意固地
悠珂たちはフリルデーモンたちに丸投げした事にケリを付けるために地球に戻ってきていたが。
【とある山中】
《とある洞窟の中》
「おかえりなさーい♡」
「いらっしゃ~い♡」
「……………」
悠珂はフリルデーモンたちの生活空間に改造された洞窟の入り口を見てドン引きした。
「こんなのでいちいちドン引きしてたらやっていけないぞ」
「お前は本当にこういうの大丈夫だよな」
「もっとヤバいのとかあるからねぇ…慣れって怖いよね」
洞窟内部を見ているとフリルデーモンの纏め役のキトリエスが現れた。
「それで用事は終わったのかしら?」
「うん、あっさり終わったよ」
「……なんだか貴女たち強くなったわね」
「用事を済ませたら生物として完成したらしい」
「凄いわ!それでなのねっ。それと本当に満足するまで色々したけど原型は残しておいたわ」
「そうか…案内してもらってもいいか?」
「任せてちょうだい」
キトリエスに案内され強者たちが閉じ込められている場所に案内された。
「これはまた……」
「…………………」
既に精神崩壊しているのか空虚な目で上を見ていた。それを見た悠珂はさらに絶句し、賀実も流石に引いた。
「体が完璧に修繕されてる様だけど」
「もう性欲による悪さは二度としないと断言できるからそういった機能も作り直してあげたわ」
「ふとした時にフラッシュバックしそうだな」
「うふふ」
「…精神崩壊してない?」
「確実にしてるでしょうね。精神を折るのにアタシたちですら手を焼いたからやっぱり異界を旅できる強者って凄いわよねぇ」
「己らで心を折ったんか」
「結構、業が深いみたいで取り憑いてた魂たちが協力してくれたからイケたわ♡」
「おぉふ……オレらもコイツラのように成ったら、こうされてる可能性があるんだよな…オレらもこうならない様にさらに身を引き締めないとな」
「…………」
「安心なさい、貴方たちは大丈夫よ。普段はその世界に則ったルールに従って節度を持って対応してるんだからね♡
あの子たちは色んな世界で自分勝手にやり過ぎてるのよ」
「これぞまさに触らぬ神に祟りなしだね」
「…送り返すにも……コレだと流石に言われないか?」
「大丈夫よ目覚ましビンタすれば戻るわ」
「ケリつけるとかよりもヤバいことになってたな」
「もしかしてだけどやり合うつもりだったりしたのかしら?」
「一応な…それと呼び出されたときの話になるんだが」
悠珂はクレイバール島に戻った時の話をフリルデーモンたちにした。
「…ラブ姉様から話は聞いてたけど、貴方たちが待ち望んでいた子たちと再会する事が出来て永年の約束を果たせたのね」
「宿屋を狙ってた子達からの接触とか少なくなりそうねぇ」
「太古の勇者に引っ掻き回された事で様々な世界が開放的になってそうだし…それに逆に宿屋が無くなったからこそ調子こいたのが来そうで…うふふっ」
「ラブに怒られないようにね」
「わかってるわ♡」
「この人たちを解放するにしたってどうするの?新しく発足した時空維持系列の人たちに引き取ってもらうの?それとも彼らの自世界に送るの?」
「まずはコイツらの自我を取り戻させてからだな…お前たちが居れば下手な事はしないだろうしな」
すると悠珂は精神を安定させる魔法が乗っている魔導書を賀実から手渡されて習得した。
「習得するの早っ」
「流石の魔導書だな【マインドアンロック】」
閉じ込められたまま悠珂によって無理やり精神を安定化させられ自我を取り戻したがフリルデーモンたちを見て絶叫した。
悠珂によってさらに精神安定を強制的に仕掛けようとしたがフリルデーモンたちに余っ程の事をされたらしく絶叫が止まらず落ち着くまで待つことにした。
「…ようやく落ち着いたか」
「おっお前たち……戻って来ていたのかっ」
「おう、用事は済んだからな」
「全面的に降伏するならば君たちを自世界に送り返すけれどもね」
「だっ誰が降伏など「アンタもいい加減に虚勢を張るのは止めてよ!もう巻き込まないでっ!」
大人しそうな女性が気の強い女性に対して思いっ切りビンタした。
するとビンタされた女性は大人しそうな女性を見て驚いていた。
「そこの女の話は聞かなくていいわ…私は降伏するからココから出してっ」
「それじゃ元の生活に戻ったあとでもオレたちに対して敵対しないのと変に絡まない事を今ここで誓えるか?」
「誓うわっ!」
すると悠珂はフリルデーモンたちを見た。
「アタシたちは貴方たちに頼まれてこの子たちと遊んだだけに過ぎないし、コレらをどうするのかは二人に任せるわ…好きにしなさい」
「わかった。今からオレが手本を見せるから結びの印を結べ」
悠珂が手本を見せると大人しそうな女性は悠珂に対して敵対しない、変に絡まない事を誓い、結びの印をやった。
「賀実、ちゃんと約束が結ばれたか?」
「できてる」
「よし…帰りたい場所を思い浮かべられたらできたと言え…行きたい場所に送還してやる」
大人しそうな女性はできたと悠珂に言って大人しそうな女性はそのまま送還された。
「強制送還じゃねえから時空間の管理者からとやかく言われることはないだろう…お前たちはどうする?」
「俺も帰りたい……太古の勇者に助けてもらったが…借りを返せないならこんな事してる場合じゃない。
俺らの世界も何かしらの変化が起きてる可能性はあるのか」
「オレたちが造った世界も等しく影響を受けてるだろうよ。
だからコレからナニが起きるとかの警戒をするためにオレとコイツが信頼を置いてる者に留守番をしてもらってる。
…お前たちが慕っている太古の勇者はそれだけの事をやったんだよ」
「そうか…帰りたいならオレも帰った者と同じ事をすれば良いのか?」
「あぁ」
「ならオレも誓おう」
すると次から次へと帰還していったが最後までビンタされた女性は残った。
「さてと素直にもうオレらに絡まないと言えばさっさと望む場所へ帰すんだがな」
「貴様らのような卑怯者に従ってたまるものか!」
「…心折るのをこれ以上やったら流石に怒られるか」
「確実に怒られるだろうな。場所を移せば大丈夫そうだが…ここまで意固地になる理由はなんだろうな?」
「ちゃんと戦わなかったからとか諸々だろうけども……場合によっては強制送還」
「それも視野にいれるしかないな」
うーんと唸っていると洞窟の中に「キャーーー!」と甲高い声が響き、フリルデーモンたちにビンタされた者の事を託してふたりで洞窟の入り口に向かっていったのだった。




