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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
新生クレイバール島の暮らし
535/569

畑パニックと淀んだ笹

【クレイバール島】


《クレイバールの秘密の畑》


「たま~に賀実もやらかすのを忘れてたぞ」

「大きく育っちゃったよね」

「大きく育っちゃったじゃないですわ。どうしたら野菜が巨大化して意思を持つ野菜が育つのです!」

「大きくな〜れと言いながら育ててたらこうなったとしか言えない」

「「………………」」



畑に生える巨大化してキョロキョロと目を動かす野菜たちをみてドン引きているレシェットと悠珂はこれを最初に発見した玖寿たちに対して「怖かったろうな〜」と思った。



「収穫する分には特に何かされるとかはない」

「それにしても…野菜に野菜を収穫させてるお前も中々に…」

「何か問題でも?」

「イイエ、別ニ」


賀実はクレイバール学校に併設している巨大な温室に住まう【踊るマンドラゴラ】達を招集し、クレイバールの秘密の畑の巨大化して意思を持つ野菜を収穫させていた。


「賀実、マンドラゴラって野菜なのです?」

「…野菜と言うより毒草…いやここのマンドラゴラたちは改良されてるから薬草のはず…」

「それでマンドラゴラちゃんたちに巨大化野菜ちゃんたちを運ばせてるけど、どこに運んでるのです?」

「クレイバール学校の校庭で珍しい料理を作ると腕をコキコキさせたラブナシカの元に運んでる」

「……ラブナシカなら大丈夫か…?」

「カフェを運営してますものね…大丈夫ですわ」

「島の子供達には食べに来てねとフリルたちが宣伝してるはず…」

「……お前は行くのか?」

「私は行くよ。私が育てた野菜だし…食べて供養しなきゃ」

「この人、食べて供養って言い放ちやがりましたわ。やっぱり生きてるんですわね(ドン引き)」

「………(だとすれば調理場はとてもカオスになってるだろうなぁ…行きたくねぇな)」

「それで君たちは何しに来たんだい?」

「収穫のお手伝いですわよ。ラブナシカに頼まれたので」

「なら、残りの巨大化した野菜の収穫を手伝って貰いましょうかね」


賀実は首にかけていた犬笛を吹いた。

すると収穫のお手伝いをしていた踊るマンドラゴラたちは賀実に対して敬礼し、踊るマンドラゴラたちが最後に収穫していた巨大化した野菜を手伝いに来ていた全マンドラゴラたちで持ち上げてラブナシカの元へ運んでいった。


悠珂とレシェットは賀実からクワを渡された。


「え…敬礼したんだが…」

「マンドラゴラが犬笛の指示を聞いてますの…」

「仕込むの楽しかったよ」

「仕込んだんか!」

「何してやがるんですの?!」

「マンドラゴラに知恵比べをけしかけられたから、もしかして出来るんじゃね?って」

「それでどんな知恵比べを?」

「マンドラゴラが小枝使ってコレは何でしょうとか計算式を答えよ的な問題を出されたよ」

「えっ知能が高い……野菜と…目が合うぅ…」

「思ったより、博識だなぁ…こういうのは気にせず収穫したほうが楽だぞ」

「…重力魔法使ったほうが早いか…?」



各々、巨大化した野菜の収穫に四苦八苦しながらも収穫を終え、空を見上げると既に夕方になっていたが、ラブナシカの元へ向かっていった。







◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





【新クレイバール学校】


《校庭》



「あら〜まだ合ったのね」

「育てすぎたかも」

「暫く賀実には野菜を育てさせるな。止めろ」

「そうね。お花や薬草を育てると宜しいですわ」

「それにしてもほとんど食べられてたか」

「既に島の子供達は食べるだけ食べて帰ったわ。天の川はこの世界にも合って見えるし、熱気球に乗っての天体観測をするから先に準備してるそうよ」

「………そういえば今日は七夕だったのか」

「料理でわかっちゃうかしら?」

「七夕にちなんだ料理だらけだからな」

「…熱気球に乗っての天体観測は本当にキレイですわよね」

「レシェットも悠珂もまだ元気があるなら熱気球の準備の手伝いに行ってきたら?残りの巨大化した野菜の処理は私がしておくから」

「……ならオレは行ってくる」

「ならワタシも行きますわ」


 

