やはり一筋縄ではいかない生活
【とある系列世界の地球】
【闘島小中高一貫の小学校地区】
《初等科1の1の教室》
将来確実にイケメンになるとチヤホヤされている男児が転校してきた少女を見て教科書をぼたぼたと手から落とした。
「皆〜注目よ〜今日から皆の新しいお友達が増えます〜お名前は【山本 賀実】ちゃんって言うのよ」
(……こんなに早くであえるとは思ってなかったけど…オレと同じように苗字がかわっただけで名前だけはかん字ふくめてかわってないんだなー)
教科書をぼたぼたと落としたのを見ていたお友達が少し茶化した。
「ゆうがくんどうしたんや?あの子が気になるんか?」
「何か普通なのが来たなー思っただけだから気にすんな」
「ふーん」
「ますみはどうしておれのそばに居るんだ?さっきまですおうのとなりにいたのに」
「あいつは良いんや。このクラスの人気者のいずみちゃんのとりまきやっとるからな」
「とりまきって…そんな言葉どこでおぼえてくるんだよ」
「ママがよく見てるドラマに出てくるんや」
「おぉふ…」
「せんせいに呼ばれてるからいこかー」
「うん」
先生に呼ばれたあとはお互いに自己紹介しそれぞれ解散となったが特にキャーキャーとはならなかったのを理由に悠珂は賀実を連れ出した。
「よぉかづさねちゃん」
「………ダレデスカアナタ」
「カタコトの日本語で話すな。純日本人だろがい」
「…まさかこんなに早くに再会するとはおもわなかった」
「オレもだ」
「それにしてもキャーキャーさわがないね」
「たぶんかごがはたらいてるかのうせい大だな。わずらわせるぶぶんを多少はぶいてくれてるんだろ」
「それとひとつ……きみのはいごにすんごいの立ってるよ」
「えっ?」
悠珂は後ろを振り返ると既に怒ると怖い系の片鱗を見せつけるますみが立っていた。
「ひゃっ」
「始めましてなのにずいぶんとなかいいんやな」
「えーと…はじめまして山本賀実…です」
「ウチは永城ますみ。ゆうがとはお友だちやで」
「そっそう…」
「ホントーはもう一人おるが、他のおんなのしり追いかけてるからいまはおらへんけど」
「……お口が達者」
「ゆうがはわさへんで!」
「……あっはい……」
ファーストコンタクトはなんとも言えない雰囲気で終え、そしてさらに数年の時が経った。
【闘島小中高一貫の中学校区】
《悠珂の寮の部屋》
悠珂の部屋の机の回りに資料を開いて男女それぞれ2名ずつがそれぞれが思い思いに過ごしていた。
「ここまでの付き合いになるなんて思わなかったなー」
イケメンがそうボヤいた。
「吾輩もだ」
今度は堅物系イケメンでガッシリしている体格をもっているが少年と青年の間を良い塩梅な具合に留めている男児が言った。
「…そういえば…なにしに集まってるんだけ?」
メガネを掛け地味です自分と認識させている三つ編みをしている少女が聞いた。
「オカルト研究会を発足するための人数集めするための会議を開くために集まったんやけど、何故か中高関係だけが学校の中で行方不明事件が起きて、しかも連れ去りゴーストが具現化してカオスになってる所や」
利発的で何処かイタズラ好きそうな少女が言い放った。
「さらに補足すると今現在、部屋を出たら行方不明になった人達のように【何処かへ連れ去りハント対象】になるから出られない状態だな」
「本物のゴーストが彷徨いている状態なんて吾輩、初めて」
「それは私もだから。所で蘇芳さんやい」
「ん?どうした?賀実」
「どうして君は人間椅子をしているのかな?」
「そりゃー…ねぇ?罰ゲームに決まっとるやん」
「……もしかして昔の写真を流された件?」
「そう、その奴や。蘇芳が写真を流したお陰で良い子ちゃんで通すのを頑張ったのにウチの隠してたのがバレてもーた」
