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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
続クレイバール島の生活
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林間学校 その2

【クレイバール島】


《クレイバールの浜辺》



「それでは行って来ます…」

「気を付けて行ってくるんですよ?」

「はい…」



クレイバールの浜辺ではそれぞれの家族がまるで最後の別れでもしているかの如く、熱いハグを交わしていた。



「子供たちを安全にちゃんと帰すから…悲観した感じで送り出すな」

「もー…暗いわよ?」

「ラブ先生たちは余裕かもだけどな?サニカ先生の不信な言動とかが怖ぇーんだよ」

「外側に居たサニカは島の外の魔物相手に余裕だけどって事とかだな?…オレもラブも魔物が活性化する夜に行ったがオレたちでも大丈夫だったぞ」

「…サニカ先生の組手とかの心配はしてくれないの?」

「前に言った通り、お前たちなら大丈夫だと確信しているからな」

「おぉう……」



すると船に荷物を詰め込んでいたサニカが降りてきた。



「魔除けのテントと食料は三ヶ月分入れといたから少しでも壊れたら直ぐに新しいのに変えるんだよ?」

「さっ三ヶ月分のテントと食料…」

「熊系の魔物も居たから一応ね」

「………あたいたち大丈夫かな…」

「それと子供たちに今朝装着して貰ったブレスレットは緊急事態が発生した時に無敵の宿屋に強制送還されるから死ぬことはないからね」

「ひえっ」

「これ以上喋ったらますます恐怖を与えそうだからコレまでにしとく。子供達のことは頼んだからね?」

「任せなさいな」



それぞれの家族は子供たちに「いってらっしゃい」の挨拶を終わらせて子供を乗せた船が遠ざかるのをいつまでも見守った……そして。



「さて…それじゃ始めようか」



サニカの言葉に島の大人組はビクンっと体が跳ねた。



「白虎と唯糸と隆太郎は宿屋で過ごしてて貰うけどもね…カーウェンとマジェリルカには結界を張ってて貰うから好きなだけ暴れても良いからね?」



ピーっと笛の音が鳴った瞬間にサニカに向かって行った者とひとまず逃げた者とで別れこちらもサニカの組手教室が始まった。












【宵の孤島】


《キャンプ場》



「まさかここまで整備されてるなんて思わなかった……」

「エトシェの意見に賛同だねー」

「サニカがやってくれたみたいだからな…派手に動いたのかココは魔物達が忌み嫌うようになったみたいだな。

マモノのフンも無いしな」

「紫蘭先生達もサニカ先生みたいに出来るのですか?」

「残念ながら…私は出来ないかなー」

「アタシとルウカは出来るわ。もしもの時があるから警戒は怠らないわよ」

「……それで俺たちの林間学校の目的ってなんなんだ?」

「お前たちにはスタンプラリーしてもらいながらのサバイバル術を身に着けさせたいからその訓練だな。例えば火起こしとか水の確保とか食料の確保とかな」

「栄養バランスを崩さないように朝だけはサニカが詰め込んでくれた食料を使っての料理をするわ♡」

「ふへー」

「普段の生活で巻き込まれたときを想定してやるから普段着の格好のまま活動してもらうし、強化された服とかはなしだから注意だからね?」

「おれたち生き残れるかなぁ…」

『探索する組み合わせは好きにすれば良いよ。ボク達が護衛獣として必ず君たちを守るから』

「タヌ治郎ヤル気だな」

『鈍ってる体を鍛え直すのに良さそうだから』

『子供ら治郎…それぞれのテントを張ったするから集まれだそうじゃぞ』

「わっ譜月ー…相変わらずもふもふー」

『ふふふ…ほら共に行くのじゃ』



子供達と治郎は譜月に呼ばれテントを張る準備をしていたルウカの元へ向かっていってルウカと一緒に女子用のテントと男子用のテントを皆で協力して張り、ルウカとラブナシカはそれぞれ別のテントを張った。



テントを張り終えた頃には夕方になっておりこのまま初日のキャンプファイヤーの準備をして初日だからとラブナシカが船に積まれていた食料を使い料理した。




《キャンプファイアー前》



「今日はアタシが夕ご飯を用意するけど明日からはアナタたち次第になるから頑張るのよ?

