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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
永い旅路
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やばいのにはヤバいのを!

【秘都ノ高校】


《2ー1》


夜の学校に入るための準備を入念にしてその時が来るのを待っていたが遂にその時がやってきた。


「時は来た!」

「……さてと隠しカメラの映像をこのテレビに映すわよー」

「せめて1時間前から取らないの?」

「バレると嫌なん…キャァアア!!」


悠珂は隠しカメラに呪っているだろう人物の顔がドーンと写っていてこちらを見ていた。

悠珂はズササと愛丸の背中に自身の背中をくっつけた。


「どうしたのって…あらあらバレてるじゃない。今回のアタシの隠蔽工作、結構自信あったのに」

「何があった?」

「賀実はそのまま校庭の方をみてて。決してこっち見ちゃ駄目よ。

隠しカメラの前に呪いをかけてるご本人の顔がドーンと写ってるのよ〜」

「のんきな言い方できる状況なの?……悠珂が悲鳴を上げたってことはガンギまってたか」

「えぇ、もうギンギンよ!」

「おっお前ら!奴がカメラから離れた!来るぞ!」



すると学校に侵入する前に街中に貼った御札が燃え始めたという印が付き始めた。

それを見た悠珂は引いた表情を浮かべながらも立ち上がった。



「……まつりから貰った御札が即真っ黒になったぞ」

「思った以上にヤバかった?」

「想定外なのと…あいつちゃんと修行してたのか?」

「…してるけれどもまだまだだったってことよ。アタシたちの暮らしてる寮でコレをやらなくって良かったわ」

「寮でやってたら二次被害出てたかもね」

「お前ら第2関門突破されたぞ」

「あら〜ホントに早いわねぇ」

「…ねぇ私でも私たちが暮らしてる町の空がドス黒くなってるのがわかるって相当ヤバいよね?」

「「えっ」」


すると一瞬だが愛丸と悠珂は賀実が見ている方を見ると学校から町へ行く道の先からドス黒いオーラが見えた。



「おっおい…ラブナシカ」

「今は愛丸よ。…なんか本格的にヤバくなってきたわねってちょっと!学校を囲ってる森にも黒い瘴気みたいなのがモクモクして来たわ!」

「もしかしてガチのヤバいのに手を出したかオレらっ!」



ちょうどのタイミングで学校の周りに仕掛けた結界をなにかで叩く音が響き出した。



「ヒッ」

「もうなの?」

「………いた」

「どこに?!」

「私たちがちゃんと見える位置の結界に張り付いてる。見るなら目を合わせるの無しでね」

「あらやだっこっち見てるわ」

「ああいうのオレ、苦手なんだよ!」

「知ってるわよ。記憶を失ってもなお駄目なのね」

「どれくらい持ちそう?」

「んー…夜明けギリギリかしら?もしこのまま持ってくれればこの姿のアタシでも祓えるわ」

「なら持たせるぞ!」



悠珂のとても必死な様子を見て賀実はぷるぷると笑いをこらえた。



「笑いをこらえてどうしたの?」

「普段なら私がされる側だから少し滑稽に見て…」

「まぁ確かにそうねぇ……あらもう結果にヒビが入ってるわ」

「なんだと?!」

「修復間に合うかな?」



賀実はヒビが入った場所に新たな結界を一部だけ作り出し崩壊の危機は一旦はどうにかなった。



「コレでどうかな?」

「いいじゃない」

「よくやった!」

「そんなに駄目か」

「駄目なんじゃない。無理なんだ」

「一緒じゃない」

「…………」

「賀実どうしたの?」

「なんか時間が止まってない?」

「「え」」


賀実はポケットに入れていた懐中時計を開いて確認していた。


「その時計が壊れてるだけじゃないのか?学校の時計は動いてるよな?」



愛丸と共に悠珂は部屋に飾られている時計を見上げ眺めていると賀実の言う通り動いていなかった。

その様子を見て悠珂はヒュンッとなった。



「おいおい嘘だろっ!」

「でもその割には相変わらず結界を叩く音が響いてるわよ」

「……悠珂の言うように時計が故障してるだけならいいけどもね」



不穏な空気が流れ始めたが時が刻まれることなく結界を叩く音が響いてる状況が続いた。

そして…



「賀実、そろそろ刺股を渡してもらっていいかしら?」

「……はい」

「行って来るわ」



それだけいうと愛丸は刺股を持ち二階の窓から飛び降りて校庭の真ん中に立った。

すると刺股を杖代わりにして何かの魔法陣を描き始めた。



「なんか書き出したぞ」

「あれは…召喚陣?」

「その召喚陣で何を召喚するきなんだ?」

「……嫌な予感がする……転生特典の結界石を用意しないとかな?…なんかカオスになりそう…あの魔法陣から禍々しい感じがするし」

「えっ…お前が感じ取る時って大抵ろくなこ



悠珂が最後まで言い終える前に賀実は即行動に移し、アイテムボックスから最後の結界石を取り出し地面に叩きつけ校舎全体を結界が包み込んだ。


それとほぼ同時に3人で張った結界が壊れる音とともに禍々し過ぎて正体のわからない真っ黒いナニカが校庭まで侵入してきたが愛丸の召喚陣も完成していて召喚陣の中心からまたしてもヤバいのが現れた。



「……絶対オレたちこの件が終わり次第この地球の神様に怒られるぞ」

「あれ呼べたんだね…」

「繋がりはオレたちが作っちまったからな」

「そういえば愛丸は?」

「…召喚した瞬間からいなくなったな」

「もしかして私達より先にお呼び出しくらった?」

「かもしれねぇな」



二人は引き攣った表情をして真っ黒いナニカと自身らを死に追いやった人工の現人神が殺り合ってる事の成り行きを見守る事にした。






























【とある時空間にある神域】



「どうして貴方様がこの場所に呼ばれたのか…解っておりますね?」

「なんのことかしら?」

「我々よりも上の立場の貴方様がナニを召喚しやがったんですか?」

「やばいのにヤバいのをぶつけたほうが早いと思わない?」

「……その後のことは考えておられますか?」

「特に考えてないわ」

「この人やっぱり入れちゃだめだった!」

「拒否したところで時空の穴開けて入ってたから余計始末がつかなくなってた方のが面倒だからまだマシ」

「酷いわね〜」

「酷くないわ!」

「地球に残してる二人に関しては、あの方の加護を受けているから多少は大丈夫でしょうが……貴方様がどうやって収拾をつけるのか言わない限りあの地球には戻しませんよ?」

「…そんな怖い顔しないでちょうだい。わかったから…ちゃんと収拾つけるわよ」

「どのようにです?」

「大丈夫、貴女達に迷惑は絶対にかけないわ」

「何をするのか説明してください」

「それはねー…




ラブナシカの話を聞いたこの次元の地球の神族たちは真顔になった。



「それが上手くいったとしてもロクなことにならない気がします…」

「貴女達の地球に別次元で絶賛やらかし最中の太古の勇者から派遣されてる子達が居るから、アレを取り込んだら派遣ちゃんたちと対峙する時にでも使うわ」

「……この方に任せて本当に大丈夫なのでしょうか?」

「…実際に我々では何かしらの要因がなければ地球に住むものに対して干渉は出来ませんからね。

別次元の者をお恐れた事をしないで適切に処置してくれるならば文句はありません…見てますからね?」

「適切に処置するわよ」



それだけいうとラブナシカは悠珂たちの元へ帰されていったのだった。


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