「………お前が猫を被ってたのを知ってるのはオレらだけだったからなぁ」
「お前いうなし、悠珂のくせに生意気やなー…人間椅子に飽きたからもうええわ。賀実、膝枕してくれへん?」
「絶対に嫌だ。君を膝枕するとセクハラしてくるから」
「仕方ないやろー背景が少し見えづらいんやから」
「女同士で乳繰り合うな」
「乳繰り合ってないわ。アホ」
「誰がアホだと?」
「そこの二人やめとけ。コレからどうするか話さないか?」
「ムッツリは黙っとき!」「ムッツリは黙まれ」
「酷いなお前ら…容赦してくれてもいいじゃないか…」
「蘇芳、そこの二人は放置してふたりで話をまとめない?」
「そうだな…吾輩も自分の部屋に戻りたいし。この学校どうなってるんだろうな。中等部から全寮制になるのってこういう言った件が発生してたのか?」
「そういうのを調べるためにオレはオカルト研究会を起ち上げたいんだ」
「……賀実、窓を見てみ」
「絶対に嫌だ」
「相変わらずビビりやな」
「ビビりで結構」
「…真澄はこういうのよく大丈夫だな…ゾゾゾって来たが…」
「蘇芳も割とビビリだよな」
「あぁ…将来親が守り立ててる神社を継ぐと言うのにな…父達と違ってそこまで霊感ないんだが…姉様たちに小さい頃からビビリ散らかせられまくった影響かもしれん」
「あぁ…クセ強美人四姉妹たちかぁ…」
「次女の龍子姉さんは励ましてくれてただけだけどな…他の姉様たちがな…からかって来る…」
「性格キツいくらいじゃなきゃ。昔ながらの人達を抑え込めないんやろうな…長女の智子さんが一応は動いてるんやろ?」
「あぁ…性格はキツいが「アタシが場合によって継ぐから蘇芳は好きに生きてもええんや」って言ってはくれてるがな」
のんびりと話し込んでいるとノイズ混じりの放送が流れた。
『たたたたたただいくあせふつこふじピーーーガガ…助…イィイイヒヒヒ………………………ピン ポン パン ポーン……中等部……3年……1組……【鍛冶屋敷 悠珂】【寺田 蘇芳】3年……3組【山本 賀実】【永城 真澄】の四人は〜……校長室まで………来い………イヒヒヒッ…来なければ分かるよなぁ…?……ピン ポン パン ポーン……』
その放送を聞いて四人は真顔になった。
「指名はいったぞ」
「ひっ!…どどどうして…外に出たくないっ」
「ぷっふふ……賀実の顔が青いで……蘇芳含めてビビり散らしてるやん」
「………………行くの?」
「指名はいったし、この放送は全寮に流れただろうしな。それに行かないとヤバそうだし」
「罠じゃっ!行かん方がえぇ!」
「神社生まれがなにビビってんねん。ほな行こか」
「……かっ賀実…吾輩たちは手繋がなかあかんえ」
蘇芳がそう提案したが。
「悪いけど賀実はウチと手を繋ぐからアカンよ?」
「真澄はこういう時いつもイジワルじゃっ!」
「蘇芳はオレの服を掴みながら移動すれば良いじゃねえか」
「悠珂はこういう時にも平然と普通にイタズラするから嫌じゃっ!」
「あー…完全にビビリスイッチ入ってもーたな」
「…まーだ小学校の時の肝試しん時の根に持ってんのか。こうなったからにはオレが殿になるから先頭は真澄頼めるか?」
「しゃーないから引き受けたるわ」
「えっ私も先頭になるんか」
「おう、蘇芳は賀実の服を掴みながら移動すれば良い」
「…………………わかった」
「決まったし、罠だとしても移動するぞー」
こうして重い腰を上げて【悠珂の部屋】からそれぞれ懐中電灯や手燭を持って外へ出ていった。
「……蘇芳なんで手燭なん?」
「吾輩からしたら炎の灯りのほうが良いから…」
「…まぁえぇわ…ほな進むで」
「………うん」
四人は職員室に向けて歩き始めたのだった。




