島からの脱出
【キャンプ場】
「…………ルウカ先生」
「何も言うな。ここに来る前はただのカモノハシだと思ってたがここまでとは思わなかったぞ」
朝早く起きた日葵はテントから出て顔と歯を磨きにキャンプ場の水場に使う途中で見てはいけないものを見た日葵は悲鳴を上げた。
その悲鳴に反応したルウカと飛び上がって起きた子供たちがワラワラ集まりキャンプファイアー前に大量の魔物の亡骸が積み上げられていた。
「これは…時空の番人が育ててる猟犬じゃねえか」
ルウカは積み上げられている中にとんでもないのがちらほらいた事に引いていた。
『えっ?なにかやっちゃった?』
「……いや(時の番人の猟犬がどうしてここにいる。時の番人から通行証を貰っているから追われる筋合いはねぇぞ)」
『そのワンちゃんなら生きてるですよ。わたちに負けて休眠中ですの』
「え"」
すると魔物の亡骸の中から恐ろしい姿をした犬がゆっくりと出てきた。
子供たちは初めて見る魔物を見てガタガタと震えだしかなり怯えている。
「こらどうしてアレをこの中に入れた!」
『えっ…だって悪い感じがしなかったんだもん』
ルウカは蓬の話を聞き猟犬の方をちらりと見たが確かに襲い掛かってくる気配はない。
「…あら?何か持ってるわね」
ラブナシカは猟犬が持っていた物を引き寄せると奇妙な鳴き声を出してからこの場所から居なくなった。
子供は今まで見てきた魔物よりも桁違いの強さを持った魔物を見て数名は恐慌状態に陥りその様子を見ていた譜月たちはそれぞれ手分けして子供達を自身の身体にまとわり付かせてた。
「時の番人からアタシ達に用があったみたい」
「どういうこと?」
「ほら」
ラブナシカがルウカと紫蘭に向けて見せたのは手配書の似顔絵と共に一言、捕まえろと書かれていた。
「もしかしてこいつらが侵入してきてるのか」
「ここは海が多いし、この世界にある島もある程度は調べてるが付いてるから最初は従魔達に頼んで調べてもらうのもありだね」
「そうだな。子供たちも時の番人の猟犬を見て恐慌状態になってるしな」
「強さの次元がね…」
「それを一度はノックアウトさせちゃう蓬はなかなかに鍛えられてるわね」
「そもそもノックアウト出来る時点でヤバいから」
ルウカと紫蘭とラブナシカはちらりと蓬を見たら叱られて泣きべそをかいていたが、譜月に呼ばれ譜月の身体の上でゴロンゴロン転がった。
『う~』
『うふふふ…時の番人の猟犬をノックアウトするとは凄いではないか』
『サニカと過ごしていた時に結構な頻度で襲われてた時期があってそれで色々試して出来るようになったのー』
『……そっかボク達がいない時、君がサニカを護っててくれたんだもんね』
『結構な頻度で襲われてた時期があっただと』
『サニカが言うには時の番人の代替わりが行われた時期に当たっちゃってたらしくて猟犬が代替わりした時の番人の言うことを聞かずに暴れてたらしいの。
サニカみたいに死んだとしても大丈夫と判断された放浪していた強者達が狙われていたみたい』
『代替わりですか…こうも時の番人が入れ替わるなんて何かあったのでしょうか?』
『時に干渉するのはタブーにゃよ。この間とある魔術師が時を弄くって時空維持の強面に叱られてたにゃ』
『…アレはね…流石にないわよ…』
『…………子供たちはどう?』
『このまま昼間にはボクの茶釜の中に入れて船まで運んで帰る事になるよー』
本来の大きさに戻った譜月に子供たちはしがみついていた。
「おーい!そろそろ帰る準備を始めるぞー」
『おっ遂にだな』
『荷造りとかはアタシ達でやりましょうか。この島の物は持ち帰るのはなんかヤバそうだから置いていきましょ』
『お姉様ですらそう思いますか』
『えぇ』
『グリフォン姉妹の感って結構鋭いからにゃー…指示に従うにゃ』
すると翡翠は懐からキラキラした石をいくつも落とした。
『相変わらず光り物好きだねー』
『好きにゃ』
譜月と蓬が子供達の様子を見る係としてそのままの体勢をいじして他の従魔たちは人間に化けて子供達の荷造りをした。
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【キャンプ場】
「やっぱり子供たちは動けないか」
「腰抜けたりしてるみたい」
「なんか来たときよりも雰囲気が異様ね」




