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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
永い旅路
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クリスマスの…………。

【自宅】


《リビング》


「ウェイ!メリクリだぜ!」

「ふたりだけ、だけどね」

「……寂しぃっ!」

「寂しいならクレイバール島の方に行けばいいじゃないか」

「一人残していくのがちょっとな…なんでお前は今年はコッチなんだ?」

「コッチに残ってたほうがいい感じがしてね…色々と改変された事もあるし、この地球に居なかったことで自身が生まれた地球を追放なんてことになったら嫌だし」

「なんだ…そんなことか」

「異種族になることなく人間として生まれてるからたまにはこう言うのもたまには良いんじゃない?」

「そういうもんか?」

「向こうには紫蘭が居るから愛丸が暴走することなく、ド派手だろうけどおかしなことはしないだろうし」

「フラグが立ちそうだな」

「さてと窓を開けるか…朝の日差しを浴びー…」



賀実はコタツから出るとシャッとカーテンを開けた。すると家を購入した際に魔法で強化した窓にサンタがベッタリとくっついていた。

賀実は悲鳴を上げることなくシャッとカーテンを閉めコタツの中に入っていった。



「賀実どうした?」

「カーテンを開けるのまだ早かったみたい」

「開けるの早いとかあるのかw」



今度は悠珂がコタツから出て窓側に行きカーテンをシャッと開け、窓にサンタがベッタリ張り付いているのを見て悲鳴を上げた。



「キャーーー!!」



賀実はちらっと窓の方を見た。

するとベッタリ張り付いているのサンタが一人から二人に増えていた。



「……増えてる」

「増えてるじゃねぇ!不審者が居るならオレに報連相しろ!?」

「今、ポリスメンに通報しておいた……そういえばもうテレビって見れるの?」

「設定しておいたから大丈夫だ」

「なら見ようか」



賀実がテレビを付けると緊急速報が流れていた。



『今日、午前9時に学生による立てこもり事件が発生しました。

日本にあるテレビ局に一斉にメール文章が送られてきた内容は学生によるカルト【異完星アポカリプス】と名乗る集団が学園都市が置かれている島である【闘島】を制圧したとの事でした。

