強者達は……。
【クレイバール牧場】
《魔物宿舎の内部》
「ここまでビビリ散らかすのって久し振りだな」
「上空でヤバいのがやり合ってるからね」
魔物宿舎では牛型の魔物や鳥型の魔物が隅っこに固まっていた。
ルウカを見た瞬間に一斉にルウカの側にやってきて甘えた声で鳴き出した。
「大丈夫だ。お前たちを迎えに来たし、火天の宿屋の方に避難するぞ」
「どうやって運ぼうか」
「この宿舎の横に宿屋を呼べないか?」
「魔物達を移動させるのではなく宿屋の方をか…わかったそれじゃ召喚するから移動させようか」
サニカは魔物宿舎から足を一歩踏み出すと突然、一歩踏み出した右足を思いっきり掴まれた。
そこにはボロボロになった【隻眼】とルウカ達が呼んでいた【混合獣】の人型の少年がかなり怯えていた。
サニカは目を合わせたくねぇ〜と思っていたが空からスタッと降りてきた人物がサニカの動きを見ていたのでサニカも目線を合わせた。
「……初めまして……でよろしいかな?」
「(目は確実に逝っちゃってる目をしてるけど一応、理性は保てる系なのか…)ハジメマシテ。どうやって結界をすり抜けたか聞いてもよろしいでしょうか」
「そこの【隻眼】を確実に弱らせて抵抗できなくしたら結界をすり抜けて落ちましたぞ」
「(もう少し改良しないと)…そうでしたか」
「あぁ…改良しないとイケナイと思ったようですが、その必要はないですよ。これ以上を求めるのであれば確実に人外の仲間入りしなければなりませんから」
「あっご丁寧にどうも(読まれた)」
「そこの【隻眼】とやらを貰っていって宜しいでしょうか?ルウカ殿と紫蘭殿と定期的に連絡を取らせてもらい捕まえられたのであれば頂いてもいいと話がついてるので」
「だそうだけど、どうなの?」
サニカに呼ばれルウカも入口にやってきてサニカの横に並び立ったが。
サニカの足をつかんでいる手を見るとビクついた。
「うおっ」
「魔法でガードしてるから足潰れてないよ」
「そうか」
「それでルウカ殿…譲って頂けますかな?」
「圧が強い…が持っていっていいぞ。約束してたからな」
「では頂いていきますぞ」
生物マニアは人型に化けている【隻眼】に対して自身が作ったスタンガンを使い気絶させてから回収した。
「それと【隻眼】をやるからコイツらがこの世界にいるか探ってくれないか?オレたちの探知魔法は限度があってな」
「確かに人間のままであるおふたりには隅々まで調べるのに限度がありますな。了解しましたぞ」
生物マニアが探知魔法を放ったが特に反応はしなかった。
「この世界にはいませんぞ」
「なんだ~時の番人が紙をバラ撒いただけかよ」
「そもそもまだ生まれてないのでは?」
「生まれてない?」
「えぇ、手配書から生きてるって感じがしな……えっ」
生物マニアが相槌を打とうとした瞬間に生物マニアの背後に突如として手配書の人物が現れ生物マニアの胸を手配書の人物の腕が突き破った。
「サニカ!!」
「了解」
サニカは間髪入れずに生物マニアごと手配書に書かれている人物の上に子供達が避難していない【火天の宿屋】を召喚し宿屋にそのままふたりで逃げ込み、そのまま走って一番近いサニカが自室にしている部屋の中にふたりで駆け込んで鍵をかけてから深く深呼吸をした。
直後に宿屋のドアが思いっきり破壊される音が鳴り響き侵入されたのも感じとった。
サニカが自室にしている部屋のドアがガチャガチャされドアノブが破壊される音が響き、次は部屋のドアを壊そうとしたが【無敵の宿屋】と同様に破壊できないのを悟ったのか離れていったのがわかった。
「ラブは大丈夫だろうか?」
「多分……ヤバいとおもったら逃げたと思うよ。そこんとこはちゃんとしているだろうからさ……まさか宿屋の中に侵入できるとは…人間やめてるね手配書の人物たち」
「この宿屋と無敵の宿屋はマジで凄いな……この宿屋と無敵の宿屋にはなんど感謝してもしきれないな…サニカ子供達と通信出来そうか?」
「宿屋の部屋の中なら通信の邪魔はされないから大丈夫だよ、無敵の宿屋と同じように………魔物たちは?」
「お前の隣に立つ前に小さくして昏睡状態にしてアイテムボックス内にねじ込んでおいた」
「なら良かった」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【火天の宿屋】
