カフロルト王国の真実
オレとカフェルネはばあちゃんからざっくりとした話を聞きながらじいちゃんたちの元に着いた。
「本当にじいちゃんとテムル兄さんとティアさんが居るよ、ミストルとイシェーラさんも無事て良かった」
「ティア、デーモンの尋問は頼んだぞ?」
「わかってます。テムルも着いてきて、デーモンの尋問の仕方を経験しときなさい」
「わかったよ」
ティアさんはテムル兄さんを連れてじいちゃんが用意した異空間に入っていった。
「テスはそこまでじゃなさそうだね」
「そんなことないぞ…」
「ティルクスもミストルの様に疲労が溜まってるみたいじゃな」
「テスお前に返すマントと盾を」
「ありがとうじいちゃん…敵に渡してあったけど平気だったのか?」
「それなら平気だ、強すぎる光の魔法とサニカと俺の手作りの物だから使えなかったみたいだ」
うわー…渡した意味なかったんだ。
イシェーラさんはほぼ無傷だ…ミストルは少しぼろぼろで気だるげにしてるな…ばあちゃん特製のマントが所々ぼろぼろだ。
「サニカ結構な力を使ったみたいだか…」
「ティルクスにも協力して貰ったから平気」
「そうか…なら早速始めるか全員揃ったしな、まずはご苦労だった少ない数でよく耐えた味方はほぼ居なかったのに」
「ばあちゃんからここに来るまでに聞いていたけどカフロルト王国は半分乗っ取られていたってホントなのか」
オレは前回の時にデーモンには会った事はなかったな。
「あぁ、数年単位で徐々に侵食されていたみたいだな。俺の作った天使の牢獄にねじ込んである全裸の変態と従業員一族には聞きたいことがあるからしばらくこのままだ」
「その人たちは人なのですか?」
「こいつらはれっきとした人間と先祖返りだ、全裸の変態は薬物のドーピングでここまでの魔力を上げて魔導騎士をやっていたみたいだがな」
「ルトラウス様この国を陥れた内通者と仕組んだ大バカ者は誰なのですか!」
「この変態はただのドーピングした野郎だから関係はない」
「「えっ!」」
「犯人はコイツじゃないぞ」
『ルトラウス頼まれた通り捕まえてきたよ』
「おっ来たなルノカ」
『後でご褒美だからね…それとボクが捕まえたデーモンは後で渡すね』
ルノカが何かを引きずり尻尾を振りながら来た。
「わかっている」
「なんか引きずってる…」
「俺達が言うよりはコヤツから全てを聞いた方がいいだろ」
「「「「「えっ」」」」」
そこには意外な人物が引きずられていた。
「どういうことじゃシェザーナ…話によっては許さんぞ?」
「先生たち容赦ないわ~……お久しぶりね姉さん、あたしは革命が起きて殺されそうになって隠れながら上手く転々とやり過ごしてたのに…ルノきゅんに捕まるとは」
「いつものシェザーナじゃ、いい感じに喋れるようになったと思っていたが………クラウスはどうしたのじゃ、あやつなら革命を止められるじゃろう」
「姉さんはクラウスの本当の顔を知らないからそんな事が言えるのよ。いままで何があったか全て話すわ。
18年前に姉さんが居なくなった後クラウスが急に政治に関してしゃしゃり出てきたの。
あたしを傀儡人形にしようとしたけどルトラウス先生とサニカ先生の教育の賜物のお陰でなることはなかったわ。
どうやら昔から通じていたデーモンたちと国民の負の感情を煽り革命を起こさせようとしたの。
ある日寝ていたら、感じたことがない悪意を急に感じたから逃げたの」
「そんな!生きてる国民を捨てるなんて!」
「どうして助けを呼ばなかったのじゃ」
「その頃のあたしの回りには信頼が出来る人が居なかったのと常に見られてる感じがしていたから【助けてっ!】て手紙を送れなかったわ…言い訳に聞こえるかも知れないけどね」
「どういうことじゃ…わらわに聞かせくれまいか」
「…この国は数十年前から既に半分以上の民は亡骸の人形で、もう半分はデーモンによって管理されていた生きた人間しか居なかったの、姉さんが女王だった時から既にカフロルト王国は半分死者の国と化していたのよ」
「よくデーモン相手に逃げ切れて居たねシェザーナ」
「サニカ先生のデスマッチ鬼ごっこのお陰ですよ」
そうかだから前回の寄った時のカフロルト王国は城以外は荒れていてぼろぼろな外観だったんだな直す必要ないから…前回のシェザーナさんは病んでいた顔つきをしていたけど…なんかだりぃーて表情だな。
無法者達が集まり好き勝手させても常に負の感情を集められるからデーモンは放置してたのか。
「わらわだけが気付いていなかったのか…」
「もしかして母さんに呪いを公爵家が掛けたって言ってたけど実際はデーモンがやったのかも知れないんじゃないの?」
「デーモンは人間からデーモンになる原因を作った者しか呪えないからそれはないぞ、ミストル」
「「へぇ」」
オレもミストルと同じタイミングで同じ言葉を発した。
「公爵家はこの国で起きている事を知ってしまったんだろうな、それをクラウスに見付かって一族全員を追放するように仕向けたんだろう」
「わらわは間違った事をしてしまったのか」
「姉さんは間違ってないわ、公爵家は実際に魔神教と繋がっていて中に引き入れていたから女王としての判断は正解だったわ」
