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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
新生クレイバール島の暮らし
545/569

DNA保存機関

【クレイバール島】


《クレイバール寄合所》


「護熊族のDNAが欲しいだって?」

「あぁ、希少なDNAを保存したくてな。良質な血統管理をするから譲って欲しい」

「悪いがメルゴはやれんぞ」



それを聴いたメルゴはきゃーと身を屈めメルゴの妻であるルファーナと息子のヴィレルドはメルゴの前にでて、悠珂も前に出た。



「護熊族本人を寄越せとは言ってないぞ」

「護熊族のDNAを持ってる方に護熊族のDNAだけを譲って貰いたいだけです。

貰い受けた方からは護熊族は二度と産まれなくなりますが」

「それならオ「話は聞いたわ!それならあーしの護熊族のDNAを持っていくと良いわ」


ヴィレルドがオレの中の護熊族のDNAを持っていけと言う前にコナルヴィアが現れて言った。


「コレ!コナルヴィアは何を言うか」

「ママンは黙ってて」

「こっコナルヴィアはおじいちゃんの護熊族の血が嫌なのか…」

「別に嫌いじゃないわよ?」

「なら何故そんなことを言うか説明せい」

「…護熊族の血を引くものの宿命的な代々続く執着心を薄めたいの」

「それは…」

「ルファーナちゃんたち自由を愛する森の民であるエルフの血を何代もいれてもこうなんだから」

「…コナルヴィア、貴女はちゃんと考えた上で譲渡すると言ってるのね?」

「うん、ちゃんと考えた上で譲渡したい」

「なら、わたしから言うことはないわ」

「義母様!」「ルファーナ…」

「ルファーナそれは簡単に言って良いことなのか?」

「コナルヴィアがそうしたいと言ってるもの、止める筋合いはないわ。

保存機関の方々に質問ですが…孫娘から護熊族のDNAを抜き取ってもわたしの夫の血を引いてる事実はなくならないのよね?」

「なくなりませんよ。旦那さんは先祖返りでの護熊族の方なので護熊族要素が抜けた【人間のミックスブラット】として産まれたバージョン要素の遺伝子が孫娘さんに残りますし、異変やらとか起きません」

「だそうですよ」

「マジかぁ…」

「纏まりそうな所申し訳ないけども」


話を聞く専門に徹して同席していた賀実がストップをかけて話し出した。


「コナルヴィアの護熊族のDNAが悪いことに使われないという保証は?」

「それは」


保存機関の者たちが言葉に詰まると今度はヴィレルドが言った。


「悪いことに使わないという保証がない限りそれはオレも駄目だと思う。

父さんや祖先たちは努力して抑えられるようになった優秀な血統でもあるけども録な記録が残ってないからな。オレも完璧でありたいという執着心あるし」


あんまり乗り気でない者たちを見てお互いに唸

っていると。


「ならこういう提案はどうだ?DNAを貰うがもし我々が管理してるなかで悪用されたとして問題を絶対にそちらに持ってこないという案は?」

「それも無理だろうな。巡りめぐって結局はオレらの方にも話は遠回しであろうとも来るだろうからな」

「護熊族のDNAでそこまでは行きます?」

「嘗めない方がいいぞ。永く生きてると巡りめぐってのお支払とかあるからな。

子孫が割りを食うのとかもあるし」

「お前たちはそういった事象につい最近まで関わってたな」

「おう」



保存機関の者たちが諦めるにように思えたが、こうなることを見越したことなのか一枚の紙面を取り出して提出した。



「これは神族経由の契約書か」

「これなら不安がないのでは?」

「そこまでして欲しいのか…」

「はい、欲しいのです」

「…ラブナシカにも同席して貰えば良かったね。この書類がどこの神族の物かわかるから」

「安心なさい【秘伝の職人】。生命の神の親類の神族の御方の物だから」

「…マリスト一家が最終的に書類を隅々まで確認して了承するならサインすると良い。

あくまでも私と悠珂はお目付け役としてこの場ににいるだけだから」


時間を掛けてじっくりと書類を確認して両親や祖父母と話し合いをした。


「…本当に後悔はないのだな?」

「うん」

「…コナルヴィア、もう一度だけ私たちに書類を渡してもらって良い?」

「えっ…良いけど」

「悠珂、もう一度だけ私たちも確認しよう」

「そうだな」


もう一度だけ書類に不自然な細工や不備が無いかなどを調べてコナルヴィアに渡した。


「はい、コナルヴィア。これ以上は私たちでも調べようは無いから渡すよ」

「そこまで警戒する必要があるの?」

「……クレイバール島が天地創造される以前の時に書類を細工して後々、不利になるような書類に変化させての詐欺とかにあったことがあるらしくてね。

神族関連の書類であろうとも、失礼だけど徹底的に調べさせて貰っているんだ」

「…へー………それじゃ契約書に書くわね」


コナルヴィアがサインする前にラブナシカがクレイバール島の寄合所のドアを破壊しやって部屋に来た。


「待ちなさい!」

「ラブ、どうした」

「書類にサインしないで護熊族のDNAを渡すと良いわ!アタシが証人になるから!」


ラブナシカはコナルヴィアの手に持っていた書類を破り捨てた。


「愛の伝道神、何のつもりだ?」

「悪いけど、書類関連を盾に他の神族に介入されたくないの。最近書類関連で問題が起きてると知り合いから伝達があったの。

だからアタシが証人になるから紙類は出さなくて良いわ」

「なら紙はしまいますね」


DNA保存機関の方々は表情を変えること無く書類関連をし舞い込んだ。


「……それじゃお願いします?」

「では始めます」


ラブナシカが証人となりDNA保存機関の方々と共にコナルヴィアに対してDNAを取り出す処置と抜き取られた護熊族のDNAの問題が起きても関わらせないための処置を施した。


