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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
永い旅路
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さっそく巻き込まれた

【とある山道】


《砂利道》


最初は特に何事もなく進めていたが、ある時から一定の距離を保ちつつ後をつける不審な車が現れ二手に分かれて直ぐにキトリエスが山全体に霧を作り上げた。


賀実は原付バイクから降りることなく道路の端に寄りエンジンを切って周りに危険がないかなどを譜月と蓬に確認した。


「……私の方に追跡は無さそう?」

『大丈夫そうじゃ』

『わたちもかんじましぇん』

※蓬の知能低下してる理由は後ほど。

「だとしたら本命は悠珂の方か」

『…賀実、バイクにエンジンをかけるのじゃ』

(わかった。このまま進んでよろしい感じ?)

『あぁ、背後は任せるのじゃ。蓬は賀実の首に巻き付く形で側にいて仕掛けられたらお主の毒で溶かせ』

『わかったの!』

『我も違和感のないように犬に化けて索敵する』

(……怪我のないようにね)

『あぁ』



◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



【とある山道】


《舗装された道》


「馬車でチェイスが起きるなんてね」

「向こうも馬に勝てないのに驚いているわ」

「だろうね。紫蘭、向こうがどういった方なのか調べついた?」

「鑑定してるけど弾かれて見れない」

「と言うことは…向こうも魔法の存在を知ってる者だ。異世界の方にしては車のテクニック凄いけど」

「敵味方の悪意は悠珂もわかるんだよね?」

「えぇ、わかってるみたいよ」

「相手の視線を直に浴びてるであろう悠珂が逃げてるって事は味方ではないって事だね」

「そうねぇ……キトリーに悪いことをさせる訳には行かないから悠珂に頑張ってもらわないと」

「………何気にボク、ラブナシカがキトリエスの事を愛称で呼んでるの始めて聞いたかも」

「人間での姿の時くらい尊厳な神様はおやすみよ」

「尊厳なかま様?」

「神様よ…紫蘭、大丈夫?」

「空耳が聞こえただけですぅ」

「その言い方…なんか癪だわ」

「ここで姦しく言い合うの無しで」

「うふふ…その姿になると本来の年頃のラブ姉様が見れて良いわぁ♡」



少しピリついた所に悠珂から車内放送が来た。



『紫蘭、メフィリーネを貸してくれ向こうもそろそろ本気を出してきそうだ』

「このまま出して大丈夫なの?」

『だいだい向こう側の事情はわかった。髪の毛の色とか見てもどっからどう見ても異世界人だが、地球人の転生者だ、基本の交通ルールを守ってるしな』

「君はルールを破ろうというのかね」

『速度違反にならない程度にしたいが…やるっきゃないだろうな』

「わかった」



紫蘭は外にメフィリーネを呼び出した。



『メフィリーネ、力を貸してくれ!』


メフィリーネは馬車と並走してチラッと追跡されている車を見た。


『……気持ち悪っ』

『「「「「えっ」」」」』

『なんか目線が気持ち悪いな』

「出てきて早々口悪っ」

『…力を貸すのだったな…いいだろう』


メフィリーネはタイミングを見極め、馬車を引くための縄に噛み付いて悠珂に引くための縄を直すように指示し定位置で引き始めた。


「……上手いなメフィリーネ」

『悠珂、集中しろ』

「おう」



すると馬車はみるみるうちに車との距離を引き剥がし悠珂はタイミングを見て馬車を舗装された道から山道に誘導して止め茂みを利用し馬車をかくした。

悠珂は馬車の車内に入る前にアイテムボックスから玩具の馬車を取り出し、天藍とメフィリーネのぬいぐるみを使い、身代わりを作り上げて囮とした。




《馬車の車内》


「……なんだったんだろうね」

「さぁな…里帰りじゃね?オレたち以外にも転生者はいるからな」

「それにしても目線が気持ち悪かったが?」

「しれっとメフィリーネが人化して馬車の車内に」

「…そういえば天藍たら…喋らなかったわね?」

「引く時はだいたい喋らないような気がするが…」



馬車の中にいる者たちはゾゾゾと悪寒が走った。



「あら?鳥肌が立ってるわ」

「……この馬車って特注だよね?」

「特注だ。生半可な攻撃は効かないし窓もマジックミラーになってるぞ?」

「窓に変なのがコッチ見てるし」

「ホントね〜」

「へっ」


悠珂は絶対に窓は見ないぞと意思で窓がない方に身体を向けている。

キトリエスと紫蘭は特に反応無しで見ている。

グギギギとまつりと愛丸は気になってしまい好奇心に勝てず窓の方を見た。

そこに映っていたのは顔がデカく巨大な真っ赤な唇でニッコリと笑う女性の姿であった。


「「きゃぁあああああ?!」」




◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



一方その頃の賀実達は…。




【とある大型モール】


《休憩所》


「………彼ら厄介事に巻き込まれた?」

「…かも知れぬな」


譜月は人化して賀実とは向かい合って座っていた。


『賀実〜…おくしゅりのむの〜』

「……………………」

「蓬が身を削って作った良薬じゃ…飲めい」

「はい」

「それにしても蓬も特殊なスキルを持っておったとは…面白いのう」

「苦い……蓬も地球生まれ地球育ちで世界の壁を越えた存在だからスキルを得ても変じゃないからねぇ。蓬自身の知能を犠牲に【秘薬or劇毒】を作り出せる能力…」

『こうかいはないでしゅ。賀実がしにかけたそばにいれなかったわたち…こうかいっ…』

「それに関しては我もじゃぞ?」

「その話はもう終わってるからそれ以上は言わない。ある程度の買い物してから迎おうか」

「あぁ」

『はーい』




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