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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
続クレイバール島の生活
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因果は巡る

【無敵の宿屋】


《食堂》



「部屋に籠もってるのってなんか気が滅入ってくるね」

「似たような日常生活してるからしかないわよ」

「でも宿屋の窓に突如としてへばりつく人影にビビり組が驚いてるのはいつ見ても面白い」

「ラブ先生〜何か面白い話とかないの?」

「面白い話…ねぇ………うーんあるにはあるけど…後で本人に怒られそうなのよねぇ」

「えっ!何か面白い話とかあるの!?」

「あるわよ。紫蘭や治郎たちですら知らない遥か遠い昔に起きた奴だけど…でも聞く人によっては面白くないって言うかも知れないわね」

「なにそれ…あたしは聞きたい」

「そうねぇ……なら…」



そう言ってラブナシカは自身のアイテムボックスから一冊のアルバムを取り出しとあるページを捲った。



「今から話すのはサニカが第二の番問題に巻き込まれた時の話よ」

「うわぁ~…」 


















〜本当に遠い昔のとある世界のとある国の王族の談話室〜




「おぉ…我が番よ!ようやく見つけたぞ!」

「半径3メールに近づかないでくださいまし」

「そんな釣れないことを言うでな



ぱぁん×2の音があたりに響いたと思ったら更に叩かれた人物がとてつもないほど硬い建物に激突する音も響いた。



「半径3メートルに入らないでと申しましたわ。相変わらず本能のみで動く穢らわしいケダモノがわたくしが暮らす村の外にはいますのね」



当時のアシュクラフト家時期当主が容赦なく突き放し、飛ばされた者に急いで駆け寄った者が汗を垂らし治療を始めた。



「(抑えられる獣人の方もいるから差別しちゃ駄目だぞ。アフィ)…2つの国の王様と話し合いしてた途中だぞ?」

「大丈夫ですわ…わたくしは常識と良識を持ち合わせない獣に対して躾しただけですの。例えアレが王族に連なる者だとしても容赦しませんことよ」

「私の弟子が申し訳ない」 

「謝られたとしても許せるものか!人間ごときが!我が国の王子をよく……なっ……ぁあ!」



王弟の近衛騎士が剣の鞘に手を置いた瞬間に威圧をアシュクラフト時期当主が発動させた。

   

 

「アフェランドラ」

「…申し訳ございません」

「……………アナタ方は【護熊族の事件】から何も学んではないようですな」

「こちらは王弟殿下に危害を加えられたのですぞ!」 

「例えそうだとしてもここは我々の国でございます。我が国に来られる前に番関連の注意事項が書かれた書類を渡していたはずですが……その様子だと見てないのですね。

調停役として呼んだのに申し訳ない…まさか番認定し手を出そうとは思いませんでした」

「謝るのはこちらの方もです。両頬にビンタをかましたので国際問題に発展させてしまう……アフィは威圧を解きなさい」

「サニカ先生の指示であろうとも無理ですわ。威圧を解いたら絶対に飛びかかってきますもの」



サニカは治療を終えた獣人の国の王弟をちらりと見ると両頬にビンタをかましたアフェランドラをジッと見ていて狙いを定めているポーズを取っていた。



「………面倒だから国の位置を移動させようか」

「えっ」

「このままだと国際問題に引き合いだされて最終的には戦争しない代わりに貴殿の長子姫を寄越せと言ってきますよ」

「………なぜ貴殿は私の長女が獣人の国の伯爵の息子の番認定されたと知っている…」

「獣人番被害者の会からの情報が流れて来ました」

「あぁ……娘を護衛してくれている者たちか…」

「わたくしがサニカ先生に同行したのは…本能のみで動くケダモノが本当に居るのか確認したかったからですの。

父上から番問題のお話は聞いてましたが…気持ち悪いですわ。

今代が駄目でも来世に託すことが出来ないのかしら?」

「それが出来てたら番問題で話し合いとか無いさ」

「確かにそうですわね……獣人の王弟サマはなぜ理解できないと言った表情をなされていますが……人間やらに運命の番を求められるのはホントに迷惑です。

今から話すのはのわたくしの主観ですのでその他の方に詰め寄るのはおヨシになって?……結婚を約束している恋人や既に家族がいるのに間にはいってきたり、引き離すために平然と策略を仕掛けるなど強欲で貪欲なケダモノがやることですわ。

……被害を受けた直後の方たちの顔を貴方様は表面から見たことありますの?」

「………………」



アフェランドラの言葉を信じられないと言った表情で見ながらも獣人の王弟は顔を下にした。



「運命の番に関しては…お互いに納得していれば他人がどうこう言うことはないけども既に結婚を約束している者や家族がいるのに奪うのは倫理観的にどうなんだろうね?

当人達は納得したとしても次世代〜末代まで運命の人と結ばれない呪を掛けられたとしても文句は言えないし、当人達には来なくっても、いずれ因果が巡りに巡って子か孫か子孫に帰って来る…それを頭の隅に入れときなさい。

…人の幸せを壊した者とその子孫が永遠に幸せに暮らすなんてことは物語の中でしかありえないことだから」



それだけ言い終えるとサニカは指パッチンして獣人の国の使節団を強制送還した。



「……サニカ殿先程の話なのだが」

「この国を転移させる方ですかな」

「それもあるが……獣人の国の者たちは転移した先にまで来そうだな」

「それは起きないですのでご安心を」

「ほう……理由をお聞かせ願えますかな?」

「使節団を送り返した時に私が特別にしたためた手紙を獣人の国の国王陛下に直接届けたのでしばらくは王弟も伯爵家も動けないでしょう」 



サニカに調停役を頼んだ国王陛下は聞いちゃダメな奴だなと聞きたかったことの言葉を飲み込んだのだった。


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