オネェさんと肉体言語
【とある山中】
《馬車の中》
「悠珂、この馬車姿の見えない何かによってドナドナされてるんだけども」
今現在、悠珂達が乗る馬車は自動で動き何処かに向かっている。
「今は出れないから大人しくしとけ」
「…………あっ」
「どうしたの?紫蘭」
「私達を追跡していた車が凹んでオジャンになってるよ…中の人は居ないみたいだけど」
「え"」
「でも囚われてる感じはしないわ」
「…キトリエスも紫蘭も良く冷静で居られるよね」
「だって…今の状況からして外を観察してるしかないじゃない」
「……逃げ出せるチャンスある?」
「今だ、という時は来るか………」
悠珂が突然、窓から目線をずらしたのを見て愛丸とまつりは嫌な胸騒ぎが起きたが。
「今度は何を見たのよ」
「前言を撤回するわね。アタシ達を追跡してた輩が捕って面白いことになっておりますわw」
「「えっ」」
キトリエスの言葉にまつりと愛丸は窓越しから外を覗くとカラフルな髪を持つ、もれなく全裸の10人の男女が最初に見た巨大な顔の巨大な真っ赤な唇の女性を囲ってぐるぐる踊っていた。
その中に追跡していたであろう者も混じっているのだろうか。
「……あらぁ」
「ぐるぐる踊ってるけど…どっからどう見ても地球人じゃない感じが…カラフルだなぁ」
「コレなら特に問題無さそう…?」
するとちょうど悠珂のスマホに賀実から電話が掛けられてきた。
『もしもザッし』
「賀実か…どうした?」
『どうした?はコッチのザザザザッのセリフだよ。今さっきまで君たちと出かける予ザザザザッだった【大型モール】に先についていたけどザザッ』
「賀実、ノイズが多くて繋がりにくいぞ」
『えっ?ザザザッ今、山の近くに来てるけどザッ聞こえザザ』
「オレとの連絡は聞こえるのか?」
『聞こえてるザザザッ』
「オレ達の方はたぶんだが、大丈夫そうだからお前の方は気をつけろ」
『えっ』
それだけ言い終えると勝手に切れた。
「もしかしてだけど賀実の方がヤバかったりする?」
「かも知れないわね…」
困惑している所に全裸の緑色の髪のイケメンがトントンと馬車のドアを叩いた。
「もし」
「「キャー!」」
「ちょっと悠珂とまつり煩いわよ。そんなに驚いたなら後ろに下がってて」
「アタシが誘導しておくわね」
キトリエスによって悠珂とまつりは馬車の端の方に連れて行かれ、悠珂とまつりはお互いに身を寄せ合って身を縮めた。
そして祀られている【何か】を見てなんとなくだが事態を理解しいつも通りになった愛丸が表立ちイケメンの裸体をガン見しながら応答した。
「こんなの見たら警戒するか」
「えぇ…普通は」
「取り敢えず、自己紹介から俺の名はテトイムと言う。異界に生まれ変わる前はこの地球で【平阪哲郎】と呼ばれてた」
「貴方も転生者なのね?」
「ということはそちらも?」
「えぇ、転生者よ。それで貴方達は何をしているのかしら?」
「実は異界を行き来が出来るようになったから前世の地球に遊びに来ていたら【オクフク様】と名乗る皆でぐるぐる踊りっている者にココに連れ去られてな。
そしたら舞を踊れと言われてたんだが…何でも満足させてくれたら何でも願いを叶えてくれるそうでな」
「あら…それはそれは面白い話ね」
「君たちも…踊りに参加しないか?」
「悪いけど、お断りさせてもらうわ」
「えっ」
「だってアレ神じゃないし。どちらかと言えばアレは人間の意識によって作られた怪異かしら?力を取り込んで実体化しようとして貴方のような魔法を知っている者から力を啜ってるもの。
キトリー、アレに勝てそう?」
「えぇ、まだそこまでの強さは持って無さそうだからイケると思うわ」
「ならやっておしまい!」
「はーい♡」
キトリエスは愛丸の指示により馬車から影移動して外に出た。
すると馬車に訪ねてきた緑色の髪のイケメンの様子が変わりキトリエスの服を少し腕力で引きちぎった。
「いや~ん、積極的〜♡」と言いながらもキトリエスは緑色の髪のイケメンの背後を取り、イケメンを全裸のままロメロスペシャルした。
「うふふふ…良いわぁ♡」
「やっ止めてくれっ」
「仕掛けてきたのはア・ナ・タ・よ♡」
「きっ貴様もっもしや!」
「アタシはカッコいい子や可愛い子をこうやって辱めるのは好きだけど肉体関係を持つのは好きじゃないの♡
唯一無二のアタシの肉体はアタシだけの物で純潔を守っていたらプラトニックラブがアタシの信条になったわ♡」
「そんなの聞いてねえよ!いつからそんな話に!」
「うふふふふ…お楽しみはコレからよ」
するとキトリエスは緑色の髪のイケメンをロメロスペシャルから解放したと思ったら今度はアルゼンチンバックブリーカーした。
【オクフク様】とやらを囲っているキトリエスの行動にドン引きして動きを止めている異世界人たちの元へ急ぎ足で向かった。
そこで起きた出来事は…………里帰りしにきた時空を行き来出来る【転生者】(ホントかどうかわからない)たちの尊厳を守るために愛丸含む悠珂達は窓を覗くことなく悲鳴やらが終わるまで馬車の床に座った。
そして愛丸が外に出ても大丈夫だと言うまで待った。
そして……。
まつりと紫蘭は唖然とした表情をし、愛丸は派手にやったわねぇ〜といつも通りの表情であられのない姿の強者たちと自主規制状態の【オクフク様】を見た。
そしてカオス空間を直視した悠珂の「あんじゃこりゃぁああ!!」という声が山中に響いた。




