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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
新生クレイバール島の暮らし
527/569

1000年後のお話 職業体験

【新クレイバール学校】


《初等科5ー1の教室》



「………というのとで結局、クラスを統合することになりました。申し開きは聞きますのでどうぞ?」

「問題児専用のクラス作りませんか?授業邪魔されたら嫌なんですが」

「玖穏…お前なぁ」

「賛成の人」


するとクラスの半数以上が手を挙げた。


「おっお前らっ」

「リュウラ、ガキ大将って今の時代、あんまりよくないと思うぜ?」

「お前だって人のこといえないだろ…リマイス」

「オレ、ガキ大将じゃねえもん」

「なんだと?」



するとガラガラガラと教室のドアを開けた。



「ガキンチョども煩いぞ。今、実験中だと言ってるだろうに」

「七峰かよ」

「呼び捨てするな、しかもそっちの方で呼ぶな」

「相変わらずだなぁ」

「先生たち、このクソ生意気なガキンチョどもをどうにかしろ」

「ナユタ、今日の実験は午後にしろって昨日言っただろうが?午後ならコイツラ嫌でも大人しくなるから」

「え」

「確実に午後なら大人しくなるからそれまでは他の実験を試しなさいな」

「あー……アレの時期かぁ……わかったよ」



それだけ言うとカーウェンと共に魔術の研究をしている七峰ナユタは去っていった。


「アレの時期…?」

「先生、午後に大人しくなるってどういうこと?」

「暴力とかではないからね。職業体験する上で大人しくなるかな」

「えっ何されるのアタイたち」

「怪我とかすることはないからね」

「え」

「午後の授業に不安が……」






◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇









【新クレイバール学校】 


《校庭》



「今から職業体験を始めるぞ。

今回の職業体験は少し特殊な職業に就くことになる……先にオレらから変化するからラブナシカ校長、頼む」 

「任せなさい」



悠珂の合図に返事をしてから頷いたラブナシカは校庭に集まった自身と悠珂とラブナシカにクラスチェンジするための秘術をかけると……。


子供達が休めるようにと校庭の中心にテントを張っていたが、そのテントが変化してサーカスの施設が現れた。

ラブナシカはサーカスの支配人の姿に変化し、悠珂は道化師に変化し賀実は…相変わらずの職業へ。


「うわッ……山本先生ってなんかこウ…山賊の元締めって言う感じになってル?」

「なんではてなマークなんだよ…テティオ」

「言い表せなくっテ」

「テティオの言う通り山本先生がいかにもなアクセサリーをジャラジャラ着けた蛮族の人の姿になってるー」

「でも山賊の元締めは流石になくない?せめて………」

「ヘリオは急に黙ってどうしたの?」

「ゴメンナサイ、山本先生の今の姿を言い表すのが浮かばなかったわ」

「「ブフォッ」」

「ネフォイルと花恵が吹いたw」

「良し、それじゃお前たちも職業の一時変更だな」



悠珂が呪文を唱えると子供達の服装がとてもみすぼらしい格好に変化した。



「えっナニこの格好」

「今の職業に相応しい格好に変化したんだぞ」

「えー…みすぼらしい格好の職業って…?」

「山本先生、それで今の先生はどの様な職業になってますの?」

「今の私は」


すると賀実は答え合わせとして、魔法の鎖を作り出し子供達を囚人縛りに縛り上げた。


「山本先生?!」

「今の私は君たち奴〇を管理したり商品として扱う【奴〇商人】だよ」 

「あっ!だからこんなにもみすぼらしい格好に!」

「奴〇商人?!」

「相変わらず選ばないクラスチェンジだと貴女は【奴〇商人】になるわねぇ」

「…今回の鍛冶屋敷先生とラブナシカ校長先生はどうしてピエロとサーカスの支配人の格好をしてるの?」

「山本先生の奴〇商人という職業に引っ張られる形でこうなったわ。

異界に行くと結構な割合でサーカス団と奴〇商人が行動を共にしているのを見かけるからかしらん」

「それで山本先生、この鎖全然外れないんですけど」

「簡単には外せないようにしてあるからね。一度は経験してもらおうかなと」

「えっ…何を?」

「行進をね」

「なんの行進……?」

「悪徳の奴隷商人がよくやる趣味の悪い行進だよ」

「趣味の悪いと言っておきながらやらせるなんて山本先生も趣味が悪いね」

「本当に…お口がよく回る。もし自力で抜けられたら趣味の悪い行進しなくて良いよ。

そして今日は職業体験として午後の全ての授業の枠を使ってるから好きなだけ今の職業で抵抗すると良い。

それと鎖を弾くタイムリミットは学校が終わるまで」



