時限爆弾付きのババシャツ
【火天の宿屋】
《食堂》
「……そういえばサニカとまつりにババシャツ脱いだ後の奴だったって嘘を付いたのはなんで?始めに観察してたときはババシャツ着てたよね?」
紫蘭はサニカとまつりが準備に忙しそうにしているのをチャンスと思いルウカに尋問をしていた。
「あーそれはだな………実はあのババシャツは俺の方の知り合いが昔作った時限爆弾付きのババシャツなんだ」
「えっ」
「紫蘭は知らない俺のホントーにかなり古ーい時代の友人が作ったやつをサニカに押し付けたのを昨夜の実物を見て思い出してな。
結構な規模の威力がある時限爆弾付きのヤバいババシャツを押し付けたのをバレたくなくってな。ガハハハ!」
「笑い事じゃないわ!どうしてそんな危険な物を作ったの?君の知り合いは」
「…当時の時限爆弾付きのババシャツ制作者は師匠と大ゲンカの最中でな「あんのクソババア…どうやって蹴散らそうか」と悩んでてな。
ソイツの師匠は魔術や武術にも精通してて叶わないから科学を使った奴で行こうと思ったらしく時限爆弾付きだったらイケるんじゃね?って作ったんだと」
「それで?」
「その大ゲンカは師匠が原因だったんだが師匠の方から悪かったと制作した直後に謝られて仲直りしたんだが……並大抵な強者では抑えられないらしくって俺に押し付けてきたんだ」
「それで威力は確かめたの?」
「…未知数だ」
「確かめてないんかいっ!そんな危険は物をサニカに押し付けたんか!」
「いや~制作者本人も威力を確認してなくってな〜…証拠が残ってる爆心地を見つけたらそこからサニカの追求が始まりそうだからな。
魔法少女だった者は最後には脱いでたろ?バラバラに散っている爆心地が見つかったほうがインフラ整備の不調で証拠隠滅になるかなと」
「……こっコイツは……」
「ババシャツだったのが良かったよな。サニカも着ないし島の子供たちも着なかったから」
「話をすり替えようとするな」
「いつ爆発するかわからないからな。もうしてるかも知れないし、逃げてる最中にするかも知れない、昨日はサニカが外を見れないようにしたから外を見るのが楽しみだぜ」
(いつかこの所業がバレてサニカに縛り上げられれば良い)
紫蘭は話は終わったとさっさと話を切り上げた。ふたりは《エントランスラウンジ(中央)》でかけっこの準備しているサニカとその手伝いをしているまつりの元に向かった。
【火天の宿屋】
《出入口ドアの前》
「それじゃ行ってくる」
「気を付けてね」
「もしもがあるから部屋からは出るんじゃないよ」
「わかってるって」
サニカが意を決してドアを開けようとすると宿屋の意思が関係しているのかガチャガチャ言うだけで開かない。
「あれ?開かない…外で何かあったのかも?」
「…そんな事あるの?」
「「……」(…もしかしてババシャツが今タイミングを見計らうのごとし爆発し始めたんじゃ…)」
「稀にあるかな…昨日外を見ないようにしちゃったから何が起きてるか今は見れないけど…状況確認するか」
サニカはトコトコ歩き三日前に観察していた場所まで行くと外を見れるようにした。
サニカの眼の前に広がるのは街全体が炎に包まれ状態で所々が爆発している映像であった。
「ギャー!街が街が炎に包まれてるっ!逃げるどころじゃない!なんで!?昨日今日で何があった!?なんか交差点の中心でっかい烏賊の化け物が炎から逃げようとして踊り狂っとる!あっ!コイツか!コイツがルウカが見たって言ってたやつの正体か!」
「へっ!?」
サニカの大声かつ早口で喋った内容に驚いたまつりはサニカの元へ向かった。
「ヒィッ…はわわわ…爆発してる…!」
「どどどうなっ…」
普段落ち着いてるサニカとノーテンキなまつりがパニック状態から呆然としている姿になったのを遠目で見ているルウカは無表情で紫蘭は顔を青くしてその様子を見ていた。
結局、追いかけっこをするのは無理となり炎と所々で爆発が起きているのが落ち着くまで宿屋で過ごすことになった。
そして炎と爆発が収まるまで1週間かかった。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【火天の宿屋】
《出入口ドア前》
「ホントに丸焼きになったアレの近くに行くの?」
「一応調べるさ…初代魔法少女さんにこの街で起きたことの情報の提供しなきゃだから」
「気を付けてね」
「気をつけて行ってくるよ。ルウカもちゃんと来てね?」
「あぁ」
サニカはそれだけ言うと先に外へ出ていった。




