お前ら畑で武器でも育ててたの?
【地球にある自宅】
《キトリエスが緊急で造った違法地下室》
※勝手に増築したりすると犯罪です。家が壊れたり、しょっぴかれるので絶対にやらないでください。
「こんな時間まで起きてるなんて何年ぶりかしら?」
「明日の0時がちょうど【ムー大陸の長様】に指定された日だから余計だよ」
「ラジオなんてカウントダウンやってるものねぇ」
「…コレまでの地球の歴史でムー大陸が現れた次元はなかったのに…どうして今になってぇ」
まつりが恨めしげに呟いた。
「新しい島なら誕生してるんだけどもね」
「おっそろそろ時間だな」
「ひぃ~…」
「ビビってないでまつりは避難してなさい」
「愛丸だって……既に避難済みかよ!」
愛丸は既に紫蘭がアイテムボックスから飛び出して設置したヴィレルド特製のとても頑丈な机の下に避難していた。そしてカウントが過ぎて時間となった。
「特に何も起きてない?」
「そうねぇ」
「来てるよ!!」
「きゃー!」
「えっ」
すると外から爆発音がしてグラグラグラと地下室がかなり揺れた。
少しして落ち着いた。
(しばらく声は出すな。念話にしとけ。地下室の上から何かの生命体の移動する音が聞こえる)
(もしかして攻撃しながら敵さんも生き残りが居ないか探しながらやってきてるぽい?)
(たぶんそうね…キトリーの地下室の案を了承して正解だったわね。
もしリビングに残ってたらアタシ達の頭上にいる何かとヤリ会うことになってたわ)
(…魔力使ったらヤバイよね?)
(感知されるから今は駄目よ)
(苔だらけでいや~ん)
(いや~ん言うな。酸素を生産してくれてるのに)
(ねぇ…)
(駄目だからな?)
(うー)
(うわぁ~…時計が狂ってるー)
(えっ)
まつりは紫蘭の時計が狂ってる発言を聞いて自身が持ってるの時計を見た。
そして午前4時44分から動いてないのを確認してしまった。
(ギャー!不吉な時間で止まっとるー!)
(あら…アタシのもね)
(…私の懐中時計はちゃんと正確に動いてる)
(なら賀実、いま何時だ?)
(今1時ちょうど)
(まだ1時かよ…)
すると頭上からギュィイイン…ドドドドとドリルらしき音が響き始めた。
(えっ)
(まぁ魔法が使える輩が住んでたと1時間も有ればバレるだろうね)
(なんで冷静なの?!)
(慌ててもどうにもならないもの)
(確かに)
(賀実も納得しないの!)
(焦った所で見つかったら負けなんだから、見つからないように大人しくしてるしか無いわよ)
(ねぇー)
(さっきまで文句言ってたキトリエスが)
精神的な苦痛を長時間、味わう事になったが、明け方の時間となり音が鳴り止み、気配も消えた。
(あ~…寝られなかったよぉ)
(………)
(あ~寝て落ちした。まつり、その様子だと起きてたみたいだな。ご苦労さん)
(……ココにいる人達、とんでもねーや。寝てたで)
(賀実は寝てるようで寝てねーな)
(いや…途中から意識飛んでる)
((Zzz))
(オネェさんふたりは熟睡してるし)
(紫蘭はどうなんだ)
(種族的に1日くらい寝なくても大丈夫。音に関しては賀実の懐中時計を見ててだいたい午前5時に止んでたよ)
(それで今何時だ?)
(午前9時になる所)
(音止んで四時間か…そろそろ地下室から出ても大丈夫そうか?)
(気配もしないから大丈夫だと思う)
(どうする?)
(外に出れば良いじゃない)
(いつの間にか起きてた…)
(夜なべしたからお肌の調子は悪いけど…)
(それならアタシが斥候してくるわね…開けるわよ)
キトリエスは有言実行して地下室のドアを開けて飛び出していった。
(…なんかミサイル発射みたいになってなかった?)
(勢いが凄かったわね…はしゃいでたわ)
(魔法が使えるか試して…)
(いや、今はまだしないほうがいい)
(…居場所を知らせるような事になるからか)
(御名答)
(………)
30分ほどしてキトリエスは戻ってきた。
(キトリエス大丈夫だった?)
「えぇ、大丈夫だったわ」
「ホントに?」
「山とか物理的に消し飛んでたけど大丈夫よ」
「それ大丈夫って言えるの?」
「家も完全倒壊してたけど家庭菜園は無事だったわ」
「なぜに家庭菜園は無事やねん」
「伏兵は?」
「それも特には」
キトリエスを信じて地下室にこもっていた悠珂達は外に出た。
視界に飛び込んできたのは悠珂と賀実が買った私有地の山は空からのレーザー攻撃によって斜面やらがえぐり取られるような感じでデコボコしていた。
そして周りの山はキトリエスが言ったように山がいくつか消し飛んだ影響で町が破壊尽くされた様子が家があった場所から見えた。
「うへぇ…」
「一斉に上からレーザー攻撃された感じだな」
「山が消し飛ぶレベルの極太レーザー攻撃もあったわね」
悠珂と愛丸は目を細めて絶望的な景色を眺め、まつりは呆然としていた。
賀実とキトリエスと紫蘭は家庭菜園の野菜の様子を見ていた。
「ホントにお野菜達は無事見たいだね…普通は燃やしたり、刈り取られると思うんだけども」
「レーザー攻撃も効いてないぽい?」
「そうね」
賀実は大根を収穫して大根を眺めていたが。
「賀実!!」
いつの間にか賀実のすぐ近くに全身鎧を身にまとった何者かが立っていた。
賀実も直ぐに反応して手に持っていた大根を全身鎧の頭上に叩きつけていた。
するとどうだろうかヘルムがへっこんで地面に全身鎧が倒れ込んだ。
「えっ」
「大根が凶器になった」
賀実は倒れ込んだ鎧を見たあとに手に待っていた大根を見たらどこも欠けることなく収穫した形が保たれていた。
「…なにそれ」
「……大根…?」
「…取り敢えず全身鎧の中身を確認しましょう」
賀実と紫蘭が大根をまじまじ見ていたが愛丸が全身鎧を容赦なく剥ぎ取ってみたが中身が無かった。
「あら?中身が無いわよ」
「愛丸ちゃん!危ないわ!」
今度はキトリエスが畑に生えていた長ネギを収穫して愛丸の背後を取った全身鎧の頭上に長ネギを叩き込むと全身鎧のヘルムがベコッとへこんだ。
「またヘルムがへこんだ…」
「………えぇ」
「お前ら畑で武器を育ててたの?」
「いや、普通に育ててたはず…」
「えぇ…普通に肥料とか水とか上げてただけよ」
「ならなんでヘルムをへこませる程の硬い野菜が育つんだよ」
「わかんない」
「……ジャガイモはどうだろう」
紫蘭は好奇心からジャガイモを収穫してジャガイモを地面に投げつけたら投げた場所が爆心地になった。
「えっ」
「……本当に…野菜を普通に育ててただけだよな?」
「普通に育ててたわ」
「…でも当面、武器に困らなそうね」
愛丸が武器に困らないといったがなんとも言えない雰囲気が流れたのだった。