だから朝ごはんはしっかり食べるようにね?」

「はーい!」

「うふふ…少しは元気になったみたいね。アナタたちのニコニコ顔は本当に宝物ね〜こっちまで元気になるわ♡」



子供達はラブナシカの発言を聞いて少し照れくさいのか少し目線をずらした。



「あれ?ルウカ先生と紫蘭先生は?」

「ルウカと紫蘭はスタンプラリーの準備をすると言っておにぎり持ってこのキャンプ場から出て行ったわ」

「そっかー」

「あっ…治郎達に言っておかないと。アナタ達はあくまでも護衛獣として動いてもらうだけで食料や飲水の確保とか手伝っちゃ駄目よ?」

『…………わかったよ』

「アナタ達たら…手助けするつもりだったわね?」

『でも本当にヤバそうなら一度だけでも』

「それは駄目よエルシィ。訓練にならないから…特例としてクーナとクートの手助けはオッケーだけどもね」

「ぶー…おれっちもサバイバルできるよー」

「別に子供扱いしてないわよ。アナタ達はまだまだ栄養を必要としている年齢何だから…」

「それならあーし達も必要としてるわ〜」

「アナタ達はギリギリ大丈夫よ。ちゃんと朝食さえ食べれば1日に必要な栄養素を取れるように作るから」

「あー…やっぱりそこは用意周到なのです…」

「ラブナシカ先生は失恋した傷を癒やす旅に行かないのか」



レンカの発言に他の子供はギョッとしてラブナシカの方を見たが特に変化は見られなかった。



「レンカの言う失恋旅行はしないわねー…次に行こうって思ってるし、それにサニカに星の数以上に男はいるからと言われたもの!次に行くわ!」

「わっ!元気になった!」

「…食事を取ったら明日に向けてテントに入って寝るのよ!」

「お風呂は?」

「そんなものは無いわよ」

「えっ」

「蒸し風呂を作るにしてもキレイな水とか自分たちで集めなきゃ入れないわよ?」

「まっ魔法使うのはアリ?」

「使えるなら良いわよ。そもそも強化合宿だから」



子供達はわーわー言いながら協力し合って身体をキレイにし、いま来ている服も洗って干すといい時間になっていて就寝させられた。






《キャンプファイアー前》



「ラブナシカ、どうした?」

「アスチルを追い出した日のことを思い出してたの」

「そう言えば…サニカ先生とふたりで話し込んでたね」

「その時に謝られたわ」

「アスチルの浮気のことを知ってたことをか」

「えぇ、証拠写真やらを裁判所に所属している愉快犯に渡されたから【全ての真実を写すカメラ】の写真であろうともカメラを製造した裁判所の愉快犯なら捏造できるからまさか本物だと思わなかったんだそうよ」

「裁判所の愉快犯…か」

「でも会合での出来事で確実に起きたことだとわかってアタシの長時間説教を受けるつもりだったらしいわ」

「でもそれはしなかったんだろ?」

「えぇ、アタシですらアスチルの浮気はサニカに言われなかったら気づかなかったんだもの……サニカって自身のミスをかなり重く見るし、自責の念に駆られててそれがサニカに取って罰になるみたいだからあえてアタシは怒らなかったわ」 

「意外と性格悪いなぁ」

「うふふふふ……スタンプラリーはどう?」

「場合によってはその場に行った証拠を持ってこさせてココでスタンプを押した方が良いかもしれない」

「結構なのがいるのね」

「その結構なのはサニカにコテンパンにされたらしく一定の強さをもつ者を避けるみたいだな」

「だとしたら子供達にはかなりいい経験になるわね」



ルウカとラブナシカと紫蘭はこれからのことを話に一区切りして夜の見張り役以外はテントに入っていった。



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