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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
永い旅路
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何かを企んでる二柱

【アルリタリカ様が作り出した拠点】



《女神専用の部屋》



「あぁ……なんてこと…まさか我々の中にその様な事をやっていた者がいたなんて…」



悠珂と賀実はひとまずアルリタリカ様の元へ向かい今回も話せる範囲で話した。



「その異界の勇者の異物はどうなってるのかしら?」

「残念ながらオレが爆散させたからわからん」

「ドヤるな、証拠も残さず何しとんねん」

「ホントよ」

「だからこそオレと賀実でもしかしたら生きてるかもしれない【マッド神】と逃げたかもしれない【勇者の異物】を探そうかなって思ってる」

「…大丈夫なの賀実?」

「踏み込んじゃいけない線引は出来てると思うけど、好奇心から踏み込みそうになったら気絶させて止めるよ」

「……賀実だけだと心配だからアタシの方から数人つけるけどいいかしら?」

「それで不安がなくなるならいいぞ」

「対勇者は大丈夫そう?」

「それなら大丈夫よ。悠珂の作ったトラップ魔法がまだまだあるし…それにアタシが加護を与えたアタシ好みの戦士たちが拠点に向かう場所に常にいるおかげで常識人たちはこの拠点にまだ向かえないからもうしばらくは持つわ」

「なら大丈夫そうだな。何かあれば呼べば飛んでくるからな、それと真澄…オレらと冒険するか?」

「へっ」



急な提案に真澄はビクッと身を強張らせ本格的な旅をしたい気持ちはあるが。



「少々危険な事に……いや、冒険となれば常に危険と隣合わせの生活になるが…経験してみるか?」

「えぇ…と」

「目立つような移動は出来ないから徒歩や馬での移動になるし、野盗とかと戦うことにもなるけれどもね」

「野盗とヤリ合うのは…ちょっと刺激強ない?」

「ファンタジー世界の裏側へようこそ」

「いやや!知りたくなかったこの真実っ」

「真澄の職業は?」

「………一応は取ったで」

「ほうほう…いったい何を取ったというのだね?」

「ライダーや」

「お前…スピード刺激を受けて快感に目覚めて暴走族にはなるなよ」

「ならんわ!」

「で…どうするよ」


真澄はちらっとアルリタリカ様とラブナシカを見たが愛丸は行って来いと合図を出し、アルリタリカ様も微笑ましそうにしていた。



「なら…行く!」

「よし!行くぞ」

「準備してからね(職業がライダーか…バイクはさすがにヤバそうだから馬を用意しないとね。運転手とライダーだと性能や能力がどう違うんだろう?)」

「お気を付けて」

「……愛丸は大人しくしててね?アルリタリカ様を頼んだよ?」



賀実の釘刺しにラブナシカはビクついてグギギと賀実の方を見て二コォと下手な笑みを浮かべた。

それを見た悠珂と真澄は「「下手くそか!!」」と即座にツッコミを入れた。



「不義だけはすんなよ?」

(賀実のマジの声色を聞いたの久しぶりだな)

「エェッダイジョウブヨ!ダイジョウブ!」



ラブナシカの様子に(((絶対に大丈夫じゃねぇな)))と3人は心を一つにしたが。



「本当に信用してるからね?」

「ええ…」

「…アルリタリカ様、ここから出るとしてどのルートがマシだ?」

「ここからなら西ルートでしょうか…」

「なら西ルートから行くぞ」

「そういえば賀実が言ってた用意ってなんや?」

「テントとか食料とか諸々。真澄はその場で取って食べたり地面に直で寝たかったりするかい?」

「いいえ」

「なら持っていかないとだね。現実と違ってここではアイテムボックスという異次元ポケットが使えるから持ち運びは楽だよ」

「流石やねぇ」

「なら準備しないとだな」



アレコレ必要なものとかをアイテムボックスに詰められるだけ入れて3人は西ルートから旅立っていった。

そして…。



「ラブナシカ様…本当に宜しいのですね?」

「えぇ、賀実が居たら確実に怒られるし、悠珂と真澄ちゃんだけだったら打ち明けても良かったんだけど…確実に引かれてるかもしれなわね……でもヤるわ。

それに裏で悪さしてた神族が生きてるかもしれないそうだけど、どうしたいかしら?」

「……もしお二人から聞いた話が本当ならば……ラブナシカ様の計画に組み込んでください」

「あら…良いのかしら?」

「その方が確実に心身共にダメージを与えられますし、確実に神から堕とせますから(ゲス顔)」

「お主も悪よのう」

「お代官様ほどでは…」

「「うふふふふふ…」」



拠点から二人の怪しいオーラが染み出していて、旅立ったばかりの3人はゾクッとして振り返った。



「やっぱりなんか企んでるね」

「しかもアルリタリカ様のオーラも含まれてるぞ」

「…………戻る?」

「いや、こういう時は戻らないほうが良い、見たくないもの見ちゃうから」

「アルの奴は大丈夫か…?」

「賢人様なら拠点から出てるで?」

「えっ」

「えってなんやねん」

「………二人ともひとまず賢人の隠れ里に向かってくれないか?」

「わかった」

「何かあったん?」

「アル…アルヴァインは女神に会ってこの争いが終わるまでお側を離れないって言ってたんだよ」

「何か頼まれ事をしたんじゃないの?」

「だといいんだがな…それに【賢人の隠れ里】に向かう理由はもしもの時に使えるもんを拝借しに行こうかなと」

「それ窃「借りるだけだから」…ちゃんと許可取れや盗賊ちゃうぞウチら」

「そういうの含めてひとまずは着いてからだね……それと真澄の職業スキルを使うためにそのへんに居るであろう野生の馬を捕まえるよ」

「そこは馬を借りるとかじゃないんか」

「なるべくなら足跡とか残したくないし、返しに行くのが面倒だからね」

「捕まえられるのは異世界ならではだな。現実でやったら即逮捕だし……野生の馬が居ればいいけどな」

「なら話し込んでないで早く行くで!」



真澄の合図に悠珂と賀実は頷き、不安を感じながらもワイワイしながら【賢人の隠れ里】へ向かって行ったのだった。


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