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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
永い旅路
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町…行けなくね?

【ファウル・ファン・アヴァン】


《廃棄された聖堂跡地の二人の寝床》



「お互いに結構な収穫が合ったみたいだな」

「実り多かったのは良かったけど…聖堂の約10キロくらいの範囲は緑も綺麗な川も小さい魔物ぽいのがいたけど…聖堂の領域の外はヤバいね」

「賀実も見ちまったか…」

「どっからどう見ても冒険のエンディング後に行けるようになるような景色だったよ」

「どうすんのコレ?」

「チクチクレベル上げ…それしか方法はないよ。町に行くのに裏ボスダンジョンに出てくる様な魔物を何体も淘汰しなきゃだし」

「ふふふ…」

「理不尽すぎて笑いが出るよね…今は生活基準を上げないとだから町へは暫くないね。採取してきた草となんとかの実の鑑定を始めようか」

「オーケー…」



夕方に聖堂の建物の中に戻ってからアイテムボックスから大量に取り出したなんかの草となんかの実の鑑定を始めた為に全ての鑑定を終える頃には夜が明けていた。



「あ~終わったー…」

「夜が更けてる…夜ふかしも久しぶり過ぎてヤバい…目がギンギンだ」

「オレ達が食って毒になった奴はそもそも食えない木の実だったな」

「敵に食わせ毒状態にするのに使えそうだね」

「大半は食えない毒やら麻痺やら状態異常の草と実だったな…麻痺を引いてたらワンチャン…」

「それにしても毎回同じの食べることになりそう。気が狂う前に他の食べ物確保しなきゃ…季節とかどうなんだろうね」

「そもそも季節とかあるのか?…なぁ…もう少し起きてられるか?」

「聖堂の中の探索だね」

「テンション高いうちにやろうぜ」

「家捜し」



ふたりは深夜のテンションで悠珂が見つけ出していた聖堂の地下階段らしき場所に入っていった。






《廃棄された聖堂跡地の隠し地下》




「おいおい!錆びてない剣!剣があったぞ!」

「コッチはピッキングツールがあった」

「何で聖堂の中にピッキングツールがあるんだよ」

「研けば着られる鎧とかもあるかも」

「鍛錬しながら外へ目指せそうだな!」

「職業がら私は鎧とか装備できないけどね…ははっ」

「盗賊や罠師兼鍵師と似た装備しか出来ないもんな」

「……今回は私…武器どうしよ」

「鞭か短剣か杖の三択だろうがそもそも武器を持って奴隷商人は戦わないしな。奴隷を使って戦わせるもんな」

「それだけは嫌だっ……人としての何かを失いたくないっ」

「倫理観って大切だよなー」

「あっ服とか革の鎧とかもある。制服からこの世界に合った服装にはなれそうだね」

「おっマジか、革の鎧はお前専用だな」

「これなかったら確実にヤバいから貰うさ…その前に一旦は洗って綺麗にしないとだ」

「婆さん、川へ洗濯だ!」

「誰が婆さんだ。今はまだ中坊だ」



だが賀実は古い服を持っていつもの様に洗濯しに行くポーズを取っていた。



「体は正直だな」

「…身に沁みた習慣はヤバいね…水洗いだけでも良いよね?」

「良いんじゃね?」

「君はこのまま整理整頓を頼んだよ」

「おうよ」



賀実は部屋から出ていった。



「さてと…使えるのと使えない奴の鑑定をするか」



悠珂も自分がやるべき事を始めた。













◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




一方川へ洗濯にしに行った賀実は…




「……こんなもんか」



洗濯を終えた賀実は遠い目をしながら聖堂の領域外を見ていた。

賀実の少し先では巨大な巨人が巨大な金棒を持ってドスンドスンと音を立てて歩き、巨大なドラゴンと巨大な魔獣の巨獣大乱闘が日夜行われているのが見えていた。



「…どっからどう見ても…クリア後の世界線じゃないか…(しばらくは勇者としての活動は無理だ…それこそ5年以上は研鑽しなきゃだし)」



賀実は今後の事を考え少し溜息を付いた。選択した物を持って聖堂へ戻っていった。





【廃棄された聖堂跡地】


《廃棄された聖堂跡地の広場》



「悠珂…ただいま戻った……えっ」

「おう!おかえり!」



賀実は悠珂が使えそうな武器や防具以外のとてつもなくこの世界に合ってはならないどうやってか組み立てた文明兵器をキュキュッとウキウキしながら研いている姿を見て引いた。



「ねえ…それってこの世界には不必要な…文明兵器…最早ファンタジー要素が消し飛んだんだけど」

「でもコレがあれば巨大な魔物と今からでも渡り合えるぞ!」



賀実は研いている悠珂をスルーして干せそうな場所に干した。



「もしコレが起動出来たら良いな!」

「……この世界の神族に怒られない?」

「この状況を今すぐに打破するためだから」

「こんの機械ヲタクめ…どうなっても知らんぞ私は」

「大丈夫だって…………コレでよし!」



悠珂はピッカピカに研ききると満足してその場に倒れ込んだ。



「……ついに気絶みたいに寝たか……私も寝…ん?」




賀実もうたた寝に入ろうとしたらウィーンという何かが開くロボの音が鳴ったのを聞き逃さなかった。

そしてコックピットらしき場所から触手が出てきて気絶するように寝ている悠珂が引きずられコックピットに吸い込まれていった。


その様子を賀実はダラダラと冷や汗をかきながら見た。



「ナニカ出てきて…喰われた」

『知的生命体…もう1名発見。捕獲します』

「えっ知的生命体?」



するとコックピットから触手がまたまた伸び賀実をガシッと掴み「えっちょっ!抵抗でき」と最後まで言わせずに物凄い力で吸い込んでいった。

こうして2名は悠珂がピッカピカに研いた文明兵器ことロボットに格納された。



『知的生命体保護のための格納完了。直ちに周辺にいるモンスターを殲滅し、知的生命体の安全を確保します』



するとロボットは立ち上がりゴォーと宙に浮かびこの地から離れていった。

ドラゴンや魔獣が巨獣大乱闘をしていた所にファンタジー世界に合ってはならない一体のロボットが現れた。


一体のロボットが現れた時、その場の時が一瞬止まったが一斉に異質なロボットに対して攻撃を仕掛けたが装甲に傷が付くことはなかった。


それからは……一方的な殺戮が始まった。



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