生物マニアは………。
【クレイバール島 近海の小島クレセーン島】
《島の山頂》
「ふっふふふ……新たな結界が張られて入れなくなってるみたいだな」
「あそこまでの結界が張れるようになってるなんて凄いじゃない。良い研鑽が出来てたのね…うふふふ♡」
「……手配書に描かれてるのいないけど…何処かに潜んでる可能性が出てきたね」
「…時の番人が手当たり次第に紙をバラ撒いてる可能性もあるからなぁ……今クレイバール島を囲ってるのって…人間か?」
「どうしたの?何か違和感があるのかしら?」
「ほれコレで見てみろ」
ルウカが魔改造した双眼鏡をラブナシカに手渡しルウカは2つ目の双眼鏡を出した。
タヌ治郎と譜月と蓬以外の従魔たちはそれぞれ主人の影の中に入っていった。
「…………あらあら」
「ラブどうしたの?」
「ケダモノが人間に化けてるじゃないの……しかも隻眼よ」
「まさかオレたちがずっと探してた隻眼が人間に化けるすべを身に着けたのか!」
「でも知能はそこまで高くないみたいだ。カウンターを受けて驚いてるし」
「そう言えば…結界自体にカウンター攻撃を仕込んだこと一度もなかったわ。…今がチャンスじゃない?」
「刈り取るのにか」
3人は思い思いの武器を手に取ろうときに事態が動いた。
ルウカ達がネームドモンスター【隻眼】と呼んでいた混合獣の目の前に白衣を着た可愛い人物が現れチョークスリーパーなどの技を掛け始めた。
「ちょっ!あれって【生物マニア】じゃないか!」
「あらあら〜話に聞いてたけど……かなり可愛い顔してるじゃないの♡」
「カーウェンかマジェリルカに呼ばれたんじゃないか?……でも時空裁判所に緊急事態だと知らせたから来るはず……あっ」
ルウカはポケットに入っている緊急事態を知らせるための装置を取り出したら時空裁判所への知らせるスイッチではなく【現時点で最適な人材派遣】のスイッチを押していたのだった。
「あれ召喚したのオレだ」
「えっ」
「時空裁判所への緊急事態を知らせるスイッチではなく現時点で最適な人材派遣のスイッチ押してたわ」
「それで生物マニアが来たのか……まぁ…うん。【星間獣】の素材が欲しいとかなりの金額を落としていってたっけ。
【星間獣】が人に化けた例は100件あるけども希なケースにぶち当たってたみたい」
「それなら手配書の連中を探すのに当てて捕まえる?」
「いや、このまま帰ろうぜ…」
「やけに素直ねぇ」
「ラブは知らないだろうがアイツはとてつもない程の狂人だからな」
「ルウカ声からして何かやらかしたのね」
「ラブにも話すけども本物のサニカも【生物マニア】に関しては知らないだろうから説明も兼ねて皆に何があったか話すよ…」
ラブナシカは生物マニアを見てドン引きしているルウカを尻目にあっそっち系ねと何となく察した。
仮眠を取っていた三匹を起こして3人はクレイバール島に戦っている輩にバレないようにしながら帰還した。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【無敵の宿屋】
《エントランスラウンジ》
「良かったー!母ちゃん生きてたー!」
親子の感動の再開が目の前で繰り広げられていた。
「大袈裟だな…レンカは」
「だって骨折レベルの事を受けたのかもって…」
「あたしは大丈夫だ。レンカも怪我なく無事に帰ってきたみたいだな」
「ちゃんと林間学校出来たの初日と2日目だけだったけどな!」
「……そちらも緊急事態が起きてたのか」
「サニカ先生の用意したテントと従魔達のお陰で怪我もなく済みましたよ」
「そっか…なら良かった」
「カイリ、悪いがあの船…のことなんだが」
「別にいいですよ。あの船に関してですがもし悪さするようなら自爆装置を仕込めとサニカ先生たちのご友人の方から預かり仕込んできました。
あわよくばそのまま貰えたらなーくらいでしたので気にしてませんよ」
「貰う気だったんか」
カイリは妻に抱きついている娘の無事を少し離れた所から見ていた。
「船の件は今は良いけど…クレイバール島周辺で戦ってるのって君たちの知り合い?」
「あぁ、オレと紫蘭の知り合いだな。他の強者達からは【生物マニア】と呼ばれていて今のクレイバール島にある図鑑の作成者であり……変態だ」
「君が若干引きぎみに言うってことはそういった事でもヤバいんだね…」
「公開ピ「それ以上は言わなくていい。紫蘭」
「あら〜…アタシ一度は話してみたいわ〜」
「ラブとはそういった意味で仲良くなれるかもな。合わなければそれで終わりだろうしな」
「結構シビアだったりするのか」
「生物マニア故にだろうねぇ…情を持つと隅々まで調べるなんで出来ないだろうから」
「生物マニアは放置して大丈夫なのかい?」
「大丈夫じゃないか?それと今すぐにもしものことが無いようにハルディオラ達の牧場にいる魔物達を【火天の宿屋】に避難させに行くけどな」
「なら私も行こう。ラブ達がいるけど今回もそれぞれ部屋に籠もってて欲しい。【隻眼】に付いてはハノンやレシェット達から話を聞いたけど、もしものことがあるかもだから…お願いできるかい?」
すると島民たちは素直にサニカの指示に従い、泊まりたい部屋に移動して行った。
エントランスラウンジに残ったのはラブナシカとハノンとレシェットが残った。
「あら?」
「なんか嫌な感じが島の外からするんだ」
「……もしかしてお掃除が必要ですの?」
「行ってきてもいいけど油断は禁物だよ?今回のはやけにゾワゾワするから」
「了解しました」
ハノンとレシェットは宿屋から出ていき目星が付いているのだろうか迷うことなく居るであろう方向に向かっていった。
「そんじゃ…やるか」
「うん」
「アタシはここに残ってお紅茶を戴いてるわね」
「うん…気をつけてね」
「うふふふ…大丈夫よ…生物マニアちゃんをみたら気持ちが高揚してきちゃったから♡」
ふたりはラブナシカに背を向けて牧場の魔物達の保護に向かっていった。




