オネェさん指導のカチコミ
紫蘭の鑑定の結果、野菜の武器化の原因は空から放たれたレーザーでありとあらゆる生命を結晶化させる代物であった。
そのへんに生えている木も結晶化していた。
そしてさらなる襲撃者により地下室も崩壊し、私有地から移動することになり、馬車で寝泊まりしながらの散策が始まった。
【某県の某町】
《避難所》
「誰もいなかったよ」
「この避難所もか」
「食料とか物資も余ってる」
「それにしても生物すらいなくなってるのはなんでだろうね?」
「確かに…ハトとかスズメすら居ないもんね」
「野生の猫もペットの犬もな」
「そもそもアタシ達以外の生き物の気配すら感じないわね」
「…この壁になんか文字が書いてあるけど誰か分かる人いる?オリジンスキル持ってても読めなくって」
「異世界言語持って無かった?」
「私は持って無かった」
「賀実の勇者世代は異世界言語解読のスキルは適応されてる事が多いと思っていたけど…貴女は持ってなかったのねぇ」
「現地民の言葉を覚えるのに四苦八苦した方」
「悠珂は読める?ボクは読めない」
「悪いがオレも読めんぞ」
「んも〜…仕方ないわね」
愛丸も解読を試みたが…。
「きぃー!読めないわ!元の身体であれば読めたかもだけど今の身体では無理よっ!」
「紫蘭は?」
「……………残念ながら」
「……どれどれ…ふんふん……」
「えっキトリエス…まさか読めるの?」
「……読めたから朗読するわね?『この地に住まう者は全て捕獲した。我らが住まうムーの地へ捕獲した者を連れて帰還する。
そして乗り遅れた者へ。本国を繋ぐ通信機を隠しておいたから連絡を取りたければ探し出せ』って書いてあったわ」
「通信機!やっぱりあるか!」
「たぶんだけど私たちが見知ってる通信機とは違いそうな感じがひしひし感じる…」
「ねぇ…通信機ってコレ?」
「もう見つけたの?早くない?」
賀実がナマコの様な物を掴んでいた。
「賀実、そっと地面に置くんだ。お前になら出来る」
「なんでいつも機械音痴が見つけちゃうのかしら」
「散々な物言いだな」
「手渡し駄目なの?」
「まつり、よく見なさい。通信機らしい物がピチピチ動いて必死に賀実の手から逃れようとしているのを」
「ピチピチしてる」
「ねぇ…賀実、その通信機はどこにあった?」
「そこの水槽の中にあった」
「アナタ…良く得体のしれない液体が入った水槽に手を突っ込んでしかも掴めるわね」
「ピピピッて言ってたからつい…手を突っ込んで確保した」
「それヤバくない?絶対、敵さんに見つかってる奴だよ」
まつりがピチピチしているナマコをみていると突如として動きがさらに激しくなり流石の賀実も気持ち悪いらしく手を離してしまった。
そしてナマコが地面に落ちるとホログラム映像が映し出されたが、その映像は世界でも観られない高科学な物がある部屋でとても刺激的なパンツレスリングが音声付きで映し出されていた。
それを見た一部を除く者以外はドン引きして悠珂はその場で倒れた。
「きゃあ♡こんなっんもう!」
「んふふふ…良いわぁ…たまんない♡」
「ヤメロー!」
「見たくなければ見なきゃ良いのよ。耳を塞いでおきなさい」
「ねぇ…なんでパンツレスリングに行き着くの?」
「…生まれ持った性の問題に関してはどうにもならないからじゃない?」
「マジレスしなくていいから」
「ねぇ…キトリー?」
「たぶんだけどアタシと同じ思考になってるわね♡危険も承知でよね?」
「えぇ」
愛丸とキトリエスは溢れ出ている黒い欲望を隠すことなく出しながら倒れた悠珂を見た。
「賀実、紫蘭。どちらでもいいから悠珂を叩き起こしなさい!」
「えっなんで」
「またろくでもない事を考えたね?」
「……賀実さん?」
「あら察したなら起こしなさい」
「こうなったからには絶対に行動に起こすか……悠珂、さっさと起きないと君が大切にしているファーストキスをオバケたちに奪われるぞ」
賀実の言葉に反応した悠珂は目をこじ開け「それだけは嫌だ!!」と言い放って飛び起きた。
「起きたわね…悠珂」
「ヒィッ!目がガンギマってるっ!」
「さぁ…一緒にタックスヘイブンへ馬車の中に入って行くわよ!」
キトリエスが指パッチンすると全員もれなく馬車に詰め込まれメフィリーネと天藍も強制召喚され既に馬車を引っ張る為の装備を付けられていた。
メフィリーネと天藍はガンギマった愛丸とキトリエスをみて察し、有無を言わずにムー大陸へ全力疾走で向かっていった。
そしてキトリエスの全力の隠蔽魔法と補助魔法を受けた馬車はとんでもない速度になりムー大陸の建物の一部に突っ込んだ衝撃で悠珂たちはバラバラになった。