ガチムチ・パンツ・レスリング その2
《クレイバール島》
【火天の宿屋】
《食堂》
「おい!アレはなんなんだ!」
早朝に島の探索に出ていた悠珂がものすごい剣幕で帰ってきた。
その様子を見て朝食の準備をしていた賀実と紫蘭は何があったと近くによった。
「何を見たの?」
「なんかキモかった。とにかくキモかった」
「キモいだけだとわからない…」
「昨日、賀実の違和感が合ったって言ってたの、もしかしてアレのせいかもしれなぞ!」
「君がそこまで言うなんてねぇ…よっぽどのナニカなんだね」
呑気な会話をしている悠珂と賀実を見ていた紫蘭に電流が走った。
「……もしかしてだけど真っ黒くて背中にはコウモリの羽が生えてて頭に触覚3本と悪魔みたいな尻尾生えてた?」
「紫蘭、何か知ってるのか?!」
「火天の宿屋がクレイバール島に転移した時に便乗してついてきちゃったのかも…食屍鬼が」
「えっ、アレが食屍鬼だと?!」
「私たちが籠もってる時に共食いしてたらあぁなったみたい…」
「…私たちは運が良かったんだねぇ…アレと鉢合わせなかったみたいだし」
「今のオレ等だと狩れねぇぞ。アレ」
「ふたりとも全盛期よりも弱くなってるの?」
「あぁ、リアル高校生でファンタジー世界に行った時の力は大神によって半分取り上げられたからな。
紫蘭よりオレらは弱いぞ」
「ふたりに頼ろうと思ってたけど…出来なそうだね」
「でもアレをこの島から追い出せる方法はあるにはあるけれども…悠珂が取り乱すほどヤバいのに効くか…」
「あっあるにはあるんだ」
「一度は試してみてもいいかもね…今は朝食の準備をちゃちゃっとやっちゃおう」
朝食の準備に悠珂も加わり、全員分の料理を作り終えて準備をして朝食を取り、外に出るのは禁止にした自由時間となった。
《エントラスラウンジ(左)》
「バッキバキ」
「お前って変な所、肝が据わってんな」
籠り生活が始まった当初は気まぐれなる大神が連れ去った【人工の現人神】が窓にべっったりとくっついていたが今は【リアル筋肉隆々なバ◯キンマンモドキ】が窓からコチラを見ていた。
「あら~アタシの好みじゃないの〜」
「人間になっても相変わらずだね…ラブナシカは…」
「それで何をするの?」
まつりは興味津々にしながら聞いてきた。
「私か悠珂の全盛期の魔力が詰まった私が今、手に持ってる魔導書を使って威嚇しようかと思ってる。
もしコレが効かなかったら最終手段として【冥界の鬼人】を召喚します」
「そうそうに呼べるものなの?」
「本来なら理由とかなければ呼べないけど譜月がその昔、とある鬼人が飼い慣らした【冥界の狗】にギリギリだけど勝った時があってね。
褒美として【冥界の勾玉】を【鬼関連】で何かあった時に使えと褒美として貰ったんだ」
「フュ〜…譜月凄いねー」
「当時の私はお前はなんちゅうもんに喧嘩売ったんじゃと心の中で思ったものだけれどもね」
「そうでしょうね…それで誰が本を使うの?」
「私か悠珂に決まってるじゃないか…愛丸は駄目」
「どうして愛丸じゃ駄目なの?」
「十八禁な展開になりそうだから」
「どういう意味かしら?」
「気持ち良すぎて✕✕し「ストーーープ!女の子のお口からそんなピーピー発言聞きたくないわ!」
「人間の体になろうとも、アタシはそんな事にならないわよ」
「いや、わからんぞ〜」
「ならやってやろうじゃない」
それだけいうと愛丸は賀実から本を奪い取ると宿屋から出て行った。
音に反応した食屍鬼は愛丸に襲いかかろうとしたが愛丸が書物を開くとそこから重厚な魔力が放たれ、宿屋にいながらその魔力に腰を抜かした紫蘭とまつりはその場に膝をついた。
悠珂たちも前世であろうとも今の身体とは別人故に自身にも圧がかかり脂汗をかいていた。
「本人たちにも効いてる!」
「あの圧に耐えてた子供たち凄いね……それに今更だけど申し訳ない気持ちがが…」
「当時のオレたちって…人間を辞めてたんだな」
「ようやく自覚したか悠珂!賀実!」
「冷や汗とか止まらない」
「背筋にゾクゾクってきた」
火天の宿屋にある図書室にいた詩子とミネコも腰を抜かしながらほふく前進しながら慌ててやって来た。
「何アレ?!」
「こっ腰が抜けたわ」
「今さっきのアレは私と悠珂の全盛期の時の力だよ」
「おおっふ」
「地球外はやっぱり魔境だわさっ」
「そういえば愛丸は?!」
悠珂の声に反応した者たちは一斉に窓の方を見た。
すると愛丸らしきモザイク加工された存在は悠珂をビビらせた食屍鬼らしきモザイク加工されたのとガチムチ・パンツ・レスリングらしき動きをしていた。
そしてクレイバール島に戻ってきたということはフリルデーモンの中でも切れ者が…ラブナシカの目を盗んで成り行きを見ることが出来る実力者が複数名いるのを知っている者は目の前が混沌になると理解してしまった。
なぜなら地面の影が不規則に動いてフリルデーモンの体の一部が出ていたからである。
だが現地点でそれを知ってるのは賀実だけである。
※紫蘭は生きていくための知識と現地点でクレイバール島に暮らしている子どもたちとの記憶だけは本人が過ごしてきた記憶なので持ってる。
新生したことで賀実の思い出の記憶がだいぶ薄れているので結構前の転生する前の記憶であるオルシェルアでの事とかは覚えてません。
賀実は愛丸によってファンタジー世界で前世でどういう事があったとかの失った記憶を神力で見せてもらったので覚えていると言うより知っているのである。
「「「…っ!!」」」
「おほぉ〜賀実が言った行動を取ってるぅ」
「外で何しとるのかね?!」
「ガチムチパンツレスリング」
「しっ島が穢れるっ!」
「ヤッてるとこを見たくなければ目を瞑るかこの場所から離れる事だねー」
「なっ何が起きるっていうの?!」
「カオス」
賀実はそれだけいうと寝っ転がり、ゴロゴロと転がりながら事の成り行きが終わるまで(愛丸が宿屋に戻るまで)その場から離れていった。
賀実の様子を見た悠珂も寝っ転がりゴロゴロと転がりながら離れて行こうとしたがまつりに足を掴まれて無理だった。
悠珂は仕方ないとほふく前進に切り替えてまつりと共に離れ、紫蘭は詩子とミネコを魔力で宙に浮かべてふたりが居た図書室に向かっていった。
従魔たちは悠珂たちの前世で一番の全盛期だった頃の魔力を主人を通じて浴びて気分が高揚したと思ったら圧に負けて気絶状態となっていたのだった。