「確かに護熊族のDNAを頂きました。ありがとうございます」

「それでは我々は帰らせていただきます」


お礼としていくつかばかしの礼を置いて帰って行った。


「どう?コナルヴィア」

「……特に変わった感じはしないわ」

「そうか」

「…特に変わった事がないのであれば良いけどラブが当然全力疾走できたのは驚いたよ」

「最近、書類関連を使っての神族の侵略行為が行われてるから気を付けてってアタシの知り合いから連絡が来たばっかりだったのよ。

それでなんかモヤモヤしたからやって来たのよ」

「書類関連を使っての侵略って」

「クレイバール図書館にあるクレイバール島の歴史の本に載ってるけど、クレイバール島が天地創造される前にあった手口なんだけど…」

「あぁ、賀実が言ってた書類に細工してとかの話しか?」

「あら聞いてたの?」

「ざっと説明された」

「ならアタシから説明する必要はなさそうね。

もし気になるならクレイバール図書館にある【クレイバール島の歴史の原典】を確認すると良いわその時の詳しい事が書てあるから。

取り敢えずコナルヴィアに関してはしばらく経過を確認し続けるしかないから病院に通いなさいね」

「よし、それならひとまず解散だな」



悠珂の合図で解散した。
























◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



【DNA保存機関本部】


《第5DNA回収部隊室》



「………と言うことになりました」

「そうか…あの世界の足掛かりは潰されたか」

「どうも警戒心が高いのが多くて無理でした」

「そもそも警戒心を隠すのが上手いのが多くて無理だったと思うがな」

「護熊族もかなり希少な遺伝子だけどもっと希少な遺伝子とかあったのに取れなくなったな」

「これ以上突っついたらヤバいのが出てきそうだから突っつくなよ」

「「「了解です」」」


上司と部下が話し込んでいるとドアが激しく開かれた。


「貴様ら何をした?!」

「副施設長さんどうしたんです?」

「どうしたじゃないわ!古い神の一柱でもある【愛の伝道神】から警告文が届いたんだよ!」

「チッ…早いな」

「その態度やったんか?!」

「愛の伝道神が護る世界に住まう住人に接触して【護熊族のDNA】を頂きました」

「それでなのか!でかしたとは言わんぞ!あの世界に接触して交渉するのはもう少し先だと話し合いで決めたろうに!」

「カリカリしてると禿げますよ?」

「誰のせいだと!」

「まぁまぁ、落ち着きましょうよ」

「落ち着けるか!」

「まっクレイバール島の外へ嫁や婿に行った方々の子孫に接触して他のレアな遺伝子をゲットすればいい話じゃないですか」

「………」

「あれれ?急に黙り込んじゃいましたけど?」

「はぁ…もういい、貴様らに話しても無駄だとわかったからな」


副施設長はこれ以上何も言わずに去っていった。


「副施設長は何がしたかったんですかね」

「さぁな…取り敢えずそれぞれの持ち場へ戻って良いぞ」




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇


【DNA保存機関本部】


《執務室》


「はぁ」

「副施設長、どうなされました?」

「【第5】の輩がやらかした。クレイバール島に手を出したことで計画がパーになった」

「え"」

「希少な遺伝子を持つ本人をスカウトする計画を数多の世界で行えなくなった。

アイツらは外に嫁婿に行った者の子孫から遺伝子を貰えば良いと抜かしたが…嫁婿の行き先はクレイバール島同様に外へ放出する遺伝子管理の厳しい神族がいる世界だぞ?

上の世代の過去のやらかしで警戒心がぐんと上がっているのにっ」

「……トップに掛け合って希少な種族を創っちゃえば良いのに」

「それが出来ていれば当に創られているさ。なのにトップが創造しないで遺伝子だけを手に入れている理由を考えたことはあるか?」

「副施設長に言われるまで考えたことないっす」

「人類や亜人種族たちは神すらも予想外な動きをするものだ。

大昔の神族はまさか異種族同士が結ばれるなんて思いもよらずにいたし、混血から神族すら驚くような容姿や能力を持って生まれその混血がひとつの種族になってたりするんだからな」

「副施設長さんは何を言いたいんすか?」

「神が創造できない奇跡の産物でもあるからこそ、神族は異世界に生まれた希少な種族を欲しがるのさ」

「コレクター魂が騒いでるだけじゃ…神族でも出来ないことがあるんですね」

「亜人種やら人種は既に種として出来上がっているからか…そもそも神族が新たに作り出すのは神族であろうとも禁止されている。

ホムンクルスが一例だな」

「ですね…第5の人たちどうなるんでしょうね」

「スカウトの件は保存機関に出資している神族へのサプライズとして上層部が裏でコソコソやっていた事だからな…特に罰せられることはないと思うぞ」

「そうなんですね…(小声で)つまらないな…」

「ん?今、なにか」

「何でもないですよー…それじゃ仕事に戻りましょう!」


それぞれの仕事場に戻って行った。

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