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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
永い旅路
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変化

【洞窟の入り口】


「なっなんなんだっこのピンク空間はっ!」

「やっぱり腰抜かしてそういった反応するよな」

「……八百万の一柱様か」

「オタクになった神だな」



オタクの格好のままの八百万の一柱は腰を抜かして洞窟の入り口のカオスを見ていたが、悠珂と賀実が洞窟の中からやってきたのを見て「コイツらマジか…洞窟の中から来やがった」と言った表情をしていた。


落ち着きを取り戻すのを待ってから賀実が八百万の一柱の腰に治癒魔法を使い立ち上がらせた。


「外から来た者たちとの件が解決したのか地球の時間が動き出し、上司からお主らの様子を見に行けと言われて来たが…山奥にこんなのがあったら腰抜かすわ」

「大丈夫、ちゃんと元の状態に戻してから帰すから」

「それでまだ洞窟が混沌と化してる状態の理由は?」

「意固地なのが一人残ってるもので…場合によっては強制送還かなって話になってる」

「……我は事が終わるまでお主達から離れるなと上司からの指令が下ったからの」

「それはご愁傷さまです」

「……その一つ聞きたいことがあるのだが…その異世界に行っているようだが…その日本の異世界転生とかの漫画に出てくるような色っぽい服とか着ないのか?」



その質問を聞いたふたりは「?」となったが質問の内容を理解した瞬間に賀実が言った。



「へその窪みや横胸が見えるようなスケスケやぱっつんぱっつんの衣装なんて着るわけない…今現在、そのへんの日本人でそんな衣装を着てる人はコスプレイヤー以外にいるかい?」

「いません…コスプレイヤーでも見たことありません」

「私も地球ではまだ見たことはない。へそ出しの服を着る人はいるけど、日本人の常識を持って異界に行くと服に関しては地球で着てるような服装になる」

「服装に関してはその世界ならではだよなぁ」

「私達と過ごしている子供たちも私たち地球人が着てるような服を着てる…一部の例外を除けばね」

「一部例外っ!異界に行けば居るのか!」

「そういった衣装が当たり前の世界に当たればだけどね…転生、もしくは転移した地球人が服の概念変えた世界とかあるから」



オタクの格好をした八百万の神の一柱の表情がスンッとした。



「それで意固地なのが片付けば終わるんだな」

「えぇ」

「ならば事の成り行きを見定めさせてもらおうか」



悠珂たちは八百万の一柱様を意固地な強者が封じられている最深部まで案内した。



「この者が意固地な異界の者か…我は初めて異界の者を見たがお主らと肉体の構造はあんまり変わらないのだな」

「人間としての種族としては…だな」

「…………ん?」

「どうした」

「キトリエス、本当に君たちは肉体を再生させただけで何もしてないんだよね?」

「えぇ、肉体を再生させただけで何もしてないわ…どうかしたのかしら?」

「あの意固地、人間やめてない?肉体が変化ー



賀実が言い終える前に意固地はニヤリと笑った。



「ここまで待ったかいがあった!ふはは!新たな姿となったが最後!貴様らを自身が受けた屈辱を味あわせてやろうぞ!」

「おっおいっ!」

「あらら」



意固地な強者の身体がカッと閃光につつまれ変化を遂げ悠珂たちの目の前に現れたのは…。



「「「「??」」」」

「ふはっはは!進化した!今直ぐにでも貴様らを引き裂いてやるぞ!」

「いや…引き裂いてやると言われても…その姿では無理じゃない?」

「負け惜しみを!」



すると悠珂はアイテムボックスから鏡を取り出し意固地な強者の今の姿を本人に見せるために写した。



「今の自身の姿を確認してから話すと良いぞ」

「なっ…!!」

「あらあら、随分と可愛い?姿になってるわね」

「人間がリスになるなんて聞いたことも見たこともないぞ…それに人間サイズのリスは…カワイクナイ…」

「でも猫とかに襲われる心配はなさそうだな!」

「新たな都市伝説が生まれそう…って言うより人間サイズのリスがトラウマになりそう」

「このままコイツが外に飛び出したら絶対にヤバいことになりそうだし…さっさと強制送還するか」

「いや待て!元の姿に戻してからにしろ!」

「……あっ!」



悠珂はニヤリとリスを見て笑ってスマホを取り出し誰かとメールのやり取りを始めた。



「何をやろうとしてるのかわかった」

「あらまぁ…永年一緒に居るからわかることかしら」

「そこのものは何をしようとしているのかね?」

「動物の楽園を作った私たちよりも上の世代の方に連絡をつけて、多分だけど大きいリスさんを引き取ってもらえるか交渉してるんじゃないかな」



それを聞いたキトリエスとフリルデーモンたちは真顔になった。



「ラブ姉様ですら関わるのをはばかる者に連絡…」

「確実に人間嫌いな方だろうからね…来るかもわからないけども」



す突如としてトンデモ美形な白衣を来た者が現れた。



「この目で見ないとわからんからな……ふむ…確かに人間だった様だが今はれっきとした動物になっているな…普通はサイズもその動物のサイズになる筈だが…コレは確かに珍しい案件だ。

調べてみるのも一興かも知れぬな……調べてる段階で人間に戻ったなら強制的に自世界に送還すればいいことだからな…遠慮なく持っていくぞ」



それだけ言ってトンデモ美形は人間サイズのリスごと転移して行った。



「コレで万事解決だな」

「本当に解決したのか?」

「……ナニかあったらコレを断行した悠珂ちゃんに責任を取らせれば良いのよ」

「……一応、様子を水晶で見て見るよ…覗かせてくれるのであればね」

「それならアタシも一緒に確認するわ」




一応、この件は解決したとしてオタク化した八百万の一柱は推し活へ戻っていき悠珂や賀実も元の生活に戻ろうとしたが、ここに至るまでに色々とやらかした影響か中学は卒業した状態だったが自身が生まれた実家から存在そのものがなくなり、施設育ちになっていて高校に通っていた事実はなくなっていた。


場合によっては高卒認定を受けて取れば良くないかと言う話し合いになって取り敢えず、キトリエスに戸籍を作らせて身元保証人になってもらい悠珂と賀実のふたりで決めた一軒家を即決で買って一段落付けた。



そして人間サイズのリスさんの様子を見みた賀実とキトリエスが真顔になったのを見て悠珂は…コレ聞いたらアカンやつと思い聞かなかった。



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