積もる話
【無敵の宿屋】
《エントランスラウンジ(左)》
「ふぃ~…少し飲みすぎましたな」
「呑み過ぎたと言う割には貴方もお酒に強いわね〜」
「ふふふ…そこら辺は酒に強い先祖に感謝してますぞ」
エントランスラウンジにはレレフィオーストの積もる話を聞きに来ていた島の大人組もラブナシカ秘蔵のお酒の呑み過ぎでかなりの人数が転がっていた。
数名は子供を寝かせる時間だと子供を連れてそれぞれの部屋に去っていった。
ラブナシカは積もる話をちゃんと聞くためにセーブしてへべれけにならなかった。
「ここの島の島民たちは酔っぱらっても変に絡む輩が居ないので良いですな」
「絡み酒してほしいならやってあげるわよ?」
「そういうのは良いです」
「そう…残念ね。……それにしてもこの世界に籠もっている間に結構な事が他の次元では起きてるわね」
「祖先たちの記録を読んできたミーとしてはあのお二人が観測者だったからこそ数多の情報が常に集まってたらしいじゃないですか」
「情報を知るためにサニカと紫蘭が時空維持に直接おもむいて情報交換しているけど…貴方の知ってる情報の方がとても新しい情報ね」
「地球に訪れる最前線にいる強者達から話を聞いてますから仕方ないですぞ。ある程度の情報規制やらをやってるみたいですから…最近は情報を隠す時空維持に対して不信に思う強者も増えてきているみたいですよ」
「そろそろ転換器が来ているのかしら……アタシたちは信頼のもと協力関係を築いて今もいるけどルウカとサニカが帰ってきたらそのことについても話し合わないとかしらね〜」
レレフィオーストは少し思いに浸ったのか少しの間、沈黙が訪れた。
「…この世界は相変わらず変わってないですな」
「気分を変えるために模様替えとかしてるわよ?」
「雰囲気が変わってないでござる」
「外の変化とか入れてない鎖国状態だから余計かもしれないわね」
「………それと相談したいことがあるのですが」
「それならついさっきサニカから連絡あった【ホムンクルス】の研究ね?」
「そうです」
「受肉している神族のアタシが居るけど……ホムンクルス集団を作ったアホがホントに居たからなんとも言えないわ。
サニカが紫蘭の肉体を作った秘術を新たに改良して新たな術式を作るには怒られないんじゃないかしら?」
「あぁ…紫蘭先生がサニカ先生と入れ替わっていた話ですな…それにしても新たな肉体の創造…とてつもない程ヤバい創造の魔法があったものですぞ」
「紫蘭の肉体を作った後すぐに時空維持の上層部にサニカは呼び出し食らってたわね」
「お叱り専門の方々ではなかったのですか」
「えぇ…時空維持の上層部の連中に呼ばれたらしいし、めちゃめちゃ怒られたって」
「ひぇ~…想像したくない…抜け道は無理そうですな」
「…ホムンクルスの研究が許可されてる次元は特殊だからアタシでも行けないわ…サニカやルウカでもいけないわね。
その次元では生き物としての形を捨てなきゃいけないから」
「……う~む…その次元に行ける方法はないんですか?」
「もし今から準備して行くとなるとまずはこの世界から巣立って意識を保ったまま肉体から離れられるように修行を始めることになるわ。
人によって掛かる年月が桁違いよ」
「桁違いとは?」
「一瞬で終わらせられる者もいれば何万年…もしくは何億年と時間が掛かる者が居るわ」
「なっ何億……不老不死にならなければいけないんですか?」
「そんなことはないわ。肉体を得ている間は記憶がない状態になるけど何度も何度も様々な世界に転生を繰り返して【幾世星】と呼ばれる存在に敢えてなる者も居るわね。
その頃になれば意識するだけでその次元に行けるらしいわ」
「行けるらしいなんですか」
「うふふふ。アタシはそもそも肉体を捨ててそよ次元に行きたいと思ったことはないわ。
今こうやって好きなように生きてる事が今のアタシにとってとても幸せなんだもの♡」
「あ~…そっかラブ先生は神族生活を満喫してるから」
「肉体を得た今とても楽しいわ」
「……ハノンやレシェットはホムンクルスじゃないもんな」
「大天使の魂ととある世界の元魔王の魂がアンドロイドの中に宿っている状態ね。
それでも一度は神族を交えて時空維持の本部で話し合いが持たれて賛否両論があったわ」
「ん〜…ミーの歩む道は修羅でござる〜」
「…本来なら命を造るなんて本来なら冒涜的だもの…自然な成り行きであって欲しいと願っているわ。
紫蘭の肉体を作ったサニカは冒涜的に悪いとかそんなふうには思ってないわよ?時と場合によるわ!」
「…取り敢えずラブ先生と話せて良かった……何か方法はないか宿屋の図書館に入り浸るでござる」
「面白そうなのがあったら持ってきなさいアタシもレフィのお手伝いが出来ないか一緒に調べるから」
「……助かりますぞラブ先生」




