旅は道連れ世は情け
かれこれ1週間、まつりと詩子の生まれ育った地球で過ごし一定の情報を得た。
一つ、魔術そのものが消えていた為にソロモン王などの伝説も神秘学この世から消え【ネクロノミコン】などの魔術本の存在すら消えていた。
逆に科学がとても発達し、他の地球と比べて技術力がトンデモ無いことになっていた。
例で言えば江戸時代にスマホが普及されていて現在は空を飛ぶ車が普通に普及されてる状態で詩子がそれを見て腰を抜かして驚いた。
二つ、すでにマザーコンピューターとやらが普及され完璧な管理のもと人間は暮らしディストピア化し、【火天の宿屋】の機能を使い感知されないようにしてホテルなどに泊まらずに自然が残る場所に潜伏したのは正解だったとわかった。
三つ、まつりが本来なら泊まっていた部屋から飛び出した事がマザーコンピューターに見つかっていて四人して指名手配されてた☆
パソコンでハッキングの件は悠珂の持っているパソコンの方がスペックが上で魔術を組み込まれてるおかげでバレていなかった。
【火天の宿屋】
《食堂》
悠珂と賀実は椅子に座りながら頭を抱えるまつりと詩子と宙に浮いてるミネコを見て苦笑いしていた。
「私と悠珂は数時間後にここから居なくなるけどどうする?」
「見捨てないでぇ!」
賀実の足にまつりが縋った。
『縋り方が気持ち悪い〜』
『お主、男だろう…女子の足に縋り付くのは止めい』
賀実の足に縋っているまつりに対して蓬は右頬を尻尾でビンタし、譜月は前足を左頬にゲシゲシと押し付けていた。
「ちゃんと手加減してくれてる…」
「戸籍を作ってくれると言ってくれたのは嬉しいけど、あたし見たいなアナログ人間には完璧に管理された世間はキツいわ!無理よ!」
「それに初代学園長様の存在が消えかけたって言ってたけどアタシも宿でたら確実に消えかけるわよね?」
「…妖精界もなかった事になってミネコは魔に堕ちた事で完全に消えるてことはないと思うぞ。
時空移動はどうやる?またレンタルか?」
「そんなにバンバン使えないけど、今回もまたレンタルだね…それじゃ詩子もミネコもまつりも一緒についてくる感じでいいの?」
「貴女たちの地球はこうじゃないわよね?!」
「大丈夫、西暦2000年代の世界線だから詩子の知ってる世間だよ」
「そんな昔なの?」
「まつりにしたら約500年前の時代だから不便に感じるかもね」
「ソンナコトナイヨ〜……多分だけど…」
「君たちにとって故郷とは別次元の地球だから私たちと行動してもらうけどもね」
「文句ないわ。あたしとミネコはのんびりと過ごせそうね…」
「詩子たちはやりたい事とかその間に考えろよ?」
「もしかしてだけど1年とかいる感じ?」
「おう、オレと賀実が高校卒まではいる感じになるんじゃないか?」
「…大学は出なさいよ?あたしみたいに苦労するわよ?」
「そのつもりだけど…私たちの地球に今回の数多の世界グッチャ事件に関わった強者達の地球人としての姿が居るから用心しなきゃだからねぇ」
「「え」」
「時間が巻き戻ったのに愛丸の感だとまだオレたちの生まれた地球にいるらしい。
人間の身体であろうともクレイバール島からだとお恐れた儀式とか神力を使えるらしく調べてくれたんだ」
「………もしかしてだけどヤり合う感じ?」
「向こうが仕掛けてくるようならな」
「寝泊まりは?」
「詩子とミネコとまつりは【火天の宿屋】で寝泊まりするといい。
私たちは一応、まだ一般人で寮生活してるからそこでの寝泊まりするけどヤバそうならこの宿屋に移る」
「本当に貴方たちはなにかしら起きてるわね」
「昔からこの宿屋を狙ってきてるのはあきらかでね…太古の勇者なら似たようなの作れそうなのに作らないんだよね」
「……この宿屋はホントに奇跡の産物。この宿を創造した子はホントに無欲だったからこのヤバい宿屋が二つも作れた。
太古の勇者とかでも欲望が常識よりあるから代償が大き過ぎてつくろうとしてもつくれないんだ。
それに太古の勇者くらいになると敵を作りすぎてるから今更力を捨て去るなんて早々にできないし」
まつりの言葉に全員黙って聞いた。
「それこそ太古の勇者たちは色々とやらかしてるからね…【異次元の法律】がなかった…秩序が無かった時代を生き抜いた人たちだから余計にね」
「急に重い話をぶっ込んで来るんじゃないわよ」
「…まつりの話を聞くたびに思うがオレと賀実は割と新しい時代の不老不死なんだな」
「君も割と古い神族だったね」
「ふふふ…ボクを敬って良いんだよ?」
「調子こくと碌なことにならないからな。今は敬ってはやらん」
「ぶーぶー」
「それでどうやってこの地球から出るの?」
「この宿屋のドアに【様々な世界が交わる狭間の世界】にだけいけるように設定してあるドアがあるから一旦そこに出てからだね。今外に出たら確実にこの世界の警備システムに捕まる」
「「「え」」」
「この宿屋が見えてないはずなのに警備システムを搭載したロボットがさっきからこの宿屋の周辺をグルグル回ってるよ」
賀実が食堂のとある窓に目線を向けた。
詩子とまつりとミネコはその窓をじっと眺めると数分おきだろうか?アニメとかで見る警備ロボットが宿屋の周りを巡回していた。
「すぐにでもおさらば出来るのよね?」
「うん」
「ならもう行きましょ?」
「ボクも詩子の意見に賛成!」
「アタシもよ」
「なら行くか」
「そうだね」
こうして悠珂たちは【様々な世界が交わる狭間の世界】行きのドアからこの地球からおさらばしていったのだった。




