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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
新生クレイバール島の暮らし
552/555

錬金術師としての道

【クレイバール島】


《賀実の家のダイニング》


「……そういえば」

『どうしたんじゃ玖瑶?』

「僕、譜月の遠吠え聞いたことないなと思って」

「何故に遠吠え」

「なんとなく?」



チラリと賀実は譜月の方を見た。



『我は遠吠えが苦手でな…吠えたことないな』

「えっ犬にも遠吠えが苦手なのいるの?」

「そもそも遠吠えしないワンコもいるからね」

「へぇー...」

『お主ら酷いのう…我は狗ではない、狼ぞ?』

「元は犬でしょうに」

『フム…玖瑶は遊んで欲しいみたいじゃのう?』

「遊ぶ暇はないです。錬金術師として研鑽をしなければ行けないので」

「錬金術師の研鑽を始めるとしてもまずは材料の採取からね?」

「えっそんなの聞いてないですよ?!」

「まだ君に言ってなかったもの。

島に潤沢に材料は在るけど君の場合は錬金術の根源足る理を理解してない節があるからそれを自分で気付いてもらわないとだから出先で言えと言われてたから今、言った」

「…………譜月、君をからかった事は謝りますので着いてきてくれませんか?」

『…着いていくのはありかの?』

「良いよ。一人で行かせたら採取先の孤島で迷いそうだし」

「止めてください。賀実が言うと事実になりそうで怖いんですから」

「それと冒険家セットを準備しておいたからリュックサックも持っていきなさい」

「…準備万端」



賀実からリュックサックを手渡された。



「採取用のナイフとかも入れてあるから」

「用意が良いっ」

『準備ができたら《クレイバールの浜辺》に続く階段前で集合じゃ。

集まったらゲートで移動するのじゃ』

「はい」

『あっ玖瑶とふーちゃんまって~』



蓬が賀実の肩から離れて急いで先に譜月の前にやって来た。



『蓬、どうしたのじゃ?』

『もしものための【玉】を持っていくの』

「玉?」

『えへへ、わたちの特性だからねっ』

『……ありがたく貰っておこう、それで蓬よこの玉はなにするためのやつなのじゃ?』

『身の危険を感じたら投げて使うの。半径なんメートル離れろとかの必要はないの』

「刺激で割れたりとかは…」

『大丈夫、この玉を作るのにラブちゃんに協力して貰ったの』

「『おぉふ』」

「気をつけてね」

『では玖瑶よ、先に行ってるぞ』

「こちらもさらに下準備してから行きますので少し待っててください」



譜月は先に出た。玖瑶も賀実に渡されたリュックサックにさらに必要な用具を詰めて準備して譜月の元へ向かった。



「蓬、あの玉に詰められてるのは毒ではないよね?」

『うん、毒じゃないの。ラブちゃんが用意した便利な種子をわたちの作った栄養たっぷりの水で包み込んだ物なの』

「…そっか(……ムキムキな薔薇族が出てこない事を祈るとするか)」

『賀実、今日も戦闘訓練に行ってくるの。サボっちゃダメなのよ』

「…ラブナシカに言えと言われたね」

『うん。不老長寿な賀実にも末長く生きて欲しいと思ってるの』

「どこで戦闘に巻き込まれるかわからないもんね…お手柔らかにして貰いたいもんだ(この間の槍投げはさすがに死ぬかと思ったからね)」







◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





【大海と島々から連なる世界】



【氷雨の冬島】


氷雨の冬島はクレイバール島から真北へ1万キロの場所にある常に雪か氷雨が降っている島で常にホワイトアウトしているためにほぼなにも見れないような島だがクレイバール島で作られたゴーグルを着けることで島を鮮明に見ることが出き、僕は早速装着した。

そして寒すぎて喋れないので念話ができないとヤバい島でもあります。




《雪の降りの浜辺》



(譜月、異常はどうです?)

(特には異常はないのう…魔物の匂いもせぬから早速探索と行こうかの)

(了解です…何事もなく終わりそうですね)



と思っていた時期がありましたが。



「まさか彷徨う事になるなんてっ」

『この洞窟に運ばれ…賀実と蓬の心配性が役に立つとはのう』



今現在、譜月と共に氷雨から逃げるために洞窟内で過ごしています。

順調だったのに突然野球ボールと同じ大きさの雹が降り頭に直撃し死にかけたが、蓬から貰った玉が2つ同時に急に割れて地面で急成長し薔薇を背負ったマッスルな男が現れ僕と譜月をそれぞれが抱えて洞窟の奥に避難し、自身を茨の蔓に姿を変えて洞窟の出入口を封じて少しすると強風が吹き荒れ始めた。



「…なんだったんでしょうか…あのマッスルなムキムキな薔薇族は」

「薔薇の化身なのではないかのう」

「……譜月、どうして人化しているのです?」

「狼の姿でも良いのじゃが…暖を取るのにこちらの方が良いのじゃよ」

「全裸で?」

「全裸でじゃな」


服を脱ぎ始めた譜月に対して玖瑶は言った。


「目のやり場に困るのですが…」

「夏以外で水分を含んだ服着たままだと低体温症になって死ぬぞ?」

「せめて下着…」

「……裸くらい見慣れろい」

「無理です…」

「全く、ハニトラに引っ掛からぬようにな?」



譜月は全裸になることなく下着姿で暖を取り始めた。



「…譜月は日本の異世界マンガのヒロイン達のように露出の激しい服は着ないし、そういった着方をしないですよね」

「しないな。その辺は賀実の影響を諸に受けておるのう…賀実が良く言っておる言葉じゃが。

「何故に男に媚びるような露出の激しい服を着なければならない?何故、男の喜ぶような着方をしなければならない?私はそんな格好をする必要はないし、悪いが島の子供達と従魔と共に生きていく方にシフトしているから要らない」とな」

「言いそうですね…」

「男に媚びるような服を着ないのは我も賛成派でな。男受けするような格好や服は好まぬのよ。我も賀実も親しい男以外の男嫌いな所があるから余計かも知れぬ」

「見知らない男性が島に来ると寸胴型の被り物を着こんでの塩対応ですからね」

「そうじゃのう」

「早く独り立ちしたい…」

「…出来るように手伝いくらいはのう」

「うん」


雹が降りやむまで洞窟で過ごし、茨が枯れたので外へ出ると真っ白かった島がモザイク処理されるくらい真っ赤に染まっていた。

それを見た玖瑶はドン引きしながらも材料を手当たり次第集めクレイバール島へ帰還した。


後に譜月が「玖瑶がここまで手際よくかなり素早く動けるものなんだ」と言うくらいには動きが凄かったらしいです。




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