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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
永い旅路
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古参のフリルさん現る

【蠱惑図書館】


《資料部屋》


『賀実…大丈夫?』

「キグルミ通して触ってたのに手に生暖かい感覚が残ってて」

「……(蝋人形の乳首を触ってたあたしですら残ってるもんネ…)」

『……少しディーシェとふたりでいなよ。ボクが斥候として様子を見てくるからさ』


タヌ治郎は第2フロアの資料部屋の入口前に賀実とディーシェを残して先に進むとタヌ治郎はそこでさらなる衝撃を受けた。

資料部屋では完全女装のフリルデーモンBがいくつもの書物を浮かべていた。



「あら、いらっしゃい。さっきの乳首チェックでの一発合格はなかなか凄かったわね」

『…完全女装してるフリルさんもいるんだねぇ』

「あらアタシを初めて見る?…みんなゴッツイ姿のままフリルたっぷりのドレスとか着てたりするものね」

『君みたいに細身の男性の骨格のドレス着ててラブナシカに何か言われないの?』

「言われた試しはないわ」



タヌ治郎が完全女装のフリルデーモンと話し込んでいる所に賀実とディーシェも合流した。

何故か賀実はフリルデーモンを見てすぐに完全女装のフリルデーモの背後を取って亀甲縛りして吊るした。



「えッ…なっ何ッ」

『何してるの?!』

「まさか君が居るとは思わなかった」

「相変わらず手荒い歓迎ね」

「そうして欲しいと言ったからでしょうに。そちらも相変わらずなようで」

「アタシ、フリルデーモンだから新しい結界に弾かれずにスルリと入れたわ」

「それは知ってる」

『賀実はそちらのフリルデーモンを知ってるのかもしれないけど、亀甲縛りされてるフリルさんはボクもディーシェも知らないからこの状況について話してよ』

「…メディシーが良いと言ったら良いよ」

「キトリエスちゃんと同じ固有名のあるフリルデーモンさン…」

「アタシは話してもいいわよ?」

「そっそう…少し長くなるけども」

『ぜひ』


 

このフリルデーモンさんはラブナシカと賀実と悠珂の3人だけが知っている古い友人で薔薇族の強者がさらなる高みへ行くためにと転生しようとしたが人間種に転生できず、悪魔に転生した異界の元強者。


キトリエス以前に悪魔に転生したあとでも3人と交友を持っていたがラブナシカがキトリエスを引き取った時にフリルデーモンへ変化し眷属化したそう。


このフリルデーモンさんは元は強者でラブナシカと強い繋がりを持っていた事でフリルデーモンとなった理由から特例として普段から情報収集も兼ねて本人の好きなようにクレイバール島の外で過ごしている。



『…とんでもないのがいたんだね…それにしても人間だったのに人間に転生できないって何したの』

「メディシーは大人の戯れがお得意でね…まぁその口に出して言えない事とかも色々やってたから」

「そこはボヤすのネ」

「私も亀甲縛りとかの縛り上げる系はメディシーに習ったから」

「えッ」

「それとアタシは今みたいに縛られる方が好きなの。たからここへ帰ってきたら腕が落ちてないか確かめるために縛り上げる様に言ってるからこうなるの」

『そんなのは聞いてない』

「放置してるとホイホイ手を出すから縛り上げるとかじゃなくってよかっタ…」

「…ラブには会ったの?」

「まだ会ってないわ。貴女ともう一人の方に会ってからラブリーちゃんに会うつもりよ。

それとアタシを縛り上げて5分間拘束が出来たとして次のフロアに行くための鍵を上げるわ」


すると自身を縛っていたロープを爆散させてとても美しい所作で降り立ち次のフロアへの扉を開いた。


「腕力で賀実特製のロープ引きちぎっタ…」

「次からはフリルはでてこないから安心なさい。謎解きとか頑張りなさいね」

「わかった」

『ディーシェも行こう』

「うン」


スタコラサッサと次のフロアへ向かっていった。

それからはメディシーの宣言通りフリルさんが現れることなく順調に【机の上に放置されてる本を正しい位置に戻す】や【指定された本を探せ】などの謎解きをして最後のフロアまでたどり着いた。






【蠱惑図書館】



《禁書庫のトビラ前》



『ぁ〜…』

「「…………………………」」


禁書庫のトビラ前に看板が置かれていた。

その内容は「禁書庫と呼ばれるだけあり巨大な強靭な精神力を見せた者のみ先のトビラを通るが良い!だが生半可の精神力を持った者であればそれなりの制裁を受けることであろう!」である。


「さっきタヌ治郎が様子を見ると言って先に偵察してくれたけド…さっきからゴロゴロして身悶えてるワ」

「何を見たのかは本人しかわからないけれども」

「今回はあたしココまでで良いかナ…あたしが看板の前に立ったら二人を巻き込んで突如として上から水を被ったし」

「ディーシェの様に引くのも勇気か…」

「……賀実も試してみるノ?」

「うん…ここまで来たからには一つぐらい成果…」



賀実が看板の前に立った瞬間、キグルミがビリビリ弾け飛びTシャツと短パン姿の賀実が現れた。


「えっ」

「あッ…でも下着姿じゃなくってよかったァ」

「私は下着の状態でキグルミは着ないかな。もう一度やったら下着姿になりそうだから引く…」

「それがいいと思うワ…それで何か見タ?」

「コレと言って…フラッシュバックとかはなかった…多分だけど、まだ永く生きてないからだと思う」

「永く生きるって生き恥を多く晒す事にもなるのネ」


未だに悶えているタヌ治郎を二人は見た。


「私に禁書庫はまだ早かったみたいだ」

「諦めるの早いわネ」

「でもそれだけ本当に弱くなったんだと思い知らされることになるとは」

「…腕相撲してみまス?」

「急にどうしたの?」

「ものは試しとしてやってみル?」

「…床に寝転んでから腕をついてやってみようか」


二人は看板から少し離れた位置で腕相撲をしたが賀実は一分も持たずに負けた。


「えェ…瞬殺…」

「…純地球人だもの」


なんとも言えない雰囲気が流れたがタヌ治郎が身悶えていた状態から本来に戻り、床に寝そべっていた二人に声をかけて『ボク達にはまだ早かった』と締めくくり迷路モードの図書館から脱出した。


図書館から出ると三人を待っていた者たちがいたが、賀実がキグルミ姿からラフな格好になり、三人してずぶ濡れ姿を見て何が合ったのか聞きたそうにしたが、三人して何も聞かないでと言った雰囲気を出していたので聞かないでくれた。


蠱惑図書館の迷路モードに挑む者は後を絶たなかったが【クレイバールの栞】を手にしたのは両手で数えられる人数だけであった。


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