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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
続クレイバール島の生活
382/569

制裁

【火天の宿屋】


《血塗られたエントランスラウンジ(中央)》



「……………うふふふふ………アーハハハッ!」



ラブナシカの急な高笑いに幾度もなく肉片にされてから元の姿に戻され足枷を填められているふたりはビクッと反応した。



「外はもう異世界からのお客様が全員もれなく帰って行ったみたいね〜……はぁ~なんか飽きちゃったわ。

殺意ってこんなにもアッサリと直ぐ消えちゃうのねぇ」



ラブナシカの飽きた宣言を聞きホッとしてすぐにゾクッと寒気に襲われた。



「アンタたち…ホッとしたかも知れないけど……アタシは許すとはイッテナイワヨ?」

「「!」」



すると出入り口のドアをトントンと叩く音が響いた。



「ラブ先生〜調子はどうですか」

「あら。まだ入っちゃ駄目よ」

「わかりました。…私とカーウェン先生からの差し入れを持ってきましたよ」



浮気した者はドアの前に居るであろう母に一瞬縋り付こうとしたがそれを察知した母親に言われた。

ラビリアもカーウェンの名前が出てビクッとした。



「ラブ先生たら…愚か者共に恐怖ばかり植え付けてどうするんですかもう。

おバカ息子も少しは反省したようですが……私たち島の子供は浮気に関してはかなり毛嫌いしているのをおバカ息子は知っているはずですし、我々は長く生きる故に恋愛結婚を押しています。

祖先の竜や獣人の血の作用で【運命の番】とやらを見つけたのだとしても相手やコチラが婚姻をしている場合は話し合いしたりしてちゃんと筋を通すべしと口を酸っぱくして教えていますのに…アナタという子は浮気という最低な行為をバレてないと高をくくり裏では猿のように盛っていたとなれば言語道断です」



ラブナシカがドアをゆっくりと開けるとそこにはモザイクが掛かっている血の付いたナニカが入ったケースを両手で持っている真顔のイダルベールが立っていた。


その様子を見てしまったアスチルはカタカタと震えだした。



「どうぞラブ先生」

「あら良いの?」

「はい。受け取ってください…そこの発情メスウサギごとヤっちゃってくださいな…ディッ君と話し合いをして決めたので私達は大丈夫です。

ホントは往復ビンタしたかったですがそれはラブ先生がしてくれたので私はしません。

それにここにディッ君が来なかったことでおバカ息子は色々と察知した事でしょうから」



冷たい目でふたりを見たイダルベールはラブナシカにケースを渡して振り返ることなくさっさと帰って行った。



「イダルベールがあそこまで怒ってるのを見たのは久し振りねぇ…ハルディオラも送り出す時に内心ビビッたでしょうに…そうだ喋れるようにしてあげないとね」



ラブナシカはパチンっと指を鳴らし喋れなくしていたふたりを喋れるようにした。



「かっ母さんっ…!」

「イダルベールがあそこまでキレてるのはエトシェの事もあるでしょうねぇ」

「……………仕方ないじゃない……本能には逆らえないのよ…」

「アンタには何を言っても無駄だものね。…本能には逆らえないって言ってるけど抑え耐えてる子も居るわ(ラビリア達みたいなのがいるから風評被害受けてる子が居るってことを理解してないわよね…理解してたらこんな事しないものね)。

サニカたちよりも永く生きているというのにいつまで経っても堪え性がないわね。

…さてとイダルベールから受け取った魔具を使いしばらくの間だけど一定の力を封じさせて貰って二度とこの地に足を踏ませない処置をさせてもらうわ。

アタシの純情を踏みにじった事の責任を取ってもらうわよ?」

「好きにすれば良いわよ…」

「………………」



ラブナシカはイダルベールから受け取ったケースの中から血が付いてない【魔封じの足輪】と【禁足地の宝玉】を取り出しまずは足枷を装着させてから、ラブナシカはふたりの目の前で禁足地の宝玉を素手で砕いきそれぞれに振りかけた。


すると振りかけられた【禁足地の宝玉】がふたりの中に吸い込まれていった。



「コレでアンタ達はこの地から出たら二度とこの世界には来れないわ。

【清廉潔白の聖者】が作った【宝玉】だから流石のラビリアであろうとも覆せないわよ?

それとアスチルはアタシのワガママに付き合ってくれたからアナタが持つ学校がある異世界ならどこでも使える【教員免許】はそのままにしてあげるし、どういう経緯で浮気した事は書くけどアタシとサニカとルウカの連盟で推薦状をかいてあげるから一度だけならば自身が望む場所で教師を出来るようにもしてあげるわ。

悪いけど罰の一つとして子供達には合わせないでこの場所からラビリアの世界にこのまま送るわ……それとラビリアに一つだけ忠言してあげるわ。

この島の出身者としてアスチルは数多の世界の強者から狙われるから攫われないように気を付けなさいね?

あっ…もしかしたら種馬として共有しようとか言われるかも知れないわね」

「!」

「【運命の番】が大切なら護りきってみせなさい。アタシ達はもうアスチルを護れないから……頼んだわよ」



ラブナシカはそれだけ言うと指パッチンして後輩神族を呼んでふたりをラビリアの世界に送り届けさせた。



「終った?ラブ」

「あら紫蘭いたの?」

「一人ぐらいは見ていて欲しいと頼まれたから」

「そう」

「浮気で追放か…」

「うふふ…浮気ぐらい良いじゃねえがって言うのもいるけど昔、浮気した奴をサニカとアタシのお説教で済ませた事があったけど…当時まだ村だった頃かしらね。

その浮気者が3度目の浮気でとんでもない輩を引っ掛けてきた事があって浮気者と3度目の浮気相手のお陰で一時期村が衰退のピンチになったことがあってそれ以来浮気者はどんなに優れていて秘匿している技術を持っていようともアタシ達が暮らしている場所から追放することになったの」

「その記憶は知らないな…」

「大人にならなきゃ見られない無敵の宿屋の方にある図書室の【ヒ・ミ・ツの書物庫】に当時の事が書いている【初代ヌイミラルラ家当主の日記】を読むといいわ」

「…暇な時に…読ませてもらおうかな」

「さて、コレでこの件はオシマイよ!汚したままだと【火天の宿屋】とサニカに怒られるから綺麗にしなきゃ。

紫蘭は島の子供達と一緒に島の掃除の方に行きなさいな♡」



ラブナシカは掃除道具を用意して掃除を始め、紫蘭はラブナシカに言われた通りに島の清掃をしている島の子供達の元に向かっていった。


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