修行の日々
【とある賢人の隠れ里】
《修行の間》
「ワシ、教えることない……アルリタリカ様から魔法使いとして鍛え上げろと送られて来たものの…教えることないよぉ」
「そっか」
「そっかじゃないぞ…どうしたらそこまで極まっているんじゃ…秘薬を飲ませたら一発で目覚めてコレだよ
さぁ教えるぞって気合入れて調べたらこうだからね」
「そんなに考え込むと禿げるぞ?」
「誰が禿じゃっ!ワシはまだ100年ちょっとしか生きとらんわ!」
「不老不死になったショタジジが何をいってんだ」
「ショタジジとはなんじゃ!悪口を言われてるのはわかるが意味がわからんのが悔しいっ!」
「フハハハ」
「お主は魔王か!」
「……そういば勇者全員地球に帰したけど攫われた魔王どうなったんだろう?」
「魔王じゃと?」
「おうよ。話すと長くなるけど聞くか?」
「えっ」
悠珂は話せる範囲でこれまでの事を話した。
「魔王領が永久凍土になったと風が運んできたが本当だったのか……本当にお主ともう一人は転生者だとしても何者じゃ?そんでそこらの輩とどう違うのじゃ」
「伊達に生きてないのと教え子たちと研鑽を続けてきた結果だろうな」
「ふむ…(ワシもこんな風に籠もってないで表に…いや…小奴らが受け入れられていた環境がかなり特殊だっただけじゃろうな)」
「それでオレはもうここから巣立っていいのか?」
「いや、今はまだじゃな。もう少しここで健やかに魔力を慣らすと良い。
たとえありとあらゆる魔法を扱えたとしても慢心はイカンぞ?」
「そうかよ…ならもう少しここで研鑽するか」
「それが良かろうて」
「……爺さん水晶玉はあるか?」
「ん?…あるが…何をするんじゃ?」
「水晶玉を媒体に攫われたけど勇者が居なくなったことで魔王が何をしてるか確認したくてな」
「………ワシにもやり方を教えてくれまいかの?」
「爺さんがエロジジイじゃなければ教えてやるよ」
「誰がエロジジイじゃ。色事を断ってここまで来てるのに今さらやるわけないじゃろ」
「どうだかな(エロいの意味は地球と一緒か)」
悠珂は隠れ里に住まう賢人と共に水晶玉を使い、魔王や世界情勢がどうなっているか調べ始めたのだった。
一方その頃の賀実は…
【戦士の鍛錬場】
《ミスリルゴーレムの間》
「小娘!腰が引きつっているぞ!!」
「そんなのわかってるっ」
「そのへんの刀でミスリルゴーレムが切れるわけ無いぞ!ワシのように小娘の近くにある戦斧を持て!力技で何とかできるレベルのミスリルゴーレムじゃないぞ!」
賀実は戦士としての指導員と共にミスリルゴーレムと相まみえていた。
賀実は大きくいきを吸ってから刀を地面に突き刺し、地面に刺さっていた戦斧を両手で掴んで持ち上げてみせた。
「…戦斧もてと言ったけど…なんちゅう馬鹿力じゃ…アレはワシでも持てなかった奴を両手を使ってじゃが持ったぞ」
爺さんはドン引きした。
賀実は戦斧を構えてミスリルゴーレムの足元まで一気に向かって行った。
ミスリルゴーレムの動きに合わせて攻撃をギリギリで避け一撃で足を一刀両断し、動きを封じてからとどめを刺した。
「……なんじゃ…やればできるではないか」
「………………」
「どうした小娘」
指導員はミスリルゴーレムの近くから離れない賀実の近くに行くと賀実は静かに涙を流していた。
「こんな風にスキルに頼らず自分自身での戦闘は久し振り過ぎて…怖かった」
「いきなりミスリルゴーレムはすまなかった…だか動きが熟練の戦士なんだが」
「頭でなんとなく覚えている感覚でやれると思って実行したのは良いけど…本当に怖かった…」
「お前さんは変な度胸があるな。今回は上手く行ったようじゃが、ここで頭で覚えるより心身を鍛えながら戦闘技術を叩き込んでやるぞ」
「…お願いします」
「ふむ、素直でよろしい」
そしてオネェとヤンキーと崖っぷち神族の3人は……。
【ギャップルン共和国】
《宿屋》
「一時はどうなるかと思ったけど何とかなるもんやな!」
「コレでもかと稼げたわ〜!」
「……フヘヘ……シュワシュワもう一杯〜」
「全くアルリ様はもうそれだけにしーや?」
「えー…なんでですかぁ?」
「堕落すんで?」
「もう私は堕落してますよぉ〜…私達を祀っていた神殿が神官たちは私達の石像を破壊して新しい神様を祀ってやがるんてすからぁ〜」
愛丸たちはギャップルン共和国にたどり着く前にいくつかの国を渡り現実を見てアルリタリカ様はいじけ、愛丸たちと共に過ごすうちに酒の味を知り怠けるを知った事でエリート街道から転げ落ちていた。
だが愛丸と真澄によってギリギリ深淵に落ちる既んで止まっていた。
「もう無理っ!あれには勝てましぇーん。この世界はもう終わりですぅ〜」
「まだ終わってないわよ」
「どーしてそんなふうに言えるんでしゅか?」
「こんな風に街で酒飲んだりが出来てるからよ。
もし完全支配されてるなら森の中での生活とかになってるわよ?」
「まるで経験したかのようなコトを言うな?」
「実際やったことがあるもの」
「あるんかいっ!」
「あの頃はアタシもまだ若かったのよ」
「何年前の話や」
「ヒ・ミ・ツよ♡」
「うー…いつまでこの国に滞在しゅるのぉ?」
「カジノでだーいぶ儲けさせて貰ったからこの後すぐに出るわよ?」
「えっ」
「広大なカジノがある場所って大抵治安がヤバイのよねぇ〜…でなくちゃこんなどこからでも逃げられるルートがあるような個室を前金払して借りるわけ無いでしょ?」
「えっ」
「アタシの魔法でこの部屋を騒がしくしたままタイミングをみて立去るわよ?」
「えっ?」
真澄が混乱している間にも愛丸はタイミングを見計らってアルリタリカ様を片腕で担ぎそろそろと宿屋から離れていった。
アルリタリカは酔い潰れていたために見ることはなかったが真澄には現実を見せるためにと自分らが何も知らずにあのまま泊まっていたらどうなってたかを見せつけた。
「はわわわわっ…」
「ヤバイでしょ?」
「怖っ!人間怖っ!」
「どの世界もこう言う所は変わらないのよねぇ」
「離れなくてだっ大丈夫なん?」
「大丈夫よ…今は検問所とかにもいるから安全に外に出るための時間を稼いでるところだから♡」
「…一応は一人旅してた時期が1週間だけあったけど…運が良かったんやなぁ」
「あらそうなの?」
「召喚されての1週間だけな」
「治安の良い国にだったのね」
「そうみたいや」
愛丸たちは時が満ちるまで大人しくし過ごし、この国から脱出したのだった。




