霊園がダンジョン化させられて
【クレイバール山】
《安寧の霊園だった場所の前》
「暇な方々の集まりと言うことで霊園をダンジョン化させておきました」
「誰が暇人の集まりじゃ。暇じゃないわ」
「何故に霊園をダンジョン化させたんだ。場所とかを考えろ。役目を終えて眠ってる祖先をたたき起こすな。ダンジョン作るならせめて離島にダンジョン作れ」
「祖先とヤり合うの嫌だゾ…」
「文句を言われるのは覚悟の上で実行しましたが、皆さんご安心してください。
こちらからはプロの鬼人の管理者をダンジョン化させた霊園に配置しておきましたので」
「獄卒を人々が住んでる土地の霊園に配置するのもやめてくれ。こちらにはフリルも居るからこれ以上何かしでかしそうなのを増やすのはやめてほしいんだが?」
島民達が霊園をダンジョン化させた偉い鬼人に対して文句を言っているが床吹く風である。
「この地に配置した鬼人については煮るなり焼くなり好きにしてください。それでは皆さん、さようなら」
鬼人は言うだけいってそそくさと帰っていった。
「あ、帰った!何食わぬ顔して帰った!」
「……とんでもないのを置いて行きましたね」
「ラブ先生、何か事情は?」
「それが…こちらも何が何やらわからないの。斥候として賀実と悠珂に調査に向かわせたけど」
「…これからの彼岸やお盆のお墓参りとかどうします?」
「まずはそこからなのよねぇ…あの二人が帰ってきてからが本番じゃないかしら?」
「そうねぇ…」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【クレイバール霊園】
《第一階層 始まりの花岬》
「ギィャアア!助けてー!喰われる!」
「警戒なしに突っ込むからでしょうに!既にダンジョン化してるんだから!警戒しろ!」
ラブナシカと島長ポーリアに肩慣らしついでに調査に行ってこいと言われた悠珂と賀実は少し嫌そうな表情しながら向かった。
悠珂は特に変哲もなさそうだと花畑をずんずん向かっていったら植物マンイーターに捕まって喰われそうになっていた。
「なんで第一階層なのにめちゃくちゃ擬態が上手い植物型のマンイーターが居るんだよ!」
「知らんがな」
『わたちの毒で溶かす?』
「溶ければ良いけどもね…マンイーターに毒の耐性ついたらやだなぁ」
『確かに、島の子供たちや島の大人達のいざを考えると最後の手段として使える毒は使いたくないわよね…』
『あー…』
「ベルネクローネは助けに行かないのかい?」
『必要あるかしら?蔓で遊ばれているけど叫ぶって事はまだ余裕がありそうじゃない?』
「…他の魔物が居ないか感知しておくか…」
『しばし待つのじゃ賀実』
「『?』」
『譜月、どうしたの?』
『ここで試してみないか?ラブナシカが品種改良して作り出した新種の薔薇の種を』
「『絶対にダメ』」
賀実とベルネクローネの声が重なった。
『確実にマンイーターを仕留めてくれるぞ?』
「その後の後始末が絶対に厄介なことになるから絶対にダメ」
『ここに住まう鬼人に嫌がらせにもなると思うんだがのう』
『だとしてもダメよ。島の男児達と墓参りしたいとこの場に来る子供たちの友人(男)が被害を受けるわ!』
『…そうかのう?』
「絶対にそうなるさ」
『…ふむ…ならやめるとするか』
※譜月はこの調査が終わった後に好奇心が押さえられず、悠珂とキユクとヒペリカと共にやらかします(笑)
でもそのお陰でお墓参りする難易度が(鬼)から(上)になります。
「次の層に行くのにさっさと悠珂を助けて進もうか」
『そうね、譜月がやらかす前に進みましょう』
『ふふふ…』
賀実がマンイーターを黒刀で斬ろうとしたが、マンイーターの動きが速過ぎて人間をやめてない賀実には刈れなかった。
なので譜月とベルネクローネが刈り取った。
「早すぎぃ…悠珂も捕まるわけだ」
「だから助けてって言ってたんだぞ…オレは」
「それについては申し訳ない。このダンジョンの管理者として配置されてる鬼人を見つけなきゃね(それに…あのマンイーターの素早さは異常だよ。図書館にある魔物図鑑で確認しよう...載ってると良いけども)」
第一階層は従魔の背に乗って移動し次の階層に向かっていった。
《第二階層 闇淵の森》
「はい、島の子供たちのお墓参りが安全に出来なくなりました」
『だが魔物の気配は感じぬぞ』
「……霊園を設置した山にこんなヤバそうな木は生えてなかったよな?」
『ダンジョン化した影響でしょうね…』
『真っ暗で見えないのー』
『…………』
「譜月、何を」
