ガチムチ・パンツ・レスリング
【暴走族の住処】
《集会場》
夜になり真澄たちがキャンプファイアーの周りでワイワイガヤガヤと騒いでいる所に「キャァァアア!!」という甲高い悲鳴が響き渡ると一斉に悲鳴が聞こえた方に何事だと向かっていた。
「姐御!コレ見てみぃ!」
「なっ!?」
真澄たちの目の前には亀縛りされギャグボールを口にハメられた見張り役の3人が木の枝に縛り上げられ吊るされていた。
「なんちゅうマニアックな縛られ方してんねんっ!」
「姐御は知ってるんですかい!」
「うちの故郷で一部のへ…マニアたちに親しまれてる奴やん!……侵入者が入った!お前たち!この基地を隅々まで二人一組で調べるんや!」
「しっ侵入者?!」
「へっへい!」
すると残った少年少女たちは二人一組となり自分たちの基地を隅々まで調べるためにこの場から離れていった。
「何なんや……何が起きとんのや……」
「本当に何が起きてるのかしらね?」
「へっ」
真澄は後ろを振り向くとそこには目がガンギマっている濃い化粧をした愛丸が立っていて幼馴染の真澄ですら蘇芳だと気付かなかった。
「ひっ!怖っ!お前が犯人なんか!?」
「そーよ?悪い子には躾しなきゃ♡」
真澄に有無を言わせず愛丸は身動きできぬように魔法の鎖で縛り上げ叫ばれる前にどこかへ引きずっていった。
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「コレは一体どうなってるんだ?」
「さぁ…私達が着いたときにはこうなってたから…何が何やら」
悠珂と賀実が暴走族の住処にたどり着いた時には既にもぬけの殻となっていて悠珂が自ら自作し準備したねずみ花火や時限花火が手から地面に落ちた。
「愛丸の気配は?」
「残念ながらこの場所にはないな。一体何したんだアイツは…この状況に関しては昼間からここにいたアイツしか考えられんからな」
「もう少しだけ気配を探る範囲広げられない?」
「バレないように繊細な注意を払ってのは少々きついがバレても良いならやるぞ?」
「いいよ」
「ならやるか」
捜索範囲を広げ悠珂は見つけちゃった。
「アカーン!!」
「わっ!」
「あいつの本性ヤバいわ!悪魔たちに崇拝されるだけあって!」
賀実は悠珂の発言で大体察した。
「ピンク系?それとも亀さん系?」
「あいつやっぱりヤベえよ!」
「………愛の伝導神を名乗る前は【天災】と呼ばれてその前はタブーを犯した神族たちに罰を与える役目やってたからなぁ」
「だからって裸にひん剥くのか?」
「…辱めも罰になるからね」
「賀実、ギガースたちの暮らす坑道に行くぞ」
「よりによってそこか…ギガースは何もしてない?」
「してない。ただ非行に奔った子供たちを怖がらせるスパイスに使ってるみたいだな」
「なら坑道近くまでは一緒に行こうか。坑道内部には私だけだね」
「……すまねぇ」
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【巨人たちの坑道】
《巨人たちの大広場》
「全裸じゃないから良かった?…けど…ガチムチパンツレスリング…」
目の前で行われているテカテカのギガースと非行少年少女によるガチムチパンツレスリングを見て賀実はドン引きしていた。
ちらっと真澄の方を見たが縛られ、しかも目を閉じれなくされているために直視してドン引きしているのが見えた。
賀実はレスリーをしている非行少女と同じハイレグレオタード姿の愛丸を見てさらに表情を引きつらせた。
「ファイッ!」
(ファイッじゃないから)
「小僧!掛かってくるがいい!」
「おっおりゃぁああ!」
カラダとカラダがぶつかる音が響いた。
(なんか対戦者のギガースいやらしい表情してるけど手を出すとかじゃな……あれ?今あのテカテカのギガース少年の少年に触ったよね?……ラブナシカ一色に染まってる……モザイク処理しとこうか……ん?)
賀実はパンツレスリングしている所をモザイク処理して周囲を見渡すと大広間の一番いい場所に飾られている半端ないオーラを醸し出しているオブジェに気が付いた。
それはどっからどう見てもギガースのロイヤルファミリー達がサイドチェストポーズで仲良く石化させられ飾られていた。
(よりによって石化の呪いかい!しかも300年後に石化が解けるようになっとるし。
ちゃっかり炎の精霊も石化させてる…大丈夫なんかな後に生まれるだろう現地勇者……ギガースたちのやらかしとか諸々石碑とかにして残すようにこの世界の神族たちに言っとこ)
賀実はタイミングを見て愛丸に対して勢いつけてドロップキックを繰り出した。
「痛ったいわねぇ〜」
「痛いわねぇじゃないから」
「あら賀実じゃない」
「のんきか己は!」
「よくここがわかったわね」
「私の相方に無理をしてもらったんだよ。この光景みて相方が発狂してたよ?」
「青いわね」
「それでなんで君は少年少女を拐ってこんな事をさせてるの?」
「ギガースたちと人間に肉体交流を取らせて魔物としてではなく巨人族として定着させようかと思ったの」
「アウトォ!」
「なんでよ!ケチっ!」
「ケチじゃないわ!前科あるって言ってんでしょうが!たとえ君の知り合いの戦神の血を引いてようがやることやっててアウトはアウトじゃい!この世界のルールを捻じ曲げるな!」
「キィイイ!」
「ヒステリックをあげるな!ガチムチパンツレスリングなんて一部のマニアにしか需要は無いわ!!」
賀実とラブナシカの物凄い剣幕の言い合いに周囲が静まり返り、真澄も1ヶ月ぶりの賀実を見たがここまでの賀実の剣幕を初めて見た真澄はひゅんっとなって縮こまった。
悠珂は二人の言い合いが長くなると遠くから見ていたが近くで縮こまっている真澄が気の毒になり「久し振り」と挨拶して真澄を開放した。
「ゆっ悠珂…賀実ってあんなふうに声を出すんやな」
「アイツは感情を表に出すのはあんまし得意じゃないからなぁ…」
「……なんか己ら軽装やな」
「俺は剣聖でアイツは奴隷商人だ」
「ん?今なんていったん?」
「奴隷商人」
「………なんでやねん」
「ホントだよな……ここ一ヶ月何してたか話聞いてもいいか?」
「ええで…賀実と変態が落ち着いたらな」
「あ~…お前に変態について話しておかなくちゃな」
「お前ゆうな……えっ」
真澄は悠珂の口から衝撃的な事実を聞きその場で固まった。




