チョコレート
【ブック・オブ・ラビリンス】
《セーフティゾーン》
「様々なチョコレートがなんでテーブルに5つあるんだ?」
「バレンタインに合わせてみた」
「あぁ…バレンタインのチョコレートか」
「君にはあげられないけどね」
「?…なんでだ?」
「ここの写本をチョコレートのお菓子に変換したんだよ。お菓子にして食べて消化してここのお手洗い場を使えば確実に水を使って処理出来るから」
「確かにな…それなら処理したことになるのか?」
「たぶん」
「……うむ、美味い。…地球のお菓子は味がいいな」
突然、チョコレートお菓子が置いてある方から声が響き、悠珂と賀実は振り向くと司書がチョコレートのお菓子を全部食べきっていた。
「さっさと帰ったんじゃなかったのか…しかも菓子食ってるし」
「それここの写本をチョコレートのお菓子に変換したヤツだけど?」
「そんなの知ってる。ここで写本を作った強者は大抵故郷の何かしらの食べ物にしてここで食ってお手洗い場で出して外に出るからな」
「賀実がやった方法で正解だと?」
「あぁ、ここを出る答えとしては正解だ。地球出身の強者の変換する料理はほぼ当たりだからな」
「ほぼ当たり…」
「たまーにゲテモノを出すのが居てな」
「ゲテモノ…司書殿はいつまでここに?」
「俺はもう少し残るよ。面倒だが上司に頼まれてココに通う有識者達が作ったセーフティゾーンの管理だけは俺ら【時空図書館】の司書が何故かやる事になってて、ちょうど俺が居るから確認してこいと上司命令でなぁ」
「それでか」
「【忘れられし怪物】があそこまで物理的なセクハラされた事がなかったから様子見も兼ねてココの秘蔵の大人の本を出汁に数名の強者にも協力してもらう事になってる」
「まだ秘蔵の物があるんかい」
「まだあるに決まってるじゃねえか。【愛の伝道神】以外にも【最古の薔薇神】の弟子が複数体いるし、結構ヤッてるからな。
それも神罰を与えるまでいかないようにギリギリ攻めるし厄介なんだよアイツら」
司書が苦虫を噛み潰したような表情をしているの見て悠珂たちは今現在も何処かでヤッてるなと察し、それ以上は言わないことにした。
「それでオレらにお咎めは?」
「無しだ。アレに狙われてた事もあるし、お前たちが狙われた原因がわかってないからな。
自己防衛するための処置をしたのと【忘れられし怪物】を辱めた物は呪のスペシャリストの【呪物コレクター】が自己責任かつ自世界で管理すると持っていったから」
「もし何か合ったら一応報告とかしてくれる?…引き起こした本人とその関係者になるから」
「おう」
「それと…写本は本人が処理しないとヤバいはずでは?」
「そういや俺が食っちまったな……コレを持って出ろ」
賀実は栞を手渡された。
「ココの写本を一度だけなら持ち出せるようになる許可証だ。お前たちの自世界へ帰った後に燃えて消えるがココに通うのは普通に出来るから安心しろ。
それと【愛の伝道神】から頼まれた写本も持ってけ許可しといたから」
「確かに受け取ったよ」
「帰るか賀実」
「うん」
悠珂と賀実は司書に別れを告げて一旦は【地球】へと戻っていった。
そして日本にある自宅で待ち受けていたのはオネェさんによるバレンタインの洗礼である。
【自宅】
《リビング》
「お帰りなさ〜い。待ってたわよ♡」
「ギャーーー!!」
自宅のリビングの中心でキトリエスが自身を全身チョコまみれにしてリボンで自身をトッピングした状態でスタンバイしていた。
それを見た悠珂は家に帰ってきた安心と精神的な疲労とキャパオーバーにより遂に倒れた。
「服を着なさい」
「下着は着てるから大丈夫よ!」
「大丈夫じゃないから。悠珂が泡吹いて気絶してる」
「あら?」
「悠珂自身、向こうでコアな大人の本を直視してたけど耐えて戻ってきたらコレか」
「そんなにコアな本が合ったの?」
「君たちも愛丸から聞いてるだろうけど【薔薇園】って知ってる?」
「それって!」
「そのからして反応は知ってるね」
「えぇ、ラブ姉様の!」
「その薔薇園の創立者の本とかがあってね…後はわかるかい?」
「それを直視しちゃったのね…それでその本は?」
「愛丸に渡すから見たかったら愛丸から直接借りてくれる?」
「わかったわっ。それで探してた本は?」
「既に持ってた…行かなくても」
「持ってたの……骨折り損のくたびれ儲けね」
「うん…クレイバール島に帰るから準備してきて」
「わかったわ!」
とんでもないスピードで着替えてきたキトリエスがクレイバール島への転移門を即興で作り、賀実が悠珂をオンブして先にクレイバール島へ帰還したのをキトリエスは確認し、最後に自宅に創り出した転移門を自身が通ったあと壊れるように細工してクレイバール島へ渡っていったのだった。