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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
永い旅路
463/569

結構ヤバかった

【秘都ノ高校】


《2ー1》


「おいおい……現人神が負けて黒いナニカが勝っちまった…どうすんだよ」



悠珂の発言通り、愛丸に召喚された現人神は勝ったと最後の最後で油断したのか黒いナニカに心臓と脳を黒く太い針のようなものによって貫かれそのまま黒いナニカに上半身を喰われていた。



「想定外になった…愛丸、大丈夫なの?」

「今はこの結界を壊せないからアタシたちになにかしてくるってことは無いわ……ねぇあの黒いナニカはコチラに気づいてるかしら?」

「めっちゃコッチを見てたからわかってると思う」

「おい、黒いナニカが現人神を喰った影響か人の形をなしたぞ!」



賀実と愛丸も黒いナニカの方を見た。

黒いナニカと言い表していた者が人の姿を取た。

さらにコチラを見てニッコリと微笑んだ。


姿は黒髪が腰まであり前世の悠珂と賀実の姿とは全くの別の美少女あったが一つ異なる部分があった。

それは瞳の色がこの地球では決して生まれることが無いだろう色をしていた。


悠珂と賀実のアイテムボックスの中から突然、短刀が飛び出して結界をすり抜け人の姿を得たナニカに突き刺さった。


流石に人の姿を得たナニカも咄嗟に反応することができなかった事に驚いていて短刀を取ろうとしたが取れずき突き刺さった短刀から古い言葉が全身に現れ【金色に輝く魔力の鎖】が全身を覆った。



『ここなら大丈夫だと、ふたりをこの地球に転生させたが…どの世界線の地球にも問題があるのだなぁ』

「なんでお前が」

『お前とは相変わらずだな』



三人の目の前には悠珂と賀実をこの地球に転生させた張本人が意識体ではあったが現れていた。



「あの領域から意識を飛ばして大丈夫なんですか?」

『少しくらいならな……お前たちから記憶を取って安全かつ五体満足で成長させると言ったからにはな。

それに今のお主らでもまだ到底太刀打ちできぬ【地球生まれの太古の勇者】の負の遺産とやらせるわけには行くまい』

「負の遺産なんか…」

「記憶に関しては愛丸に見せてもらったしたけど」

「おいっ」

『お主の正直さは愚かしくもあるが…美徳でもある…見ただけなら何も言わぬし問わぬ。

アレはワシが貰ってゆこう、アレはこの地球の神々では手に負えないし、ワシの侍女にでもしようとするかのう…呪いが転じて人と成った例など中々ないから実験…コホン、それとこの地球から別次元の地球に行きたくば、太古の勇者の手足共を排除しなければ出られぬからな』



それだけいうと気まぐれなる大神は指パッチンすると人と成ったナニカを転移させて『それとコレは実験体を貰う礼じゃ』と言って町を覆っていた黒いモヤを浄化した。



『次に逢う時を首を長くして待っているぞ〜』



それだけ言って去っていった。



「相変わらず嵐みたな方だね」

「賀実、お前の発言にヒヤッとしたぞ」

「嘘が通じないから言っとかないとと思ってね」

「お前なー」

「あんまりそう責めないの」

「しっかしよぉ?」



悠珂が愛丸に体を向けて振り返ると…。



「…………愛丸どうした?何があった?」

「不可抗力よ」

「そうか不可抗力か……ってなるかい!!」

「え」


賀実も愛丸を見るとブフッとむせた。


「閣下っ!」

「V系のメイクかと思ったら閣下メイクなのね…」

「体とかの異常は…ぶふっ」

「…もしかしてだけど格好も?」

「おう」

「…後でイタズラでも仕込んでやろうかしら」

「アイツが動かなきゃいけなかったまでになってたと今、思うとヤバかったんだな」

「あれだけの結界をかいくぐって来たから…力の制限をされてたとしても愛丸の札とかも壊したからね」

「オレらの強化とかどうするか…太古の勇者の手下が来てるって話だが…賀実は感じられるか?」

「……感覚も鈍ってて残念ながら」

「それならあなた達の前の学校に居たわよ」

「「え」」

「アタシが色々と手を入れて近づけなくしたり色々としてたわ。

あなた達があの学校から出る時にも色々と手を回してね…アレは傑作だったわ〜」



こういう時の愛丸は何か裏でヤッてたりするので深く追求はしないようにしている。



「そっか…ありがとね」

「いいのよ。賀実」

「それで変にチラチラ見てきてた奴がいたがこっちに来なかったのか」

「それにあなた達の家や家族に手は出せないから安心しなさい。【気まぐれちゃん】が手を回してくれてるからね♡」

「そのへんは愛丸が言ったような事だろうと小さい頃から思ってたし心配はしてな」

「そう」

「体を鍛えると言ってもやっぱり格闘術とかを習うしかないよね」

「だろうな…後は時が来るのを待ちながら体を鍛えるぞ。あいにくここは自然が豊かで体を鍛えるのに充分な環境だ」

「ですよね~」

「アタシも自然エネルギーを取り入れたいからのんびりと過ごさせてもらうとするわ」



悠珂と賀実はこれからの事を考えて少し気が滅入ったが、なるようにしかならないと思うことにしたのだった。



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