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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
【勇者卒業の章】
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ティルクスとサニカの繋がりと過去

ジャリジャリゴリゴリと石を削ること三週間がたったがまだ三分の一しか削れません。

ばあちゃんはじいちゃんに呼ばれて隠れ里【フロリルエル】から出たり戻ってきたりしていたが用が済んだと言って石を削っているオレたちの指導に回っている。

なかなか聞けなかったルフィール?だっけルフェール?だっけかオレの父親らしき人物の名前を聞けないでいたがオレは聞くことにした。


「なぁばあちゃん」

ジャリジャリジョリジョリ…

「どうしたティルクス?」

「オレたち珍しい霧に遭遇したんだけどそこでオレ母親らしき人を見たんだ」

ジョリジョリ…ジャリジャリ


ばあちゃんはいつも通りの表情のままだ。


「どんな人だった?」

「金髪の髪の長いウェーブかけた女性だった」

ガリガリガリガリ…

「そうか後は何か情報を言ってなかった?」


流石ばあちゃん…


「父親らしき人の名前を言ってたな…確かルフィールかルフェールって人」


ばあちゃんがかなり驚いた表情をして手に持っているヤスリを落とした。


「本当に言ってたのかルフェールと」

「うん、言ってたよ」

「……」

「ばあちゃんの知ってる人?」

「……これも運命だったのかも知れないな」

「ティルクスの作業は終わりにしよう」

「えっ僕は?」

「セルクシアとラセスを馬車馬のごとき使ってティルクスと同じぐらいまで削ろうか?」


ミストルの原石はまだ20センチ位しか削れていなかった。


「……マジですか」

「マジです…ティルクスの話が済んだら手伝うからそれまで削るだけ削って置こうね」

「へい…」

『馬車馬のごとき…』

『……ミストル頑張りましょう』

「さてティルクス行こうか」

「う…うん」


オレとばあちゃんは隠れ里にある一軒家に入っていった。


「どうしたの急に」

「これから話すことはルトラウスですら知らない話だ、ミストルであろうとこの話はティルクスの家族になるものにしか話してはいけないよ」

「……わかったよ」

「私の過去に関わることでね、ルフェールの名前はこの世に一人しかいない…私の父親違いの弟の子孫で幻想の国【オルシェルア】の現王だ」


ばあちゃんから発せられた言葉がかなりとんでもない事だった。


「ティルクスとは本当に私の遠い親戚だったみたいだね」

「ばあちゃんの父親違いの弟の子孫って言ったよな?どういうことなんだ」

「あんまり話したくないんだけどね…私の過去を少しだけ話をしてあげる…結構重いよそれでも聞く?」

「おう…オレのルーツを知る事が出来るんだったら」

「わかったよ…でもざっくり話でもいいかい?」

「ざっくりでもいい」


オレとばあちゃんは椅子に座ってばあちゃんが語り出した。



人魔竜戦争が始まる3000年と20年前のオルシェルア帝国がまだこの地上に在った頃。


オルシェルア帝国


皇帝の間


「皇妃レイチェル様がご内密に長子(・・・・)である娘と皇子をご出産なさりました…」

「そうか…生まれたか」

「ですが娘の方はオルシェルア帝国の皇族にあるまじき髪色と瞳の色を持ち生まれました…側室の方々が騒ぐでしょう」

「そうか…捨て置け側室等に我は興味がない、何かレイチェルにしでかしたらただでは済ませぬ」

「それで誕生した娘の処遇をどうなさるつもりです皇帝サンドリオン様」

「決して死なすな、死なせばレイチェルは自ら命を断とうとするだろう…だか皇帝の住むこの城で住まわすのは無理だな」

「上流貴族どもが騒ぐでしようからな」

「この土地から離れた北の離殿があるな」

「はい」

「そこに移し教育係を付け内密に育てよ」

「了解しました」

「我はレイチェルに会いに行く」

「私もついて行きます」

「好きにせよ」



コツコツと皇帝サンドリオンはレイチェル皇妃の元へ向かっていった、私も共に移動しなくては行けませんね。



皇妃の部屋



「私の大事な娘に何をするつもりです」

「皇妃様!危ないですよ!」

「この者は我の血を引かぬ娘だ、このままここで住むには環境が悪すぎるから安全な場所に移す、それに生まれたばかりの息子をどうする」

「その子に対しての感情は一切ありません、ケダモノの血を引くのですから当たり前でしょう?