《サニカの自室》
『………………したから大丈夫だったわ』
「ラブも久しぶりにヒヤヒヤしたのか」
『えぇ。ハノンやレシェットがどこからともなくドアを破壊する道具として投げつけられて戻って来た瞬間にふたりを抱えてアタシが自室としている部屋にすぐさま逃げたわ』
『ルウカ……あれは何なの?ラブですら逃げるって何?』
「あれはオレたちですらわからん。…久方ぶりにオレもブルってきたことだけは確かだな」
「今回も…何度でも聞くけど誰一人欠けてないね?」
『えぇ、点呼したけど島にいる島民たちは全員無事よ』
『僕も久しぶりに外にいる父と母と義家族たちも心配になってきました』
「確かにな…ここまでの規模だと不安になるよな」
『はい…』
「よし!……時空維持との通信は繋がった!」
「サニカ、良くやった」
「皆にも聞けるように流すから外がどうなってるか時空維持の広報から話を聞こう」
『『『『『『はい』』』』』』
最初は雑音だったが段々と声が聞こえてきた。
『もしもし!』
「こちら【大海と島々から連なる世界】の【無敵の宿屋】と【火天の宿屋】から通信を繋げた【辺境の魔法使い】です」
『あぁ!良かった!君たちは無事だったか!』
「その反応からしてそっちでもなにか合ったな?」
『その声は叡悠の賢者殿…貴方も無事で良かった…』
「オレもラブも久しぶりにヒヤヒヤしたぞ」
『愛の伝道神様もヒヤヒヤした…だと…』
『それでそちらはどうなってるのか教えて頂戴』
『あぁ…ラブナシカ様もご無事で何よりです。そうですね……数多の世界でカチコミが行われたと同時に時空維持委員会の本部に襲撃が行われました』
『時空維持委員会の本部に襲撃するようなアホがいたの?』
『それも時の番人絡みの案件だ。太古の勇者にすら喧嘩を売ったと【情報屋】から今しがた連絡が来た。
結構な所でドンパッチしてるので人手が足らない…!』
『……今全身が冷えていくのを感じる……』
『アナタ方はそこまでの被害がなさそうで良いですね』
『嫌味を言ってきたのは【薄羽】だな』
『これほどの事が起きたのは我々が生まれる前ですからねぇ……絶賛混乱中で機能が正常に動かないので個人と通信している暇はないのですが?』
「なら一旦通信を切って情報整理された放送を待つとしょうかな」
『そうしてくれると助かります。通信の電波は★◇★□ですのでダイヤルを合わせるのに間違わないでくださいね』
「了解しました」
すると通信が切れて無音になった。
「なんかとんでもない騒ぎになってるな。太古の勇者にすら喧嘩を売ったってことは下手すれば時空維持委員会のトップも動いてるな」
『………本当に』
「ルウカ、後のこと頼んで良い?」
「どうしたサニカ」
「なんか睡魔に襲われてとてつもない程、眠い」
「………ダイヤルはオレがやっておくから寝ていいぞ」
「…寝るね」
サニカのは布団を押入れから取り出し寝た。
『マジでサニカ先生は寝たのか?』
「寝たぞ」
『急な睡魔ってろくなこ…………』
バタンとマジェリルカの倒れる音が響いた。
『マナリオ、マジェリルカはどうしたんだ?』
『…窓の方を振り返ったら倒れたわ』
『えっ』
『カーテンが開いていたから……もしかして窓に何かが立ってるかも知れないわね。人影があるし』
『それ絶対に振り向いちゃダメな奴やん』
『皆のところは?』
『カーテン閉まってます』
『開いてたのはあたし達が泊まってる大部屋だけだったのね』
『おらマナリオさんの話聞いて振り返って見ちゃったけど……カーテンに人影が写ってるぞ』
『人影をみるだけなら気絶しないのか』
『何を見てマジェリルカちゃんは気絶したんだ』
「マジェリルカが倒れるくらいだからな〜…今は大人しくし時空維持からの連絡を待つとするか。マナリオ達は魔法でカーテン閉められそうか?」
『無理。だからあたし達はこのまま窓が見れない死角となる寝具の所へ行けそうだからそのまま向かうわ。お祖母様を引きずりながら』
「運ぶとき気をつけろよ」
『えぇ』
「もし寝られないようなら睡眠魔法を掛けてやるぞ」
『ならお願いしたいです』
キユクのお願いしたいです発言を聞いたルウカは他の島民たちにも許可を取り宿屋に泊まっている島民たちが寝具の所へ着いたと全員から連絡が届いた瞬間に島全体に睡眠魔法を掛けたのだった。




