聴いたよ」
「……日帰り旅行と申していたが、そんな時に私からの依頼を受けてもらい申し訳ない」
「別に良いのよ。ヨシュア国王陛下の依頼は子供達に取っても良い経験になるわ」
「ラブ校長先生、ワタシはてを出さないわヨ?」
「ふふふ、構わないわ」
「アシュテメリカ、この森の良いところを隅々まで知ってるから僕とデ「森の動物たちに囲まれるから嫌ヨ」
「そんなぁ~」
「兄上の誘いを断るとはさすが義姉上だな。では…依頼を頼む」
「任せてちょうだい」
するとフペルファッバの国王は護衛の近衛騎士と共に森から去っていった。
ラブナシカは【針で釣らない優しい釣竿】を子供たちに配った。
「もし、これで釣れなかったら賀実が実力行使するから安心して糸を垂らしなさい」
「「「「「「「はーい」」」」」」」
「それじゃ、ヨシュア国王陛下のご子息でテティオの従弟である勉強をサボり、変化魔法で魚に変化した王子様を釣り上げるわよ!!」
「王子様以外の魚が釣れたらどうするの?」
「この森に住まう神獣や眷属たちは調節して食べて良いって言ってたから昼食として食べようか。
サイズによってはキャッチ&リリースでね」
ヨシュア国王陛下の依頼である【跡取りの王子様が勉強をサボり、魚に変化して《ウォーモクイレイク》のどこかにに潜んでいる王子の確保】を開始した。