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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
永い旅路
425/569

校長先生は異世界人

【闘島小中高一貫の本校舎】


《本校舎1階の廊下》



「イ"ャ"ァ"ァ"ア"ア"!!」


四人の中で体格が良い蘇芳が手燭を振りまわしオーバーリアクションを取り残りの三人を冷静にさせていた。



「肝試しやってるみたいで楽しのにな…」

「そうなん?明かりの色が普段と違って緑色してるのがいやらしいと思うけど」

「普段歩く分には何も思わないけど…こういう時に限って長くて嫌だなって思うよね。

蘇芳の悲鳴のお陰でまだゴーストを見てないし」

「ゴースト居るっぽいんやけどな〜…いつもの学校には無いような物まで壁とかに配置されとるで」

「……ハロウィンの時期はとっくに終わってるというのにね」

「賀実、年取る程にビビリになってないか?」

「……私の本質にビビリな所があるんだと思う」

「ひっ!!居る!窓に居る!怖いっ!!」



蘇芳は賀実の服を力いっぱい引っ張って窓側に向けさせると賀実は固まった。



「ちょっ!蘇芳!火を持ってるんやから危ないやろが!ええ加減にせぇよ!」

「だって!怖いもんは怖いんじゃー!」

「おー…見事に賀実が固まったぞ」

「…火の玉が浮いてるだけやん。何処が怖いんや」

「火の玉も怖いわ!なんで平気なの?!……うぅ…いっ今さっき真っ赤なワンピースのおっ女がっ!」   


すると真澄は賀実の手を離して窓の近くに向かいキョロキョロと周りを見た。


「どこにもおらへんがな…固まった賀実どうする?」

「…台車に乗せて進むしかないだろうな…先頭になるが」

「あぁ…賀実…ゴメンっ」

「台車持ってきていて良かったな」

「押すのはウチか?」

「責任持って蘇芳にやらせれば良いんじゃないか?」

「えっ」

「それはアカンやろ。コイツに押させたら絶対に何処かで台車を手放すから止めといた方がええんちゃう?」

「それもそうだな」

「ふたりとも酷くない?流石に台車を放り投げるなんてしな……ギャァァァ!!」

「ホンマになぁ…さっきからうるさ……」



真澄は蘇芳に向かって注意しようとしたが窓を見ると真っ赤なワンピースを着たのがこちらを見てニヤニヤ笑っていた。



「ふぉっ!」

「おっ遂にお出ましか?」



悠珂は手に持っていたスマホを取り出しカシャっと窓を取ったがスマホの画面に写っていなかった。



「………写ってないぞ?」

「何でこんな時に撮れるの?!」

「いや…よくホラー番組とかでやってるやつあるからな。応募してやろうかなと」

「それよりも大丈夫なん?」

「真澄も何で冷静なの!?」

「お前がパニックになっとるからや」

「…何かゾクッて来たからヤバそうだし、台車はオレが押すから先の校長室に行こうぜ。校内は特に大丈夫みたいだな」

「あっ!」



校長室を示す案内板が壁に吊るされていたのを蘇芳は見つけると思いっきり走り出し、校長室を指し示した案内板がある部屋に入っていった。


すると「うぉおおおおおおおお!!」と雄叫びが聞こえたと思ったらすぐさまドアがバーンと勢い良く開き蘇芳が悠珂達の元に戻って来た。



「校 長 室 じ ゃ ね え!!」

「だーから耳元で叫ぶな。うるさいねん」



真澄はとうとう我慢できずに蘇芳にビンタした。



「校長室がこんなど真ん中の場所にあるわけ無いやろ。己は校長室がどこにあるのかちゃんと普段から認識しとんのか」

「へっ?!」

「校長室は職員室のさらに先の行き止まりの部屋だ」

「そうなの?!」

「己は何年この学校に通ってるんや?」

「九年…」

「九年通ってるのに己は校長室を知らんのか?」

「普通は呼ばれないし行かないだろ!」

「行かなくてもどの部屋がどの教室かは学生証とか校内マップを見て確認じゃろがい!」