貴方がたは…私たちが暮らしていた村を滅ぼし私の夫と子供たちを殺し私を勝手に皇妃として拐って獣のように孕ませたのですから!ですがこの子は生まれてくれた愛する夫の血を受け継いだ子」


皇妃様は今バルコニーにいとおしそうに娘を抱きしめ立たれ飛び降りようとしています!何とかして止めなければ!


「皇妃様何を申されているのです。そんな村はありません皇妃様はここオルシェルア大公爵の娘ではありませんか!」

「いいえ、私はそんな高貴な血は引いていません、私はこのまま私が愛する夫の血を引く娘と共に逝きます」

「させるな!」

「わかっております!」

「近付かないでください…私はこう見えて宿屋一族の血を引き武術は心得ています」

「くっ!」


なんと言う魔力!これでは近づけない!


「我にはレイチェルしか居ないのだ!!」

「そんな事は知りません」


ようやく皇帝サンドリオン様が笑顔を見せるようになったのに!もしここで皇妃様を失ったら!冷血の皇帝に戻られてしまいます!何としても止めなければ!


「レイチェル止めてくれ、我と息子の元に来てくれ!」

「絶対に嫌で――

「助太刀いたす!」


突然現れた近衛騎士団長に驚いて隙が生まれた。


「アルバイン殿!」

「皇妃殿!ゴメン!」

「えっ…」


アルバイン殿が一瞬の隙に皇妃から娘を奪い我々の元に来た。


「これで良いのですかな?」

「よくやった!アルバイン!…レイチェルも戻ってきなさい」

「……私の大事な娘に汚い手で触るなぁ!!」

「すまないがアルバイン殿、皇妃の意識を奪っていただいても宜しいか?どうも混乱なさっているみたいなのです」

「承知!」


素早い動きに皇妃様も…笑ったですと!


「初代様申し訳ございません。禁忌の秘術を使います【永遠の眠りを受け入れ肉体を捨てます】…私の体は好きにしなさい辱しめようともまた子を産ませようとも…ですが心と魂だけは絶対に渡しません…サニカごめんなさい…私は先に雪君と子供たちこ元へ逝くね?」


すると光に包まれて光が収まると皇妃様は倒れていた。


「レイチェル!」

「サンドリオン様…早く部屋にお戻し致しましょう…皇妃様や皇女様と皇子様のお体が冷えてしまいます」

「わっわかった」

「双子様はワシとシルドレッド殿にお任せを」

「サンドリオン様はレイチェル様をお願いします」

「あぁ…」



◇◇◇



皇妃が植物人間になってから9年の時間が経った。私は北の堅牢な離殿に軟禁されている…私の名はサニカ、皇妃レイチェルが名付けた名で私は呪われているらしく生まれてからずっとここで過ごしている……今は大人しくしているが前世の記憶を持つのと上級魔法も使えるかな?と試して見て沢山使えたから明日になったらこのろくでもない国を捨てるつもりでいる。



「サニカ様!どこに向かわれるのですか!」

「図書室だけど?」

「明日には十歳になられ城での暮らしになるのですよ!」

「だからこそ図書室に向かっても良いじゃないですか…城で暮らせば弟たちに玩具にされるんですから」

「………わかりました、そこまで言うのであれば図書室に好きなだけ過ごしてくださいませ」


呆れながらメイドが去っていた。


「さてと明日の準備をしておくか…」


まさか図書室に隠し扉があるとは思わないよね…5年間貯めた物を隠しておこう…。



◇◇◇



「ばあちゃんの人生なかなかハードだな」

「ある意味何もかも捨てて脱走したからね…私は母親を捨てた最低な女さ」

「帝国から逃げたからこそ今のばあちゃんがいるんだろ?」

「そうだね」

「それに先に逝くってばあちゃんの母さんは言ったんだから平気だと思う…その先のはなしを聞かせてくれるか?」

「わかった…でもその前に休憩しよう少しだけ疲れたな」


オレとばあちゃんはアイテムボックスからお茶出してオレが作り飲みながら一息ついた…過去を思い出す行為はばあちゃんでもキツいんだな。

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