時の番人絡みの案件です
【無敵の宿屋】
《エントランスラウンジ(左)》
「部屋の外に出られるようになったのは良かっター」
「それこそラブ先生の時みたいに籠もってばかりだったらいい加減に気が狂うわ」
「最近、宿屋の中に侵入してくるの多いよね」
「それだけ隠蔽工作や擬態能力が【無敵の宿屋】や【火天の宿屋】の機能を騙すくらいヤバいレベルだと言うことなのよ」
「ひぇー」
「それだけ外の世界の魔術のレベルが上がっていて野心を抱くアホが溢れてきている証拠よねぇ」
「はた迷惑…」
「ホントよね。自世界を征服するだけで満足しなさいって思うわ。異界を巻き込まないで欲しいわ」
ラブナシカはルウカとサニカの指示で宿屋にあるすべての窓のカーテンをシャーッと閉めながら子供達と話ていた。
『ホントだよなー』
「あっ…ルウカ先生からの通信だ」
『おはよう!…お前ら無事か?』
「いきなり生存確認はやめて~」
『ははっ声からして大丈夫そうだな』
「ルウカもう本当に部屋からは出てよかったのよね?」
『おう、サニカが言うには宿屋が緊急事態だと久し振りに認識して本気を出したらしくてな』
「それだけヤバいんかい!宿屋にも意思があるんかい!」
『かれこれ…数十万年以上の時を二つの宿屋は存在しているからなー…もはや付喪神だろうなこの二つの宿屋はな。
…ブラウニーも住んてそうだが』
ルウカ達が話していると上の階のカーテン閉めが終わったと大人組がやって来た。
「ラブ先生〜終わりましたよ〜」
「ご苦労さま♡」
「……カーテン閉めてるとき…窓にモザイク掛かってたけどさ」
『気にすんな。宿屋がフィルターを貼ってくれたんだろう』
「あはは…」
「それにしても良くこの島の賢者の石は採掘されないわね」
『既にこの島の賢者の石は星間獣との戦いで材質が変化して【オリジン輝石】と呼ばれる神族の鍛冶師であろうとも太古の勇者にすら加工することが出来ない石質に変化してた』
「……聞いたことない石じゃな」
『一昔前にどうにか加工できないかと神族の鍛冶師と鍛冶に命を懸けた太古の勇者の専属鍛冶師が試行錯誤したけど加工出来なかったという結果だけがとある次元にある【神秘図書館】の資料に記録として残ってる』
「粉状にしてはどうなんですじゃ?」
『粉状にして加工中の武器に振りかけても特に何も効果がないよ。例の錬金術師集団が面白いものを見つけたのに加工しないなんてないから…確か結構前に研究結果を発表してたよ』
「へぇ~」
「…さっきから話し込ん出たけども…サニカ先生おはようございます」
『おはようございます』
「先生たちの方はモザイク掛かってる?」
『窓にモジャモジャモジャモジャってモザイク掛かってるよ』
「そっちでもかい!そっちはふたりだけだからモザイク無しだと思ってた!」
『残念ながら私たちにも見せるもんじゃないと宿屋がモザイク加工してくれてるよ。…食べ物や風呂とか大丈夫?』
「大丈夫、ハノンやレシェットやサニカがコレでもかと作り置きを冷蔵庫に入れてくれてるから食べ損なう事はないよ」
『なら良かった』
今度はサニカ達が世間話していたが。
『お前たち!時空維持委員会から発表があるっぽいぞ!』
「マジか、ここに居ない人達を呼ばないとだナ」
「それならうちらが言ってくる」
「おっ莉糸か…悪いが呼んできてくレ」
「うん」
子供たちが一斉に散り散りに別れて部屋で休んでいた島民たちを呼んできた。
それぞれの定位置の椅子やソファーに腰を掛け【時空維持委員会】の連絡が流れるのを待った。
『あ~…どうにかこうにか生き残ったり、被害を防げた異界の元勇者や魔術師といった強者共に今回の騒動の説明を始める。
まず今回の件は時の番人絡みの案件だと言うことを念頭において聞いていほしい。
今回、数多の世界や我々時空維持委員会の本部にカチコミを仕掛けてきたのは【遥か未来から時を渡ってきた未来の強者】であった。
遥か先の未来からきた強者共は古き時代に終止符を打ち、先祖が受けた屈辱を晴らすと今現在虐げられている者の子孫らしいぞ。
交戦した強者たちからそういった証言が合ったと言っていたそうだ……まぁ…確かに自世界での悪行三昧によって裁きを与えて追放したりしている世界もいくつもあるが…それに関してはお前の先祖の自業自得だしオレ達が責任持つことじゃねぇ。
そういった未来からの輩を過去に飛ばしたアホの特定にはまだ至ってないから気をつけろ。
それと…一つお前たちに謝らなければ行けないことがある……時空裁判所が管理していた【時の刑務所】の囚人が今回の騒動で結構の数が脱獄したと連絡があった…賞金稼ぎ共はお礼参りされないように気をつけて欲しいそうだ。
そして今回の脱獄犯がでた責任として脱獄犯をすべて捕まえるまでの間、我々時空維持委員会がかねてより保管していた数多の【アーティファクト】を貸し出す事にしたから今日の放送以降に来るがいい。
まだ本部は落ち着いてないがな……だが一つだけ一応グッドニュースがある。
今回脱獄した者は上層部が重い腰を上げなくても大丈夫な奴のみが出ていたそうだ……コレにて放送を終える』
すると通信が切れて無音になった。最初は黙っていたが今回の放送にかんして段々と腹立ってきたのかルウカが最初に声を出した。
『グッドニュースなんてないじゃねえか!』
「【時の刑務所】からの脱獄って……碌なのがいない。警戒を最上位にしなきゃじゃないか」
「あらあら…今頃時空維持委員会の本部にとんでもない程のクレームと文句を言いに強者達が集まってるわね」
『………しばらくは学校での授業は出来ない…島の子供たちにさこのまま宿屋生活してもらわないとだね……部屋は沢山あるから好きな部屋に泊まってね』
「……まぁ…本当に宿屋なのレベルの設備と消費しきれない程備蓄もあるからね…」
「なら最上階の部屋に泊まりたいな」
「……なら今日は最上階の部屋に泊まるか」
「それでサニカとルウカはどうするの?」
『……ロッカ達には悪いが警備隊はしばらく休みだ。訓練施設を使って身体を鍛えてもらいながらな。
オレとサニカでクレイバール島周辺を見回る事にさせてもらうつもりだか、ラブナシカからフリルデーモン達を借りたい』
「…アタシは出なくて良いのかしら?」
『君はそのまま子供たちの守護者として動いて欲しいのと紫蘭はハノンとレシェットの体の修復を頼む』
「うふふふ…わかったわ」
「わかった」
『…子供たち…我慢させて悪いな』
「◯されたり、人体実験されたり、繁殖要員にされるよりはかなりマシです」
「だよナ」
クレイバール島の住人達は一斉に頷いていた。
『…外に出ている組の生存確認に今から行ってくる』
「気をつけて行ってくるのよ」
『おう』




