ダンジョンコアの内部へ
【薔薇色の宿屋】
《エントランス》
「………なんか…」
「いずれ慣れるぞ」
詩子はド派手なエントランスを見て苦笑した。
「それで賀実、どうだった?」
「ダンジョンコア内でも生活が出来そうだよ。土も其の辺の土とかわらない、どこからともなく上から光が差してるし、水源もあってその水とダンジョンの土で実際に野菜が育ったし」
「毒見役としてアタシたちフリルデーモンが食べたけど普通のお野菜さんだったわ」
「もしかしたら宿屋よりも性能が良い可能性が出てきてる…かなり広い場所だったし、先が見えないからまだまだ広い土地がありそうだし。
だからといってこの世界とこの島を手放すなんてことはしないよ」
「そりゃそうだわな」
「ダンジョン内とこの島にでっかいポータルを置けばダンジョンコアの内部とクレイバール島とで行き来が出来るかも知れないからダンジョンの管理人と一緒にポータル組み立ててみようと思う」
「やれることはやるに越したことないからな…でもこの様子だと地球にはまだ帰れそうにないな」
「ねぇ、賀実」
「なに?」
「あたしたちも貴女のダンジョンコアに入れない?」
「入れるけど…【ダンジョンコア】だからね…条件を突破しないと出られませんになる可能性があるからねぇ…せめてポータルが出来てからがいいと思うんだけど」
「でも実践を学ぶのに詩子の提案は良いかもな」
「え」
「賀実はまだモンスターを見てないんだよな?」
「かなりの距離を歩いたけど見てない。……それとかなりの土地を確保して堀を作ったから出会えなかったのも有りそうかな」
「堀を作ったのか?」
「うん、基地を防衛するには持って来いだからね」
それを聞いた悠珂はニャア…と笑った。
「よし、賀実。オレと詩子とまつりをダンジョンコアに連れていけ」
「なんでボクまで?!」
「愛丸と紫蘭とフリルデーモンたちには魔術で眠っている島の子供たちを集中して確実に護ってもらいたいからな。
それに今回の件で狙われたときの対策として詩子とまつりにもそういうをちゃんと経験させておきたい」
「それ良いわね」
「「え」」
「ダンジョンコアに関しては宿屋のオブジェにして置けば目立たなそうだからここでやっちゃいなさいな」
すると悠珂は見たこともない動きで詩子とまつりをガシッと確保すると賀実が置いた薔薇色の宿屋のオブジェクトとしてちょうどいい場所にダンジョンコアを置いた。
そして悠珂は詩子とまつりをダンジョンコアに触れさせてダンジョンコア内に吸い込ませた。
「よし!」
「なんか君、とても楽しそうだね」
「おう、本格的な…ちゃんとしたダンジョン攻略なんてこの体で初めてやるからな!」
「私は管理を任せてるのと一緒に基地を発展させる方で動くからね」
「おう!」
「それじゃ、またまた島の子供たちを頼んだよ」
「うふふ…任せなさい」
「気を付けて」
「むちゃしちゃ駄目よ?…賀実ちゃん、もし駄目だったらアタシたちを呼んでちょうだい。
貴女は行き来できるんでしょうから」
「そうなったら頼むよ」
「行くぞ!」
悠珂はさっさと行ってしまった。
「こういう時は相変わらずせっかちだわ」
「悠珂らしいとも言う…もし君たちもヤバかったら愛丸が宿屋を小さくして宿屋ごとダンジョンコアに入ってきてね。
私と深い繋がりがある人たち限定ではじめの転移場所を基地拠点に設定して置いたから」
「わかったから貴女も行ってきなさいな」
賀実はコクンと相槌打ってダンジョンコアの中に入っていった。
「一瞬だね」
「そうね……紫蘭、アレらの様子は?」
「大丈夫、悠珂たちに隠すのを悪いと思ったけど…愛丸に言われた通りやっぱり隠して正解だったね。
大神様によって一定の物をリセットした状態での転生をしたふたりにアレに関わらせたくないって言ってた理由がわかったよ」
「魔力が本当に出会った頃のように澄んでるんですもの……前の転生してた頃も澄んでたけどやっぱり、全然違うでしょ?」
「違った。それでアレらどうするの?」
「きっちりアタシが説教してから、ゴマすりと忖度しない人たちで新しく組織を作り直した【時空維持警備社】に転移させるわ」
「説教ねぇ……それで私は何をすれば良い?」
「アタシの義妹たちと一緒にここへ侵入してきた強者たちを追い返してくれてれば良いわ。
経験を積めば貴女が望んでいる潜在進化が出来るようになるかもしれないから」
「わかった」
こうして新た冒険?が始まった。