「私たちはどうして最後まで生かされたのでしょうか?」
「それは上位のデーモンが地上に降りるために使う【器】に選ばれたからだろうな、それとイシェーラお前もだぞ」
「わらわもじゃと」
「18年前のあの時に奪えるまでの段階にいったが俺たちが来て完治させて、イシェーラはアルーヴと決闘して負けたが結婚しろと迫って無理だと言われたがアルーヴ愛用の短刀を粘って貰っただろ?」
「確かにせめて愛用の品を貰ってやる!と粘ってアルーヴから貰ったな…今も離さず持っておるぞ」
「かっ母さん……」
「イシェーラの判断は正解だったんだ、それがデーモンを弾いていた物だな。なぜかデーモンは使い込まれた強者の武器を怖がる習性をもっていてね」
それだ!前回のイシェーラさんは死んでなかったんだ、アルーヴさんから前回は武器を貰えずに器として完成してデーモンに体を奪われて行方をくらませていたんだ。
「わたくしの持ってるメリケンサックは古くから伝わっている物ですが、そこまでなはずです」
「代々魔法騎士団長に伝わる私の剣もそうだ」
「……ニアが持っているメリケンサックとジュリアが持っている剣はお前たちを守ってるぞ?」
「へっ?」
「それは俺が作った物だからな」
「ホントですか!」
「あぁ、間違いないそれは初代カフロルト国王に頼まれて俺が作った物だ…何代か前の国王がそれぞれに渡したんだろうな」
「そんな事は王家の歴史に書かれてなかったのじゃ」
「そう考えると数十年以前からだったのかも知れないな」
「それにしても遅いねティアさんとテムル兄さん」
「…………気にするな」
「何の間合いなのじいちゃん」
「ティアはドSだからね」
「ドS?」
「お前たちは知らなくていい」
「ニアどうした」
「わたくしのお祖父様がこの国を……デーモンと共に……」
「多分だがその前の代からもデーモンと関係を取っていたかもな」
「………」
「ただいま戻りました~」
「ティア、テムル戻ってきたか」
テムル兄さんがティアさん見て引いてる…少し怯えていた。
「何を吐いた」
「ルトラウス様、最上階の隠し扉を開けなくて正解でした173年分の負の感情を溜め込んでいるみたい。
2年後に溜まりきりデーモンの親玉である七体いる大悪魔の1体【強欲のアグルエルファス】を呼ぶつもりだったみたいね」
「そうか…」
じいちゃんでも勝てない相手なのか?ため息着いてたな。
「今回の事件を起こした犯人は…クラウスちゃんではありません」
「ならば犯人は誰なのじゃ」
「……この国の近衛騎士に所属するニアちゃん以外の団員全てが犯人よ」
「えっ」
「なんと!」
「やっぱり…そうだったのね」
「近衛騎士だけが全て生きた人間で構成されデーモンの召し使いだったみたいね。先々代の国王夫妻を暗殺したのは彼らよ」
「ニアちゃんが生かされた理由はクラウスちゃんが根性で踏んばってせめて何も知らないニアちゃんだけは助けたかった見たい。ジュリアさんは先代の魔法騎士団長から鈍感だった事が見込まれて渡されたのね」
「ナルシア様が私を見込んだ…鈍感な所が」
「不死者の山の兄弟はデーモンの存在を親から知らされていたから入念な準備をして逃げた見たいね」
既に逃げてたのか…見つかるわけないな。
「その団員たちはどこに居るのじゃ」
「もうこの国には居ないわ…優秀な魔法使いが居たみたいね?」
「カルセアね」
「ルトラウス様とサニカ様にこの国の真実を知られたから逃げたみたいよ」
「百万人の魂を癒し解放してやらないとな…デーモンたちは【桃色天空城】の刑に処する」
「逃げたデーモンの召し使いたちは裏で各国を引っ掻き回すだろうから各地にある【桃色支店】に協力してもらおうか」
「サニカとテスとミストルと…カフェルネ?は隠れ里で休んでろ…イシェーラとシェザーナは最後の王族として国民の最後を…国の最後を見守るんだ」
「わかったのじゃ」
「わかりました」
「カフロルト王国は今日限りで解体されるだろう」
「…わたくしも立ち会わせてください」
「私もお願いします!」
「ジュリア、ニア…悪かったわね…王の器を持たないあたしが王になった事で―――「シェザーナが逃げ回っていた事で【強欲のデアグルエルファス】が召喚される前に発覚したのだから自らを責めるな…わらわでもルトラウス様でも気付かなかった事に気付いたのだから見事なものじゃ」
「姉さん…」
「わたくしだって」
「今回はデーモンが関わっていたとなれば各国から批判は来ないだろう…お前もこの後ゆっくり休め、それから考えろ」
「はい」
「そうさせて貰いましょう」
「わらわは…」
「お前たち姉妹は後処理をしてからな、俺も手伝うから安心しろ」
「あと後処理のプロを呼ぼうか」
「そうだな…ティアとテムルは空の私の島に戻って休みなさい」
「はーい」
「…母ちゃんに逆らうのは無理だ…」
テムル兄さんはティアさんの何を見たんだろう…あっカッパ様の事を聞くの忘れてた…また今度聞けばいいか。
オレとミストルとカフェルネは、ばあちゃんの魔法でカフロルト王国に近い隠れ里【フロリルエル】に飛んで休みながら夜を迎えた、カフロルト王国の方角からとても綺麗なさまざまな光が夜空に向かって飛んで行くのが見えた。