「まぁまぁ、おふたりさん落ち着けって。そういった話は校長室で落ち着いて話し合え、行くぞ」

「りょーかーい」

「……あぁ」



悠珂は相変わらず固まっている賀実を乗せた台車を押しながらふたりを前を歩かせて校長室の部屋と見られる場所に入っていったのだった。















【闘島小中高一貫の本校舎】



《校長室》



悠珂達の眼の前には帽子を深く被った美人な女性が窓を見てため息をついていた。



「「「失礼しまーす」」」

「あら?…こんな時に学生がやってくるなんてどうしたの?……えっ台車に人が…」

「これにはワケがありまして…実は」




悠珂が自室にいたら放送室から校長室に来るように放送があった等の話をした。



「外がヤバいことになってて危険なのに生徒を呼ぶわけないじゃないの」

「デスヨネー」

「そこの固まってるお嬢さんはメデューサモドキと目と目が合って硬直してるわねー」

「「えっ」」

「怖くて固まってるわけではなく…」

「リアルガチで固まってると」

「えぇ」

「それってアカンのでは」

「本物のメデューサだったらヤバかったけどモドキだからすぐに治せるわ」

「「えっ」」



すると校長は懐から短杖を取り出し賀実に向けて光を発すると賀実は硬直が解けヘナヘナと崩れるように座り込んだ。



「えっ何かいま杖から光が…」

「………ん?…あれ?」

「マジだったのか!賀実ゴメンっ!」

「……謝罪は受け取る。それで今の状況は?」

「それ関してはウチが話したる」



賀実は真澄から事情を聞いた。



「…呼ばれてなかったのね…」

「一つ言えることは私…雇われ校長先生をやってるだけだからどうして学校がこんなことになってるのかもわからないのよ」

「「え?」」

「本来のここの校長先生は用事があると言って半年前からこの学校に来てないわ。入れ替わる形で雇われてたのよ」

「半年前って事は…ちょうど中等部と高等部の生徒が居なくなる事件が起き始めた頃じゃねえか!」

「雇われ校長先生…何か事情とか知ってたりせーへんの?それにさっきの光は何なんや?」

「この世界には半年前に来たばかりだから本当に何も知らないわ。さっきの光は【魔法】よ」

「は?魔法って……ここは現実世界やで?ファンタジー小説やないんやから」

「コレだから物質世界は…」

「物質世界………校長先生、失礼」



すると悠珂は帽子をスッポーンと取った。



「「!!」」

「いきなり帽子を取るなんて酷い子ね。貴方はこの耳を見ても驚かないのねぇ」

「校長先生の耳が長いっ!」

「何かの特殊な素材で着けてるんちゃうん?」



すると今度は真澄が長耳校長先生の側に近づき耳を引っ張った。



「イタタタ!強く引っ張らない!」

「ほっ本物や……本物の耳や!」



真澄はすぐさま離れ悠珂の後ろに回った。



「アンタは何者なんだ?」

「そうねぇ……人に尋ねる前に挨拶をしなさいと大人から教わらなかったの?」

「校長先生なのに生徒の名前を覚えてないんかい!」

「全校生徒の名前を覚えられているのが普通だと思わない方がいいわよ」

「ヒドない?」




雇われ校長と真澄と蘇芳がワギャーワギャー騒いでいる所を遠目に見ながら悠珂は賀実の側に近づき小声で話しだした。



「賀実どう思う?」

「あの校長先生見覚えある感覚はするんだけど……なにせ【澄谷賀実】の記憶しかないからねぇ。かなり前の記憶は本当にスッカラカンだからわからないや」

「…だな」

「魔力も全く無い状態だから調べようがない。それにしても良く悠珂は異世界人だと気づいたね」

「こればかりは感だな」

「…そろそろ立ち上がらないとね」



賀実は足がぷるぷるしているが立ち上がった。



「肩を貸そう」

「ありがとう」



悠珂と賀実はワギャーワギャーしている三人の元へ向かって行ったのだった。



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