我でもどうにも出来ぬ
【ファウル・ファン・アヴァン】
《神々の領域》
神々は悠珂たちが思った以上の行動をしたので観察をしていたが。
「あの二人…意外と容赦無いって言うか…情に流されないベテランだったね」
「確かに惜しかったな…勇者と自称大賢者が邪魔してなかったらやれたのになぁ…あの二人にもっと良いスキルを上げてれば良かった」
「…魔族領を永久凍土にしなければな…【世界の宿命】を発動させることが出来なくなって我々が動かなくてはいけなくなってましたね。
本来なら神族が人間界に介入するのはあんまり良くないですが、今回ばかりは介入するしかなさそうですね…これ以上は我々がやってしまったことの責任をちゃんと取らねばならないでしょう」
「どういう計画で?」
「あの二人には確実に手伝っていただきます」
「だろうな」
「夢枕に立たなきゃ…」
「……今回限りは我とメルティエが立つ」
「主神様自ら参られますか」
「あぁ…行くぞ」
「はい」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【魔族領ソルテライン〜永久凍土〜】
《魔族領郊外》
「…住人ごとまるまる凍らせちゃったけど…この世界の魔族の生命力にかけるしかないね」
「さっむ…」
「魔王城?を中心に凍らせたけどやり過ぎだったかね」
「焚き火してるのに全然温まらねぇ」
「そもそも炎が小さくなってる!枝を足さんか!」
賀実は郊外にあった森に落ちていた乾いている枝を集めてきていてその枝を焚き火に足した。
「………なぁ賀実」
「どうしたの?」
「オレたち死んでないよな?」
「急にどうしたの?」
賀実は悠珂がいる方に視線を向けると神々しい光をまとった二人組が現れていた。
「「…………………………」」
『こうして正面を合わせて会うのは初めてですね』
「……おぉうこの世界の神族か」
『おや…貴殿らは神族を知っているのか』
「知り合いにいるので」
『…単刀直入に頼みたいことがある。この世界を正常に戻すのを手伝ってほしい』
「そもそも地球人を攫わなければこんな事にならなかったのにな」
『痛い所を付いてくる…』
「でもまぁ今回ばかりは同郷の者が使命を全うしないでやっらかしてるし、ここに来たのもなにかの縁だし手伝わせてもらうよ」
『…感謝します』
「手伝う前に職業変えられない?」
「まだ言ってんのか」
『職業を変えたい…ですか?』
「場合によってはこの職業のまま町に行ったら最悪捕まる」
『えっ…そんな職業にあたってたのですか?!』
「見ればわかりますよ」
神族二人は賀実のステータスを見て無表情になった。
『奴隷大商人…』
「どうにかなりません?」
『勇者や大賢者と名乗りを上げた者を縛れませんでしたか?』
「勇者が来たあたりがスキル無効を使ってみたい」
『……本当に悪知恵が回る。職業を変更はできる』
「良かった」
『本来なら町にある教会などで出来るのだが今回ばかりは手伝ってもらう手前ここでやろう。貴殿はどうだ?』
「オレはこのままで良い。職業を変更したら能力ダウンもあるだろうし強いのが居たほうが良いだろう。…どうせ裏工作されたり闇討ちとか増えそうだし」
「……確かに」
『では奴隷大商人を変えるために始めよう………我は運命を廻し汝が生きる人生の新たな選択を与えん…さぁ新たな人生を選ぶが良い!』
すると賀実の眼の前には新たな職業が並んだが。
「…………………………………」
「おいどうした。また固まってるぞ?」
悠珂は新たな選択肢を見て固まった賀実をみて新しい選択肢を見た。
【奴隷商人しかないよ?】
【奴隷商人にしときな!】
【よっ!天性の奴隷商人!】←
【奴隷商人になるよね?】
【奴隷商人になるしかない!】
「そもそも選択肢がねぇそもそも!奴隷商人一択の強制じゃねえか!」
「何が天性の奴隷商人じゃ!」
『えっそんな事はない筈です!』
すると神族の女性が賀実の側にやって来て選択肢を見て絶句した。
『アルヴァン様!異常事態ですぅ!』
『お前まで言うか』
すると今度は神族の男性ことアルヴァン様も賀実の選択肢を覗いて下を向いた。
『…………何か思い当たるフシはあるか?』
「…一つだけ」
『あるんですか』
「私、何かしらの属性を持った何でもかんでも縛るための【魔法の鎖】を作るのが上手いととある神族に言われたことがあって…」
『あぁ〜…たぶんそれだ。我々よりも上位の神族の言霊によって縛られているんだ。鎖で縛り上げるなんてことをするのは奴隷商人か拷問師くらいだからな』
『…わっ我々より上……なら彼女はこの世界のではこのまま…』
『すまぬが我でもどうにも出来ぬ』
男性神族の発言を聞いた悠珂は遂に我慢できなくなった。
「ガハハハハハッ!」
「笑うのやめてもらって良い?」
『……こうなれば認識阻害作用を持つアイテムを渡そう。貴殿は町に入る時に装備してくれ』
賀実は男性神族から【認識阻害の覆面】を手渡された。
「ヒィーッ!今度は覆面かよっ!駄目だっツボに入ったっ……絶対に目立つ奴ぅ…いひひっ…最終的な装備が色物装備にならなきゃ良いな?」
「そしたら君をパンイチ変態装備にさせるから良いよ。……それで勇者をシバく以外にもやっといて欲しい事とかあったりしますか?」
「話を聞いてオレらで出来るようならやりろうぜ……くくっ」
『……実は―――
こうして悠珂と賀実は神族から厄介事の話を聞いて解決できそうなのがあり、神族からお詫びの品という形でいくつかアイテムをもらって魔族領から旅立って行ったのだった。




