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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
永い旅路
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シンペルアの崩落の日

【シンペルアの街】


《シンペルアの街を見下ろせる林》


賀実は目を覚ましてすぐに音をなるべく出さないように起き上がった。


そして結構前に悠珂が作った試作品の【自動自立身代わり人形】をに髪を切って使い自身をコピーし、今来ている服を着させて人形をその場に置いた。


いざという時にしか使わないと決めている転生特典のアイテムボックスから眩ましのマントを取り出して本人が着てからラブナシカに一方的に言わた内容に対して、もう少しちゃんとした内容の説明して欲しかったと思いながら本人は移動を始めた。


少し離れてからマントを着たまま新しい服を着て昨晩の運転手の話を思い出しながら歩き一定の距離を稼いだら走り出した。





《野営地》



「ここならあの街からはバレないでしょう」

「……それで先程話すと言っていた話とは?」

「実は…あの街には【勇者の遺跡】と呼ばれている場所が隠されていると伝承があるのです」

「勇者の遺跡…」

「それも大昔、勇者が使っていた品が眠っているそうなのです……私はその遺跡を守る一族の出なのです」

「おや」

「私と共に遺跡に向かい、勇者の選定を受けていただけませんか?そうすればあの街を救えるかもしれない」

「一つ聞きたいことがあります。勇者の遺跡を守る一族の出なのにギルドの運び屋として過ごしていた経緯は?」

「異世界から勇者が神より授けられし武器を持った状態で召喚されたことで昔の勇者の遺跡を管理する我々の一族の役目は必要ないと追いやられ、自身で稼がなくては行けなくなったからです」

「世知辛い…」

「ですが…神族から守れと言われ続けているので生きていくにも必要なことだったのです」

「そうでしたか…明日の昼までには必ず決めますので考えさせてください」

「わかりました」



こうして日暮れだった事もあり、精神的な疲労と肉体の疲労を癒やすために早めに休んだのだった。


今現在の賀実は悠珂から合流地点の場所の連絡が入り待ち合わせ場所へ向かった。







【心水の森】



《心水の泉》



「よぉ!1ヶ月ぶりだな!」

「1ヶ月ぶりだな!…じゃないから。一ヶ月そこらで世界が荒ぶってるんだけど?」

「アルリタリカ様が徹底的にやれと言ったからな」

「それとラブナシカに力を授ける役目をやらせてるから変態が大量発生してたよ」

「…………アレな」

「知ってるんかい」

「場所によっては全裸だからな」

「うわぁ…」

「それで戦闘技術はものに出来たか?」

「それなりには出来たと思いたい…君みたいに強くてリトライはできてないから異世界の戦士同様にコレからどんどん経験を積んでいかないとだね」

「それで魔法は?」

「根本に根付いているらしく使えるよ。前みたいにボンボン使えないけどね。

だからこそ戦士としては中途半端な感じになりそうだと鍛えてもらったお爺さんが切なそうにしてたよ」

「まっそんなもんだな」

「それとラブナシカが夢枕に出てきたのは別に良かったんだけどなんか内容が一方的だったんだけど」

「蘇芳がついに動き出しててな。こちらの動きを感知されないように強制的に切った」

「それでか…ここは大丈夫なの?」

「この世界の精霊は中立の立場を取ってるらしく蘇芳の権力やアルリタリカ様の権力が通らないように出来てるらしくてな。

だから精霊が作り出した森なら密会するにはもってこいだとよ」

「ふむ…私は少し出遅れたのか」

「お前が動けない分、オレもとことんやらせてもらったから満足だぞ」

「確かに…未だにアルリタリカ様の元へたどり着いたものが居ないって言われてるからなぁ…」

「どうする?オレらの秘密基地に一旦戻るか?」

「いや、私が残した身代わり人形の様子が気になるからそこの泉を水鏡にして様子を見たい」

「なら少し観察するか」



賀実が水鏡の魔法を使い自身をコピーした人形の動きの観察を始めた。







◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




賀実と悠珂が観察を始めた頃には既に人形と運転手は街に侵入し、運転手の指示のもと勇者の遺跡へとたどり着いていた。




【シンペルアの街】


《勇者の遺跡》



「ここが勇者の遺物が眠る場所か」

「冒険者殿を選んで正解でした」

「そうですか」

「では中へどうぞ」



二人は勇者の異物の眠る場所へ難なくたどり着いた。

人形の賀実の目の前には培養ポットの中に入っている異形を宿している人間の少女が現れた。



「………運転手殿これはどう言うことですかな?」

「こういうことですよ?」



人形の賀実は瞬時に避け運転手の攻撃を大剣を使って防いだ。

運転手の手は既に異形となっていた。



「ここは勇者の遺物が眠る場所ではないのか?」

「いいえ、勇者の()()が眠っている場所ですよ」

「解釈違いって奴か……お前がこの街のボスか?」

「……いいえ、ボスではありませんよ。勇者の異物の守護者…彼女が目覚めるまで私は贄を捧げなくてはいけないのです」

「お前はどちら側だ?」

「我々は勇者だとか魔王だとかに興味なんてございませんよ…両陣営が共倒れになってもらったほうが好都合ですので邪魔はしてないのです」

「……ここに入った時点で逃げ場はなしか」

「素直に首を飛ばされてください」



それだけいうと異形とかした手を使い広範囲攻撃を仕掛けられ自身を守っていた大剣が真っ二つに折れ攻撃を喰らい人形のコアが剥き出しになった。



「お『自爆装置が起動します』



カウントダウンもなく直ぐに起爆し辺り一面に閃光が奔った。





この起爆によりこの世界から一つの街が消え勇者と魔王の争いの裏で動いていた何かの正体が判明することなく消えてなくなった。


煙火の森の【シンペルアの街】の生き残り達によって街が魔族と見られる集団によって占拠されていた事と一夜にして街が大穴になった事が証言され【勇魔大戦】が終結した後に【シンペルアの崩落の日】と呼ばれるようになったのだった。


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