1000年後のお話 呪物コレクターが厄介な問題を持ってきた
【クレイバール島】
《クレイバール寄合所の大広間》
「助けてください」
「自業自得じゃねえか、ケツを持ってくるな」
「…それで何人、既に巻き込んだのかしら?」
「………41人です」
「多いな」
「私たちが向かえばちょうど44人で縁起悪いなぁ」
「誰一人も戻って来てない事でワタシの世界に行ったきりの強者の知り合いに文句言われて不安になってこのに来たんですけどぉ…」
「一つ聞きたいんだが、最初にお前の創り上げた世界に入った強者が何日帰って来てないんだ?」
「10年」
「え"っじゅっ10年?!」
「大丈夫なんかそれ!?」
「ホントはさー…ワタシと同じ呪物を集めるのが好きな人たちのために「いつでも遊びに来ていいよ!」ってスタンスで世界のトビラ開いてたんだけど、ある時からパタリと来なくなるし入ったきり出てこないと思ってたら時空維持系列のお偉い方からお呼び出しだよー」
「お前なぁ」
「それで来てくれる?」
「絶対に嫌だ」
「悪いけど無理」
「無理ねぇ」
即答で3人は断った。
「えぇーせめて悠珂先輩かラブナシカ様は来てくれると思ったのにー」
「いや、行方不明者がでてる時点で行かねーよ」
「コレまで起きてこなかったのに突如としてこんな事になってるってことはそれなりな事が起きてる証拠でしょーに。わざわざ行くわけないでしょう?」
「先輩たちから預かった呪物もあるんですけど?」
「アレに関しては既に朽ち果てて壊れた時にラブナシカの神聖の力と共に解き放たれた呪いはなんやかんやあって浄化された事で呪物としての力もなくなって悪さをしないと君の世界の呪物の管理の協力をしてくれてる【清浄の聖者】さんから連絡ありましたけども?」
「くっ【清浄の聖者】さんが既に連絡してたとは」
「…その【清浄の聖者】さんはどうしてるんだ?」
呪物コレクターがビクッと体が大きく反応した。
その反応を見て絶対に何かあったなと3人は悟った。
「いや~…ははっ……それが呪物を観に来た強者の一人目が失踪する寸前までは連絡取れてたんだけど…一人目がワタシの世界で失踪した直後から連絡取れてない…です」
「絶対に何かあったんだわ!何で早く呪物の専門家に連絡を取らないの?!」
「だって!【清浄の聖者】さんだよ?!あの人が呪物に何かされるなんて絶対にあり得ないもん!」
「絶対っと言う言葉を人間が守れると思ってるなら君はおバカさんだぞ?【パーフェクトワールド】を造ったと言ってたあの完璧主義の神族様の世界ですらパーフェクトに造れなかったんだから」
「それで他の聖者の方々に連絡したのか?」
「しました…今はそれぞれのエリアごとに別れて手分けして原因を探ってくれてます…」
「まぁ…君が持って行くと言って回収してたけど、ある意味で言えば呪物を押し付けて来てたツケが作った側と押し付けた側に来たのかもねぇ」
「だからこそ【聖者】と呼ばれる者たちに強者たちが直談判の依頼して交代制の派遣で管理してもらってたもんな」
「世界全体を見てとは言わないからエリアごとに区切ってるからタスケテ…」
「「「……………………」」」
そして3人が選んだ選択肢は…………
【呪物☆コレクション保存世界】
《呪物エリア7悲劇の令嬢たちの怨念》
「………相変わらずスゲーな」
「よりによって悲劇の令嬢の怨念のエリアか」
「女の怨みって怖いな」
「ここの呪物は王侯貴族たちの身勝手の冤罪で〇された令嬢たちの遺品があるエリアですからね」
「貴族出身の強者が絶対に立ち入れないやばい場所」
「ここで行方不明になった奴はどこだ?」
「呪物コレクターの話によると掲示板に身元のやつ貼ってあるって言ってたよね」
3人はかなり渋ったが呪物コレクターが今回の捜索を手伝ったら極上のイケメン(写真付き)を紹介すると言った瞬間にラブナシカが即答で了承し、ラブナシカはクレイバール島を守るから悠珂と賀実を生贄に捧げた。
二人は抗議したがラブナシカが「二人が呪われても大丈夫なように準備しとくわね♡」と言って呪物コレクターの世界へと飛ばされたのであった。
「賀実、あったか?」
「………あったけど……」
「どうした」
賀実が嫌そうな表情をしている方を見ると、このエリアで行方不明になった者の身元が乗ってる紙を見て悠珂は心底嫌そうな表情になった。
なぜなら。
エリア7の行方不明者
ミステレア・デイニシティー
【マジスティ・ミオ・レ】出身の名門デイニシティー家の当主様がここで消息を絶ちました。
発見した方は□□ー〇〇□□ー◇◇△△にご連絡をお願い致します。
「…よりによってマジェリルカのあの姉ちゃんが行方くらましてたぞ」
「そもそもどうしてココに来てたんだろうね…後継者なら既に成人してる優秀な娘さんがいらっしゃると言うのに…」
「かなりの実力者ですら行方をくらますかココは」
「一応、マジェリルカに連絡してみる?」
「……手伝ってもらえるかワンチャン連絡するか」
二人は早速、呪物コレクターから渡された呪いに邪魔されない連絡するためのツールを使い連絡を取った。
「………というわけなんだが」
『だから姪がとてもスッキリと何もかも解放された表情でアタシに連絡してきたのね…』
「えっ」
『この間、と言っても510年くらい前に連絡があったの。母が居ないからマジェリルカ叔母様、一度実家であるデイニシティーの本宅へ戻り、ずっと持ち出したいと言ってた魔導書を持っていきませんか?って』
「そういえば…その頃に詩子と一緒にバタバタ忙しそうにしてたね」
『姪っ子だと手に余って管理しきれないから叔母様、貰ってくださいと結構な数の魔導書や禁書を貰ってきて【蠱惑図書館】の禁書庫に全部入れていたのよ』
「それでやけに図書館の中も騒がしかったのか」
『禁書庫で魔導書たちがやりあったのでしょうね…ふふふ…でもそのおかげでアタシが研究してた結構な数の術式が解読が出来たのよ』
「それで今回の捜索はどうだ?」
『悪いけどパスさせてもらうわ。なぜアレが呪物コレクターの世界に行ったのか分からないし、どうせろくな事を考えてないでしょうから関わりたくないわ』
「了解した」
『それといくつか警告しておくわ。アレに関しては見つけ次第、呪物コレクターに即連絡入れて話すこともなく、関わるのも辞めなさい。
そして一定の距離を取っておくのよ?いいわね?』
「う、うん」
『それじゃ頑張りなさい』
それだけ言うとマジェリルカの方から連絡を切った。
「アレは絶対に姪っ子に連絡をいれるね」
「そうだな。深くマジェリルカのパーソナルゾーンに踏み込んだことはないからなぁ」
「マジェリルカが一度だけ言った姉の悪行が星一つを自身の魔術の実験台にしたんだっけか」
「デイニシティー家の本家と分家が総出で姉のヤラカシの尻ぬぐいしたって言ってたもんな……気が重いな」
「マジェリルカがここまで言うくらいだから警戒しながら行こうかね」
「………ってお前ぇ…」
『全身、魔術や呪い耐性に特化したフル装備を着るのに決まっているじゃないか』
「オレにもくれや」
『はい』
賀実は魔術と呪い耐性に特化したキグルミを身にまとってから悠珂にも2Pカラーの同じ機能を持つキグルミを渡して着込み。
捜索を始めたのであった。




