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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
永い旅路
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ここ、島よりヤバいわ

【ダンジョンコア内部にある拠点の基地】


《外界に繋がる基地の中央ポータル付近》


「…いい具合に上から…光が入ってきて…秘密基地みたいでいいな!」



悠珂は久しぶりの秘密基地風の基地に興奮していた。



「ホントに畑とかの区画整理が出来てる…」 

「木とかも生えてるわ…それにしても多いわね」

「マスター…帰還なされたのですね」

「「「ん?」」」



3人は声のする方を振りかえるとそこにはエルフ風の女性が佇んでいた。



「エウロラ、何もなかったかい?」

「モンスターを阻む堀のおかげで大丈夫でした…マスターそこの3人は…?」

「君に話してた私の友人たちだよ」

「あぁ…彼らがそうでしたか。マスター、先ほど申したようにモンスターが遂に現れました」

「泳いだりとはかは?」

「ありません、マスターがどこからともなく持ってきた【酸の水】で堀を満たしたことで泳いでも溶けて死ぬ、空中に漂う空気でも死ぬと理解したモンスターは離れました」

「そっか…よかった」

「…この拠点に木が多い理由がわかったわ。空気清浄するのにコレだけの数が必要なのね…」 

「酸の水って硫酸…」

「酸に強い素材を堀の補強に使ってるから大丈夫」

「堀から向こう側に抜ける方法は?ガスマスクを使うのは確定としてな」

「それなら持ち運び式の酸に強い梯子を作っておいたからそれを使うと良いよ」



悠珂とまつりと詩子は酸に強い梯子かぁ…と思ったが賀実の次の言葉に固まった。



「それとも人間大砲を使って射出されたい?」

「にっ人間大砲だと…!」

「危険すぎてクレイバール島の周辺には置けなかったけど、ここなら置いても問題なさそうだったから置いたんだよ」

「……誰か先に試し乗りしたのか?」



すると賀実にエウロラと呼ばれた者がスンッといった表情になった。



「私が人間大砲で試し撃ちを兼ねて射出されました」

「既に射出してた」

「結構な距離を飛ぶので…酸の水に落ちることは今のところありません。

射出された後の着地で怪我します」

「だろうな!」

「移動法は今のところ二つだけど、友好の証がないと基地に入れない設定を仕込んだポータルを作って置いても大丈夫そうな場所に設置すれば安全に基地と壕の外を安全に動ける様になるよね」

「それでポータル作りはどれだけ進んでいるんだ?」

「それならマスターが梯子を使って堀の外に向かい集めた鉱石を精錬してますのでそれが終わってからでしょうか」

「…先に探索しようかと思ったがポータル作りをオレも手伝うとするか」

「そっちのほうが確実に移動できそうね……賀実が基地の土地と決めた所を歩いてきて良いかしら?」

「それならボクも!」

「ガスマスクを装着して行ってね。

間違ってガスマスクが外れてガスを吸って死んだとしてもダンジョンの中だから不思議な力が働いて死に戻れるからね」

「賀実お前」

「私が実践済みだよ」

「「…………」」



詩子とまつりは賀実からガスマスクを受け取りしっかりとその場で装着した。



「ちゃんとハマってるよ」

「それじゃ探検に行ってくる!」



それだけ言うとまつりと詩子は基地の土地と定めた場所を見て回るために歩き出した。



「悠珂は良かったのかい?」

「オレはこのままベルネクローネに跨り、このまま上に上がってみて限界があるのか調べてみようと思ってはいるぞ」

「上か…」



賀実は上を向いて微かに光が差し込んでいる上空を見た。



「一応、ガスマスクしてね」

「ガス溜まりなら地面に近い場所じゃないか?」

「一応はやってね」

「わかったよ…精錬が終わったら呼べ。オレは上空から見て回るとする」




悠珂はベルネクローネを召喚し上空に飛び立った。



「さて精錬している鉱石の場所に行こうか」

「はい、マスター」





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇





【拠点基地】


《堀の付近》



「………足元とかよく見たら地面からトゲが飛び出す罠とかびっしりね…草木で隠してるし」

「下手したらクレイバール島よりヤバいわ」

「ここ、島よりヤバいわ…まるで賀実の心の内を表してるよう…って言っていいのかしら?」

「良いと思うよ。警戒心がクソたけーってのが見える「「……ぷぷぷ…」」」



詩子とまつりとボディーガードのミネコが小笑いしながら周囲を探索していると…。



「あらモンスター?」

「どこどこ?!」



まつりの胸に弓矢が刺さっていた。



「あえ?」

「まつり君の胸に刺さってる!」



まつりその場に倒れると体がシュッと消えた。



「?!」

「詩子、戻るわよ!」

「えぇ!」



残った詩子が踵を返そうとしたらミネコもシュッと消えた。



「えぇ…」



詩子は来た道を戻っていった。






一方その頃、上空では。




『……限りがないわね』

「そうだな…ガスマスクから酸素マスクに替えなきゃならないくらい行ったからなー。

どれだけ広いんだろうな…結構な土地を確保したな堀が全て見えるが…右に避けろ」



ベルネクローネは悠珂の指示通りに避けるとどこからともなく槍が飛んてきていた。



『?!……なんという距離を槍投げしてきてるのよ』

「ベルネクローネ高度を下げて地上に戻るぞ」

『わかったわって第二波来てるわ!!』



ベルネクローネはバリアを張ったがパリンと砕けベルネクローネに刺ささり『ごめん……なさい…』とだけ言って悠珂の魔力で作られた【悠珂の友好の広場】へと戻っていった。



悠珂はぴゅーと上空から落下して行ったが地面にぶつからないように風魔法を使いどうにか賀実とエウロラが居る精錬している場所に降り立って、そこには詩子も戻ってきていた。



「上空から優雅に降りてきたけど…君も襲撃を受けたのかい?」

「もしかしてだが詩子たちもか」

「ボクとミネコがキルされたよ…」



まつりとミネコは既にリスポーンしていた。



「拠点にいた賀実はどうだった?」

「何も来てないよ。多分だけど…拠点から一定の距離を離れると襲われるのかもね」

「飛び道具を作り出してるからそういった対策もしないとやばいな。来ないだけまだマシだけどな」

「悠珂と私でモンスターの間引きするのも手だね」

「…………ヤるか」

「詩子とまつりとミネコの護衛として譜月と蓬を置いていくよ」

「だな…やばいと思ったら戻ってくるぞ。使い捨てのテレポーターは有るのか?」

「作っておいたよ」



賀実は悠賀にテレポーターを渡した。



「それじゃ行ってくる」

「気をつけてね」



それだけ言って悠珂は人間大砲によって射出し、梯子を使って賀実は向こう岸に渡り、梯子をアイテムボックスにしまってから間引きを始めたのだった。







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