壮大なドッキリ
【ムー大陸】
《住宅が並ぶ場所》
「………ここ何処だ?」
「たぶんだけど住宅地区だとおもうよ?」
悠珂が意識を取り戻した時には賀実によって既に何処かの物陰に隠れていた。
「…まつり達とはぐれたか。アレだけの衝撃と大破した馬車を見た後では当たり前か」
「だからこそ五体満足でいられる奇跡よ…」
「……骨とかは折れてないのか?」
「それに関しては人化したベルネクローネと譜月がポーションを振りかけてくれた」
「…後でお礼を言っとかないとな。今いないのは?」
「一応、斥候を兼ねて様子を見に行ってくれてる」
「なら帰ってくるまで待ってるしかないな」
しばらく待っていると譜月とベルネクローネが帰ってきた。
『様子を見てきたけど人とか居ないし、兵士や生物すら居ないわ』
『監視カメラも無かったぞ。コレだけの文明があるというのにな』
譜月が身体を退けるとそこにはかなりの高度な文明が進んだハイテクノロジー溢れる街並みであった。
「でもコッチのほうが敵にバレようとも自由奔放に動けそうだな」
『目覚めたばかりで大丈夫なの?』
「コレくらいは大丈夫だ…賀実、動けるか?」
「動ける」
「なら動くとするか…ベルネクローネ。悪いがこのまま背に乗せてもらっていいか?」
『任せなさいな』
『賀実も我の背に乗るか良い』
「うん。ありがとう」
ふたりはすぐさま行動に移し、たとえ無人であろうとも神すら欺いた用心深く姿をくらますアイテムを装着して探索を始めた。どれだけ動こうとも誰にも会うことなく研究所のような場所にたどり着いた。
『ココから愛丸、キトリエス、紫蘭、まつりの匂いがするぞ』
「四人は何事もなく合流できてたみたいだね」
「いかにもな場所に向かうのもなんだかな。兵士だらけだと思っていたのにな」
「地上に侵攻してきてたと思ったのにね」
ふたりは譜月とベルネクローネをその場に残し、ふたりだけで警戒しながら先へ進むと何かの液体に浸かる紫蘭とそれを眺めるまつりと愛丸とキトリエスの姿が見えて声をかけようとしたが。
「ねぇ…あの二人にホントのことを言わなくてよかったの?」
「何がかしら?」
「ムー大陸の隆起とかについてとかこの地球が実は『【太古の生命の大神様】によって創造された敢えて地球に似せて作られた異種族からタダの人間に変化させるためだけの世界』とかの話のやつ」
「終末狂会の襲撃から今に至るまでドッキリだったのがバレたとして【大神様も関わる壮大なドッキリ】でしたと言えば良いのよ」
「それに仕方ないでしょう?【太古の生命の大神】が【このドッキリ】を悠珂と賀実に皆で仕掛けて満足いく結果が得られれば紫蘭や他の子供達が心の底から望む種族に変化させてくれるって言ってたんだから」
「島の子供達も真剣にやってくれてたからあの二人もかなり真剣だったわ。
暇つぶしとしてはかなり楽しかったからこの装置使っても良い、今ならバレても問題ないと連絡あったじゃない?ならさっさとやっちゃうわよ」
「うふふ…どんなネタバラシにしようかしらね?」
「…後でちゃんと謝ったり繕わないとね…」
悠珂はこの事実を聞き呆れを通り越して虚無になった。
自分と同じように仕掛けられた賀実の方をグギギギとゆっくり首を動かして見たら賀実は真顔かつ顔を赤くしていた。
そして賀実は振り返ってそのまま研究所から出ていき譜月の背に乗って動き出した。
悠珂もその後を追った。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【ムー大陸】
《何処かの高台》
「………………………」
「なぁ…賀実」
「なぁに?悠珂」
「お前はどう思う?」
「私はここまでコケにされたの初めて。悠珂ですらちゃんと線引きしていたのに…虚無感が凄いかな」
「……流石にそうなるか」
「この気持ちを落ち着けるのに結構掛かりそう」
「そうだな…ヴィレルドの祖先が作ってくれた馬車を失ったもんな。
このまま何事もなかったかのように振る舞えなそうだから取り敢えず愛丸とキトリエスをぶんなぐるか」
「うん。それぞれで右頬と左頬に一発ずついれようかドッキリ大成功と言った瞬間にね」
こうして高台で少し過ごしてから時間を測りながら行動しまつりの自身らを探す声を聞いて合流した。
紫蘭を抱えていたキトリエスと愛丸に再会すると特に何も言わずにムー大陸の長と自分たちが戦い勝利して紫蘭はそれで深手を追い、ムー大陸の長を倒したから地球は元通りになるからクレイバール島に帰ろうとしか言わなかったので取り敢えず表情を繕い従った。
そしてクレイバール島に帰還し紫蘭を島長のポーリアに託した後に言わなければいけないことがあると愛丸とキトリエスにドッキリ大成功を告げられた瞬間にふたりで高台で言った行動に移った。
そして頭を冷やしてくるとその場を離れてこの日はクレイバール島の近くの島で野宿した。