そして闘島学園は日本国から独立すると文面で送られてきました……』



その放送を聞いてふたりは呆然とした。



『日本政府は現状の確認として海上保安庁と警察庁による調査が行われています』

「……何があったんだ?」

「さぁ?崇められてたのがいたみたいだけど約2年で出来るものなの?」

「島自体を制圧なんて学生に出来るわけ………学園都市だから大人よりも子供の方が多い…多くの学生が賛同したならできるかもな」

「…異界への扉は開かない様に愛丸がやったからそっち案件じゃないと思いたいね…そういえばキトリエス帰ってこないね」

「……クリスマスケーキの素材を買ってくるって言ったきりだな」



ふたりは一時の不安を感じたが、ちょうどのタイミングでキトリエスが帰ってきた。



「ふたりともどうしたの?アタシが待ち遠しかった?」

「外のサンタ大丈夫だった?」

「外のサンタ?見てないわよ?」



ふたりは閉めたれているカーテンを指さした。



「なぁにふたりして……暗いと思ったらカーテンを開けてなかったのね」



スタスタと荷物を冷蔵庫の近くに置いてからキトリエスは窓のカーテンをシャッと開けた。



「あぁ…アナタたちが言ってたのってコレのことね」

「お前も冷静だな」

「騒いだって変わらないもの……んー…このサンタ、アナタたちふたりを狙ってるわね」

「「え」」

「テレビで流れてる件で頼みごとがあるみたいね……あら〜そうなのねぇ……でもそれとこれと関係ないわよ?向こうが勝手にやってることじゃない。

そんな事言っても……取り敢えず帰りなさい、今日は聖なる夜なの…うふふ素直で宜しい」



キトリエスは窓にベッタリ張り付いているサンタと会話をしていたがサンタは不服そうにしながらも帰っていった。



「取り敢えずは帰ってもらったわ」

「…結局、なんの話だったの?」

「ほら、アナタたち中学生だった頃に色々とあったらしいじゃない?」

「あったな」

「中途半端に異世界で過ごした記憶がある子たちが魔法を使ったら『出来ちゃった』らしいのね」

「うん」

「そしたら『出来ちゃった』生徒とアナタたちが卒業する年に出来た学生カルトと手を組んで島制圧できるんじゃね?って思ったらしくやったらしいの」

「……もしかしてそいつらを捕まえろって話じゃないよな?」

「理解が早くて良いわねぇ」

「だって庭に置き土産が置いてあるから」



サンタクロースが乗りそうな立派なソリが置いてあった。



「……クリスマスに便乗してブラックサンタクロースのお仕置きか…その衣装も置いてあるぜ」

「トナカイのキグルミもね」

「…深夜回る前には帰ってこれるようには協力するそうだから好きに暴れまわってきなさい。

ケーキとか焼いて待ってるわ♡」



それを聞いた悠珂と賀実はもうどうにでもなれぇ〜という感情のもと行動に移した。








◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




【闘島小中高一貫の本校舎】


《とある教室》


「生徒会長の言う通りマジで制圧出来ちまったな!」

「魔法使い先輩の魔法で日本の警察も近づけないし…本当に独立国家としてデキそう!」

「農業系の子たちもいるし本当に生活できそうよね」

「先生たちはどうなるのかなぁ」

「俺たちに従うまで監禁するらしいな」



ワイワイしている教室の電気が突如として消えた。



「わっ!」

「冬って5時には暗くなるから嫌よね」

「しばらく待てば電気付くんじゃない?」

「だな」



だが暫くしても電気は付かなかった。



「「「「………」」」」

「電気付かないわね…」

「付くわけないだろう?」

「え」



誰かに肩を叩かれ女子生徒が振り向くとリアルなトナカイがランタンを持って立っていた。

それを見た生徒たちはパニックになった。



「「「「「キャーーーーーーーッ!!」」」」」



一斉に教室から飛び出して教室の外へ出たが全てが暗く人の気配すらしなくなっていた。

蜘蛛の子散らす様にこの場所から離れていった。



「計画どおり…」

『賀実〜…もうわたち達も動いていいの?』

「うん」

『それじゃ行ってくるねぇ』

「気をつけてね」

『はーい』





【体育館】


《壇上》



「……うぅ……ここは」

「会長ぉ…」

「身体が動かない…」



今回の事を企てた教祖と魔法使いと生徒会長はブラックサンタクロース(悠珂)によって亀甲縛りされ吊るされていた。



「悪い子はお仕置きだべー(ボイスチェンジ済み)」

「なっ何者っ」

「吾輩はブラックサンタ。世間を知らぬクソガキに社会的制裁を与えるためにやって来た」

「お前の魔法はどうなってる?!」

「そっそれが使えないっ」

「魔法封じをしたから使えるわけないだろ…中途半端に力を使ってんじゃないぞ」



悠珂は人に化けてるブラックサンタクロースの服を着たベルネクローネに指示してベルネクローネは手袋してから鼻フックした。



「ふぎゃっ」

「ふっははは!喜べ、この光景はネットにて全国配信中だぞ?」

「なっ」

「悪いがお前たちに関してはモザイク無しの素顔丸出しだ」

「プライベート侵害っ!」

「お前たちは国家反逆罪の罪で裁かれるのにプライベート侵害が適応されるわけないだろ?教祖サマがプライベート侵害なんてことを言ってるんじゃねぇぞ」

「「!」」

「子供だから無罪になるなんてことはないからな。お前たちは調子こいてテレビ局に犯罪文を送ってるし、この島に暮らす者たちを襲ってる場面の映像を送ってるんだからな。

…島に警察や機動隊やらが来るまで楽しもうぞ?外では鹿娘たちがお前たちに加担した輩を追い立てたりしてるだろうしな」







◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




【悠珂と賀実が買った家】



【リビング】



「あらあら…なにやら面白いことをしてるわねぇ」


キトリエスはクリスマスパーリィの準備のためにカシャカシャと卵の白身を泡立てていた。

テレビには悠珂が配信している映像が流れながらニュースキャスターやコメンテイターが話し合っていた。



「うふふっ…手によりをかけて作らなきゃ♡人の悪意やらがテレビ越しでも感じられるわ…テンション・バク・アゲ♡」




この日に起きた事は【ブラックサンタクロースとその仲間たちによるお仕置き】として伝説として語られる事となるはずだったが、日本の八百万の神々が流石にコレはとなり【なぜかこの日の記憶が一部例外を除き集団記憶喪失となった日】となり世間を騒がせた。

だが今回の件をやらかした主犯や加担した者に関してはちゃんと八百万の神々によって不幸体質になる罰を受けたのだった。






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