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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
永い旅路
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どこもかしこも問題だらけ

【秘都ノ高校】


《2ー1》


外の様子を見るために窓を覗いている二人の背後に愛丸がシュッと戻ってきた。



「うおっ突然戻ってきたな」

「…お呼ばれしてたんだね」

「うふふ、悠珂たちにはバレてるわね。それで黒いモヤと人工の現人神の軍配は?」

「…最初は均衡してたけどやっぱり現人神の器の方が多いみたいで力を吸収してそろそろ決着が着くところだよ」



愛丸も窓の近づいて外の様子を見た。

すると【元の現人神】は巫女の姿をしていたが今は禍々しいモノを取り込んだ影響かV系の巫女になっていた。



「ブフッ…なんかロックンロールな感じになってるわねぇ…前世の貴女達の血肉を得てる影響か美形なんでしょうけどド派手なヴィジュアルメイクのせいで残念な事になってるわ」 

「長年の疑問なんだけど…毎回なんで禍々しいモノを取り込んだ影響がでるとV系メイクかKI◯Sメイクになるんだろうね?」

「悪といったらこうでしょって言う貴女達の認識関係が影響しているんじゃないかしら?」

「前世のオレらの繋がりによってか…それであの現人神どうするんだ?あと突然現人神が消えたと紫蘭たちパニックってるんじゃないか?」

「現人神についてはアタシが取り込むわ」

「……………出来るのか?」

「大丈夫よ。貴方たちが一度アレの中にアタシを降ろしたでしょ?それの影響でだいたい掴めたもの」

「ならケリが着くまで待ってよう」






3人は事の成り行きを見守りに入った。

【火天の宿屋】の方は………。


 





【火天の宿屋】


《エントラスラウンジ(左)》



いつも通り「キェエエエエエエエ」と雄叫を上げて窓をキイキイと引っ掻いていた【現人神】突如として消えた瞬間に立ち会った詩子と紫蘭は腰を抜かした。



「きっ消えた!」

「ひえっ…」



あわあわしているところに譜月と蓬がやって来た。



『どうしたのじゃそんなに慌てて』

「現人神が消えたっ!」

『え』

「そうなの消えたのよ!アタシたちの目の前で!」

『魔法陣とかはあったの?』

「それもなく突然消えたの!」

『うむ…なら外に出られるのか?』

「いや、止めた方が良い。現人神が居なくなったとしても食屍鬼がいるから」

『食屍鬼なら我らでも』

「その辺の食屍鬼じゃない。現人神の攻撃を避けた食屍鬼たちが私達を食べたくってこの学校に集まりギチギチ状態からさらに蠱毒状態になった事でヤバい食屍鬼一匹だけが勝ち残ってウロウロしてるんだよ」

『どうしてそれがわかってるの?』

「それはワシが頑張ったからじゃ」



すると一冊の本が浮いてやって来た。



『あっ初代学園長だーまだ居たんだね』

「言い方きつい。…まぁよい。この宿に間借りしているのであれば少しくらいは手伝うぞい」

『見かけてなかったと思ったが外に出ていったのか』

「ワシは本が本体じゃから血肉を喰らいたい食屍鬼から見向きされてなかったのを利用し外の様子を伺っていたんじゃがな…紫蘭殿が言った【とある食屍鬼】がワシの知恵を喰らおうと来たから逃げてきたんじゃ」

『どうやって出入りしてたんじゃ?』

「紫蘭殿から模造品の【帰還の短杖】をワシが宿ってる本の中に入れてもらいそれを使ってここへ戻ってきたのじゃよ」

『………もしかしてだが【ヤバい食屍鬼】は今、我らを凝視しているやつかの?』



譜月の言葉を聞いた紫蘭と詩子はクギギと首を動かして窓の方を向いた。

するとそこにいた。

窓の目の前にいた。



力をつけ異形の姿をさらに変化させていた食屍鬼が。



「っっ!」

「ギャァアア!」

「うむ、間違いない其奴じゃ」

『…ふーちゃん、アレ強い?』

『うむ、我が見た中で一番強い食屍鬼じゃな…ヘタすれば獄卒よりも強いかもしれんぞ』

『賀実たちが戻ってきた時大丈夫かなぁ?』

『現人神が消えた件に我らが主人が関わってるのは確実じゃろうから…きっと大丈夫じゃ』

『わーい』

『あっそういえば紫蘭たちに聞きたかったことがあったんじゃ』

「きっ聞きたいことって?」

『まつりを知らぬか?』

「まつり?………あっ!!」



紫蘭は引けた腰の事を気にもせずに立ち上がった。



「最近見てない!七夕前後から!」

『そうか…外には出てないから安心せい。匂いからして突然消えた感じだ』

「それじゃ現人神と一緒じゃないの!」

『現人神と一緒とはどういうこと?』

「実はカクカクシカジカで」



情報を共有した。



『…………今、この宿屋は緊急事態モードに入っているからどのような者からも手は出せぬ状態なんじゃがなぁ』

「…もしかしてアナタたちが知らない内に帰還したサニカが本をいつの間にか買って足してるって事ある?」

「『あっ』」

「あって……全くあなた達たら…」

「この宿の図書室を調べてみようか」



数時間後…。



《エントラスラウンジ(左)》



床に敷布を引いて紫蘭や譜月ですら気付かぬ内に増えてた本をまとめて置いた。

増えた本の数と内容を見て紫蘭と本を探す手伝いするために人化した譜月はテーブル席で頭を抱えるポーズを取っていた。



『ふーちゃん、紫蘭ちゃん…だいじょうぶ?』

「大丈夫じゃないかな」

「……賀実も時々やらかすのう」

「もしかしてだけど転移系の本があったり?」

「あった…しかも一度使ったら終わりのやつ」

「どこに転移したかとかは?」

「もしかしたらじゃが…本の持ち主としてサニカが認識されてた痕跡があったから…転生先に召喚された可能性大じゃ」

「現人神が召喚された件とか重なるタイミングだから余計に不安…」

「こういう時は成るように成るわよ。頭を抱えて考えてたって起きた後なんだからどうしょうもないじゃない」



詩子の発言に渋い顔していた紫蘭と譜月はスンッとなり「「今回の件は帰ってくるまで忘れることにする」」と言って【忘却の魔法】を自身にかけこの件を一旦、忘れることにしたのだった。


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