悠珂とレシェットが収穫した巨大化した野菜を大きな風呂敷が引かれている場所にそっと置いて熱気球の準備をしている場所に向かっていった。



「……料理の処理する前に、ラブナシカが今年も隠した笹を出しなさいな」

「……うふふ、やっぱりわかっちゃう?今回のは中々にヤバいわよ」

「朝一で感じ取ったし、ナクモが拙者でも処理できないと半泣きで来たからそれなりに覚悟はした」

「貴女の所に知らせに行ったのね…それじゃ問題の淀んた笹を出すわよ」



ラブナシカが一本の笹を置くと笹から淀んだオーラがモワモワと現れ始めた。



「さてと…今年はどんな事が書かれているー



賀実は短冊を手に取り見た。



「…………」

「賀実たら絶句することはないじゃないのよ。貴女の可愛い従魔の思いなのでしょう?」



ラブナシカも賀実が見て固まった短冊を見た。



『賀実大好き♡ずっと一緒♡わたちを一生必要だと思わせるの♡賀実を悲しませた奴は絶対に許さない。以下自主規制の長文』

「ひゃっ」

「君にそんな声を出させるんだものね…蓬に激重感情を持たせることを言ったりやったりした覚えがないんだけども…」

「貴女は…覚えてなくても蓬はね……相変わらず七夕に本音を書く蓬は怖いわね」

「それに今回は子供達の念もあるみたいだよ」

「え」

「短冊は見なかったんだ」

「…フリルちゃんたちも物凄いオーラを感じると言って近づかなかったのよ」

「ならこのまま他の短冊を見ないほうが後悔しなさそうなんだけども」

「一部みてヤバかったら見るのをやめましょう」



『リア充滅せよ!!』

『俗物に染まりし者よ自主規制』

『自主規制』

『クレイバール教会に誰もこん……誰か来て…』

『↑に人がいたら集中して本を読むのに邪魔なので来なくていいです』

『どうして近親k以下自主規制』

『両親がいつまで立っても新婚夫婦並みにイチャイチャと…目に毒なのでやめさせて』 

『以下自主規制』


などなどエトセトラ。



「…みんなの心の闇を感じる……料理するときに供養するためにと薪にでも焚べようか」

「そのやり方でやって大丈夫…なのかしら」

「…取り敢えず調理しよう」




〜1時間後〜



【怨みのカボチャプリン】【激重スイートポテト】【報復のオニオンリング】【怒りのポテトパイ】【執愛のミックスゼリー】【愛憎のトマトスープそうめん】などが出来た。


「「…………………………………………」…コレ食べても大丈夫なのかしら…」 

「理解したくないと頭が拒否ってる。七夕は本音をぶちまける日ではありませんと教えなきゃダメかな?」

「その辺は分かっててやってる気がするから必要ない気もするわ。

元々短冊に書く願いは技術の向上を願ったりだったらしいじゃない?………美味しそうな見た目してるのにいや~なオーラのせいで食欲がなくなるという不思議なことになってるわ」

「その料理に関してはアタシたちが美味しくいただくわ♡」

「うおっ!…いきなり背後に立つのをやめて」

「うふふ、ごめんなさいね♡熱気球の準備ができたと知らせてほしいと言われてメッセンジャーになったんだけど」

「……無理に食べなくても良いのよ?」

「ラブお姉様と賀実ちゃんが作ったんだもの、それにこの感じならアタシたちフリルデーモンらなら残さずいただけるわ。

…熱気球を固定させるためのロープをとめるための杭に関しては食べるデーモンと見張るデーモンの交代交代で見張るから安心してね♡」

「ここまで言ってくれてるし…」

「無理なくね?」

「わかってるわ。熱気球の方にいってらっしゃい」



賀実とラブナシカはキトリエスに言われるまま少し気にしながらも準備ができたと熱気球の方に向かっていった。 


熱気球に関しては何事もなくキレイに打ち上げられ熱気球に乗っての天体観測は成功し、さらに七夕に熱気球に乗って天体観測をする伝統がここから始まった。









































【クレイバール島】


《フリルデーモンの秘密の場所》



「みんな〜!テンション上がってる〜?」

「「「「「「「「上がってるわ〜!」」」」」」」」

「島の子供達はこういった行事の時にアタシたちフリルデーモンにも必ず大量のご馳走を用意してくれてるけど今年のは何処か惹かれるものがあるわ!」

「そらそうよ!今日の料理は島の子供達が溜めに溜めてる負の感情がたっぷり詰め込まれた料理ですもの。最高に決まってるわ!!」

「もし、あたしたちにとっての上質なご馳走になるならば来年から頼んでも良いかもしれないわ!負の感情を纏った笹を燃やしての料理を!」

「ヒューヒュー!」



フリルデーモンたちにとって今日の料理はとても最高だったらしく、ラブナシカと賀実に頼んで島の子供達の負の感情がこもった料理を年に一度味わえるようにしてもらったそうな。






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