譜月は蓬に対して紫外線が出るライトを口に加えながら当てていた。
「譜月、何をしてるんだ」
『いやなに…紫外線を当てるとカモノハシは光ると小耳にはさんだのでな…』
譜月の申した通りに蓬は発光していた。
「光ってるw」
『…地球の生物って本当に不思議ねぇ』
『きゃー』
「そういうのは帰ってからでもできるから。ここに鬼人は居ないみたいだからさっさと次の階層に行こう」
「ここの罠とか調べないのか?」
「もし罠とか仕掛けられてたとしても鬼人に解除させたりするから」
「おっおう…」
『暗闇ならアタシの出番ね。二人ともアタシの背中に乗りなさい』
ベルネクローネの背に乗って次のフロアに向かっていった。
こうして従魔達の力を借りてダンジョン化した霊園を進んでいったが最終フロアである《やすらぎの丘》までたどり着いたが鬼人の気配を感じられずに第一階層まで戻ってきた。
【第一階層 始まりの花岬】
《マンイーターが生えていた場所》
「…《やすらぎの丘》だったかに天命を全うした子供たちの墓があったな」
「うん。荒らされてないし、最終フロアだけは魔物が近づけない完全な安全地帯になってるみたい。
各フロアにもセーフティゾーンがあるのを確認で来たからよかったよ」
「それで…鬼人さんはどこにいるのかな?気配を一瞬だが感じたのは第一階層だったな」
「出入り口は譜月とベルネクローネと天藍に閉じさせて結界を張らせたから…逃げる場所は限られてるからね。…さて燃すかこの花畑」
賀実はアイテムボックスから【浄化の種火】を取り出しその場に落とした。
すると一瞬にして花畑に火が平がった。
「ダンジョンの花と草は良く燃える」
「……怖いよ~…賀実が悪い顔してる~」
『ぷふふっ…』
暫くすると悠珂を襲ったマンイーターが咲いてた場所の地面から小鬼が飛び出してきた。
「きゃー!殺されるー!紅凰様と同じ鬼畜がここにもおるー!」
「おや、一人で配置したと言ってたから成人してる鬼人かな?と思ってたけどまだ小鬼か」
「賀実、お前…紅凰と同じ鬼畜って言われてるぞ」
「それくらいのことをしなきゃ出てこないでしょうに」
『賀実~捕まえる?』
「大丈夫、そう簡単には○にやしないさ」
二人と一匹で話していると金棒を待った小鬼が賀実を目掛けてやって来たが、賀実もアイテムボックスから鉄製のハリセン出して待っていた。
「ご苦労様、待ってたよ」
「えっ」
「あのマンイーターより遅いから狙えそうだ」
「手加減しろよ」
「わかってる」
すると賀実は瞬時に小鬼の側に移動して鉄製のハリセンを使い意識を刈り取った。
気絶した小鬼を抱えて賀実と悠珂と従魔たちは一旦ダンジョンから出たのであった。
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オマケ♡
【クレイバール霊園ダンジョン前】
《鬼人の住まう邸宅の居間》
「で見事にしてやられたってわけ」
「……おばあ様は山本先生を怨んでます?」
「先にやられた事によって逆に逆らっちゃいけないヤバい人間が居ると瞬時に理解した…。
話し合いをする前に人間社会を覚えるために貴方のお爺様である玖寿たちに混ざって勉強させられてから島の島民にされたわ。
……そうねぇ…怨むよりも知識を叩き込まれたことによって本当に喧嘩を売ってはいけない人の見分け方を知った事で怨むよりも感謝したわね…危機回避を学んだ事で紅凰様に処されそうになっていた大ピンチを乗り越えられたわ」
「そうなんですね…」
「玖穏、眠むいならワタシの膝枕で寝ないでとなりの部屋のお布団のなかに入りなさい」
「おばあ様の匂い…安心……」
玖穏は祖母に膝枕されたまま寝た。
「もう…こう言うところ…誰に似たんだか」
「………じいさんじゃないか?」
「郁朔、来てたなら変なところに突っ立てないで玖穏を回収して布団に寝かせなさい」
「わかってるよ、ばあちゃん」
郁朔は膝枕されたまま寝た愛息子を回収した。
「ばあちゃんもこういう時くらいはこれから始まるクレイバール島の夏祭りに出たら良いのに」
「そう言うわけには行かないのよ。管理を任されてるし…それに…」
「ばあちゃんも一筋だよなぁ」
「当たり前」
「…それじゃ、今日は玖穏を頼むよ」
「ここに居れば悪さされないから安心しなさい」
「おう」
郁朔は玖穏をとなりの部屋に寝かせてもう一度、高祖母に挨拶して自宅へ戻っていった。
「……まだお盆の時期じゃないわよ?」
『……滞在許可は取りましたから大丈夫です』
「来孫を見に来たの?」
『それもありますが……君に会いに…』
「もう…」




