運命の分岐
【闘島小中高一校の本校舎】
《校長室》
ひとしきり自己紹介をした。
「名乗ったのであれば教えないとね。私の名は【金森ユシュア】と申します。最近、とある地球の政界を引退して気ままな旅をしてますの」
「とある地球って」
「地球は数多の分岐が生まれる世界とも言われているわ…今も分岐が生まれているでしょうね」
「今は…そういうのは…それでどないすんねん」
「目的や目標がないからわからん」
「…学校がどのような状況なら教えられるわよ?」
「ならどうなってるか教えてもらうとするか」
ユシュアは話しだした。
「今この学校だけがファンタジー世界と繋がり、ある一定の年齢の子供が連れ去られているの。
この状況を直したかったらファンタジー小説の主人公のようにその世界を救えばなくなるわ」
「なんなら自分らが勇者になれって言うんですかい」
「えぇ」
「即答かよ」
「随分と優秀そうな子たちですから…さっさと解決してくれそうですし。簡単なゲートなら創れますので行きますか?」
「いきなり言われてもな…考えさせてくれ」
「……以外やな。悠珂なら行きますって言いそうなのに」
「ダークファンタジー小説とかの可能性もあるからだ。全ての世界でようこそ、わが世界へなんてないだろうし」
「その考えはなかった」
「でもなんだか楽しそうやん。冒険したら思い出になるんちゃうん?」
「では」
ユシュアは真澄の言葉で了承を得たと言うばかりに短杖を使い校長室の壁にゲートを作り出した。
「「え…」」「「…………(なんか強引だな)」」
「コレでゲートは完成しました。この門は30分しか持ちませんから行くなら入ってくださいな。嫌なら断ってくれて良いのです」
「ホンマにゲートなんか?……夢ちゃうん?」
「マジモンの異世界…」
「真澄も蘇芳もまだ触れるな!」
「悠珂?どないしたん?」
「真澄、どんなことでもする覚悟はあるのか?」
「どんな覚悟って…やってみなきゃわからんやろ?」
「蘇芳も歓迎されたとしてもしなくてもやっていく覚悟はあるか?知り合いもいない場所で」
「吾輩は…真澄の言葉を借りるようだが…やってみなきゃわからないからな…こんな事はもう二度とないかもしれないから吾輩は行きたい」
「せやねん」
それだけいうと真澄と蘇芳は二人揃ってゲートに触れて吸い込まれて行った。
「勢いが凄いな。ノリだけで行きやがったぞ」
「雇われ校長先生はどこでこの古めかしいゲートの作り方を教わったんです?」
賀実がそう雇われ校長先生に聞こうとしたが振り返ると校長室の扉が開いていて雇われ校長先生は居なくなっていた。
「………逃げたな」
「追うかい?」
「いや、必要ねえ。こんな旧式のゲート使うくらいだから追いかけても今のオレたちでは捕まえられないし、逃げられるだけだ」
「これからどうする?」
「このまま放置しても良いんだがなぁ…もし行ったとしても命の保証はないぞ。例の宿屋は二つとも使えないからな」
「数多の強者達と同じ様に経験を積むのか……どうするかだけど……なんか外から私でも感じられるくらいヤバくて嫌な気配を感じ始めたんだけど」
「振り返ったらヤバいな………腹を括れ!飛び込むぞ!」
「了解!」
二人もゲートの中に飛び込んで異世界へ旅立って行った。
すると背後では。
「感だけは相変わらず鋭いみたいだな」
「おい、どうするようやく見つけられたと思ったのに行っちまったぞ」
「追えないの?」
「うん、このゲートの先は我々が手を出してはいけない異世界だから…手を出した地点で我々の【ユートピア】に数匹の至りし竜からカチコミが起こるよ。
それにあの気まぐれな神の特大加護が付いてるのもわかったし俺達では無理だよ」
「本当に何なんだよ。あの二人は…ただのそのへんにいる不老不死と同じだろう?アイツ等よりも永く生きている希少な輩もいるってのに」
「とある特別なスキルを持ってるからねぇ…どうしても確保したいんでしょうね。我々のトップなら同等のスキルを作れそうなのに」
「【太古の勇者】と言われてもやはり種族等の限界があるのでしょう…せっかく新しい肉体を我々も得たんですからこの世界で過ごし機会を待ちましょう」
「そうね」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【ファウル・ファン・アヴァン】
《廃棄された聖堂跡地》
「イテテ…変な場所から始まったな」
「君が受け身を取るのに失敗するなんてね」
「着地した瞬間にツルッと滑ったからな…町外れみたいだぞ」
「どっからどう見ても廃棄された感が半端ないし…何もかも全て自分らでやらなきゃいけない系だね」
「賀実、職業何になってるか見えるか?」
「……念じてもステータスは見れない系……………悠珂、君のスマホ!」
「そうか!もしかしたらスマホが管理アイテムになってる可能性があるか!」
悠珂はスマホを取り出すとスマホの画面に【良くぞ参られた
新たな勇気ある者よ。どうか今度こそ世界を救う勇者であらんことを!】の問に一瞬だがハテナマークが頭上に現れた。
「歓迎されてるのはわかるんだが…違和感半端ないんだが?」
「……えっなにもしかして先に勇者してる人達は負けてたりするの?それとも裏ぎ…ヤバい案件に首を突っ込んだかも」
「それよりもステータスを確認できるか見てみるか」
「うん」
悠珂はスマホを弄ったが特に何もなかった。
「なにもないんかい!」
「でも充電機能は無制限みたいだね。スマホ使い放題だ」
「嬉しいような嬉しくないような」
「取り敢えずどうする?」
「外はもう暗いからね…この場所の人に見つかりづらい場所に隠れて夜を越そう」
「やっぱそうなるかぁ」
「私達がいる形跡をあんまり作らないようにしないとね」
「だな」
悠珂はスマホのライトを使いお互いの顔を確認して大丈夫だなと移動して隠れ場所を確保して気まぐれなる神から受け取った地球では使えない【転生特典のアイテムの結界石】を使いひとまず確実に安全だと確認して寝るのであった。
【ファウル・ファン・アヴァンの世界】
かなりの歴史があり古い時代に創られたファンタジー世界で今現在数千年に一度の人類存亡を掛けた争い真っ盛り。
悠珂と賀実が入ったゲートはどの場所に飛ばされるかランダムであり二人は人里からかなり離れている場所に位置する廃棄された聖堂跡地に飛ばされいる。
真澄と蘇芳はそれぞれバラバラに飛ばされ蘇芳は威厳な王国の教会で真澄はこれぞファンタジーな王国の召喚陣に飛ばされており悠珂と賀実との再会はしばらく掛かりそう。
悠珂と賀実が同じ場所に飛ばされたのは気まぐれなる神の加護もあるけれど今回もイトコなので血の繋がりによって共に飛ばされたのであった。
そして賀実は親の教育方針により高校生になるまではスマホ禁止令が出されており持ってません。