すると一部除く子供達は一斉に鎖を弾くべく力を入れ始めた。



「だっ駄目ですわ!力が上手く使えませんわ!」 

「ハズレないしびくともしないっ」

「くっ……!」

「がんばれー」

「力の入ってない応援されてもね」

「てかもうすでに諦めてるのが居る!」

「最後まで頑張れよ!」

「無理なもんは無理と諦めも大事よん?」

「そうそう」

「ミトミ!ミズキ!諦めるな!」

「無理なもんは無理ですよ」

「玖穏もか!」

「ちゃんと抵抗しなさいな?!」

「わかりましたよ…」

「ワシが皆をツタなどで縛るより堅いっ」

「それで山本先生、コレは必ずやってるのよね?」

「君たちのクレイバール島生まれの親は全員やってるよ。異世界で下手打って捕まれば大半が奴隷に落されるからどうやったら抜け出せるか試してる」

「それで前回は抜け出したのは居るの?」

「前回と言ったらアリアとナユタか。その二人は協力して力技で物言わせて弾き飛ばした」

「なら教室に来たとき聞けば良かったー!」

「…何したの二人して」

「その力技に関しては企業秘密だな」

「さらに前…ウチらの親世代の時はどうだったの?」

「14人中…9人ほど抜け出したよ」

「半数以上は抜け出したんだ」



そんな話をしていると……。



「山本先生、鍛冶屋敷先生、ぼくは抜け出せたから免除されるの?」

「あぁ、免除されるぞ。それにしても良くあの鎖から抜け出せたな、糸羅は」

「えへへ…実はお父さんとお母さんと3人で特訓したんだ〜。訓練の理由は教えてくれなかったけど、この技術はあって良いものだからって。

お父さんは抜け出せなかった組の方だね。

訓練してるとき少し悔しそうにしてたから」

「ズルしてる!」

「ズルはしてないよ。訓練するにしても私からこの職業体験の事は言うなよと釘刺されて言えないから。

そもそも君たち全員、クレイバール島生まれの親から鍵開けや拘束魔法の特訓しようって結構前から言われてたはずだよ」

「「「「「あっ」」」」」

「俺は言われてないよ!」

「リマイスの所は言わないね。それくらい自力でやれというスパルタ家訓だからね」

「おぉふ」

「今回ばかりは親の言うことに素直に従わなかったのが多かったって事だな」

「糸羅!どうやったら出来る?!」

「教えてあげないよ。ぼくのこと薄鈍だとか小馬鹿にしてるく人達になんで教えてあげなきゃいけないの?」

「…糸羅、誰に薄鈍って言われたの?」


賀実が糸羅を見たが。


「山本先生、大丈夫だよ。イジメじゃないしただの嫌みとして受け流してるから。

それに、こういうざまぁを見て楽しんでる自分がいるしね」

「……………タイムオーバーよ!」



ずっと時間を計っていたラブナシカの宣言で糸羅以外の人物は魔法の鎖に縛られたままであった。



「それじゃ【大名行列】ならぬ【奴〇の行進】のお時間になるね」



だが賀実は子供達を縛り上げている魔法の鎖をひとつひとつ確認を始め鎖を外した。



「あれ……山本先生?」

「玖穏、花恵、リマイス、ルミルチル、ジェサニア、ラークス、ヘリオトープは通常通りの宿題の量としてリュウラ、ヴィアンヌ、ネフォイル、ミトミ、ミズキ、テティオは宿題の量を倍に。

今回は小学生なのを考慮し()()での行進は無しとする」

「自力で抜け出した糸羅は行進なしと2週間の宿題免除とするぞ」

「わーい!」

「なんだよ結構やらないんじゃないか」

「やりたい?」

「いや…別に」

「…それくらい言わないと真剣にやらんでしょうに。

宿題の量を増やされたのは真剣に解除しようとしなかったり、そもそも鎖を外そうとしないでサボった子に限定だからね?」


そして賀実が指パッチンすると全員のランドセルがドサドサといつの間にか引かれた風呂敷の上に現れ、自分のランドセルのもとへ向かい背負った。



「うわ…なんか重いぞこれ」

「ガチで宿題の量が」

「土日を挟むからこその量だな」

「僕は通常通りですね」

「ぼくは軽い」

「それじゃもう帰って良いんだよな?」

「そうよ。それじゃまた来週ね♡それと今晩の()がとっても楽しみよぉ〜♡」

「?」

「うふふ、気にしなくて良いわよ♡」



子供達は一時的に奴隷に落とされた時の事や縛られた事にぶつくさ言いながら下校していった。



「さてと入念に準備しなきゃ♡」

「この時期になるとめちゃくちゃ嬉しそうだな」

「夢なら好きなだけ色々と出来るもの。それに子供達にはちゃんと危機感を思い知らせなきゃね」

「反抗期とは別のベクトルでクソ生意気だからな」

「糸羅は両親とともに観客だな。…夢であろうとも奴〇の行進はすっごいリアリティだからなぁ…見る方もやる方もかなり衝撃を受けるしな」

「コレから引き起こす悪夢から覚めた後でいいから真剣に訓練の授業だけは真面目に受けてほしいものだね」


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