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元勇者の転生人生記録  作者: 冬こもり
とある神族と前世持ち元勇者の過去のしくじり話
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過去にしくじった話〜時渡り〜

【詠ま星学園】


「おーい……おい!ルウカ!起きろ!」

「うおっ!」

「どうしたんだよボーとして」

「はえっ?」

「調子悪いのか?」



ルウカの眼の前には中学から別々になった小学校時代の友人がキョトンとした表情をしていた。



「今日は終業式で午前で終わるから皆帰りの準備してるんだからルウカも早くしろよ?」



それだけ言うと自身の席に戻って行った。



(……ほんとうに過去に戻ったのか…着ている制服の星の数からだと小学校時代の5年生の頃だよな?

サニカとは別の小学校だが…確かラブが【這い寄る混沌】と言ってたか?の通りだとすれば未来で使っていたスマホやらがアイテムボックスに入ってるから連絡は取れそうだな…結構な過去に戻されたな……もしかしたら闇落ちしたカズハを救えるかも知れないな)



ルウカも他のクラスメイトと同じ様に家に帰る準備をして馬舎に向かっていった。



【詠ま星学園併設施設ー馬舎ー】


「おっルウカ坊ちゃん。お帰りですかな?」

「管理人さん…坊ちゃんって呼ぶの辞めてくれないか?」

「ふふふ……各家で所持している馬に乗って学園に通っている子供たちは手で数えられる人数ですからな」

「…天藍号の用意は」

「出来てますよ。ルウカ坊ちゃんは公道を通ることなく学園側の私道でお家に帰れるので注意点はないですからな」

「この学園敷地とか私道持っててヤバイよな」

「ほほほほっ…この学園は古くからあるお家柄だったり大金持ちのご子息やご息女の方々が入りますからな。

そういった方々からの支援やらで土地や道をお買いになられてるようですからなぁ」



話し込んでいると天藍号を他の飼育員が連れてきた。



「二条様、天藍号の準備は出来ております」

「ありがとう。それじゃまた来月」

「良い長期休日をルウカ坊ちゃん」



ルウカは少し高い足場を使って天藍号に跨り馬舎から飛び出していった。

馬を走らせて家に帰ると自宅の馬舎の管理人に天藍号を預けて自身の部屋に向かっていった。






【二条本宅】


《ルウカの部屋》



「これからの予定は戻る前の行動と変えて大丈夫か?……フェアに行こうかって言ってたし大丈夫だろうな!

さてとサニカに夏休みにやることのメールをしておこう」 







◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



【日村家】


《日村姉妹の部屋》



「……メール来てる…ルウカからか……………………新幹線に乗って来いだと?…アヤツ…久しぶり過ぎて駄目だな。

ルウカはボンボンだから余裕だけど、こちとら中流家庭がポンポン新幹線に乗れるとでも思ってんのか?」

「なにブツブツ言ってんのよ?勉強に集中できないでしょ」

「ゴメン」



サニカは姉にひとまず謝り、出かける準備をしてから部屋を出てルウカに会いに行くと書き置きを置いてから家からも出てサニカの秘密基地に向かって【無敵の宿屋のドア】を召喚して中に入っていった。



【無敵の宿屋】


《サニカ専用の部屋》


「そう言えば未来の物を持って言っていいって邪神様に言われてたっけな…高額当選の乗ってる新聞があるから宝くじ当てるのも一つだけど…それだと将来的に嫌な感がするからやめておこう。…タンス貯金してあるからそれを切り崩して使って欲しいの物を揃えながら新幹線に乗るか……それといい加減に子犬と子狸もルウカ言ってモトに戻してもらおうかな…………未来の新聞…?……あっもしかしたらカズハの件があるかも」



サニカはそれだけ言うと未来の出来事が書かれている新聞をとりに向かい、調べ始めたが一人では無理と判断してルウカと合流してからしようと決めた。

そして財布にいくらかのお金を入れて宿屋から出て歩いて駅に向かっていった。

いくつか乗り継ぎをしてルウカの住む地域まで向かいビジネスホテルの近くで人目に付かないように【無敵の宿屋のドア】を召喚してからドアを回収して寝泊まりして朝になってからルウカに言われた集合場所に向かっていった。




【国立図書館】


《玄関前》



「中流家庭にはキツイんだけど?」

「でもここまで来たじゃないか」

「宿屋にタンス貯金してあったから来れただけだからね?」

「お前が溜め込んでた奴か」

「人を呼ぶにしても考えてね?お坊ちゃま?」

「坊ちゃん言うなし!」

「……それでこれからどうするの?取り敢えず来いって言われただけだけど?」

「……カズハの未来を変えられるかやってみないか?」

「その資料は持ってないよ?カズハは施設育ちしか言ってなかったから詳しく知らないけど、もしかしたら宿屋にある未来の出来事が書かれている新聞に乗ってるかもだけど」

「!…そうか、あるんだよな!………でもまずは夏休みの宿題やっちゃおうぜ」

「それで国立図書館集合なのか」



サニカとルウカはリュックを背負いながら国立図書館の中に入っていった。

ふたりは図書館でそれぞれの学校で出された課題をかなりの速度で解きたった1日で九割を終わらせ宿題が終わったのは夕方であった。



「自由研究は一ヶ月かけて花の成長記録でも付けよう」

「……私はカボチャかマクワウリを育ててみようかな。それで泊まる場所は決まってるの?」

「おう!お前の宿屋に泊まるぞ」

「……子供だけだとホテルとかは泊まれないか」

「当たり前だろ?」



国立図書館の閉館時間の音が流れ出し、ふたりは国立図書館を出ていった。

この日もサニカは人目に付かない場所をルウカと共に見つけて昨夜と同じことをして宿屋に入っていった。






【無敵の宿屋】


《食堂》


「サニカ、宿屋の時を遅くする機能は使えないか?」

「使えるけど……少し待ってアクセサリー作らないと私たちがヤバいことになるから」

「そう言えばそうだったな……でもこの機能いいよな。いくら宿屋で過ごしてても外では数分しか経ってないよって出来るんだもんな!」

「だからこの宿屋の事情を知っているあちらの世界の神様が管理してて私が生まれる前の転生直前に押し付けてきたからね………よし出来た。ミサンガを受け取って」

「おう!……腕に付けても良いのか?」

「一応、足にも付けておいて」

「2か所か」

「うん。腕のミサンガをなにかの要因で切られても大丈夫なように、機能を発動させると機能停止させるのに手間がかかって大変だから」

「わかった」



ルウカとサニカは腕と足にミサンガを装着した。



「それと子犬と子狸も未来から連れてきちゃったみたいだからアクセサリーから元の姿に戻してくれる?

この子らをこの宿で飼うからこの子らも宿屋の機能の影響を受けないようにしたい」

「連れてきてたのか…わかった」



ルウカが二匹をアクセサリーから元の姿に戻し、二匹はふたりを見て吠えたり唸っていたが美味しい犬飯を用意され食べきると尻尾を振ってすり寄ってきた。

サニカは子犬に小学校の授業で刺繍した桃色のスカーフを装着させて子狸にも学校で刺繍した青いスカーフを装着させた。



「現金なケモケモだなー」

「美味しい物を食べさせると言ってたからね」

「狂犬病予防とか予防接種ワクチン打たせないとだし、オレんちが贔屓しているおもしれー獣医いるからそこに行くか」

「うん……今はまだゲージに入っててもらおうか」

「それはもう明日にしてオレはどの部屋に泊まろうかなー」



二人でエントランスラウンジにいるとドアを何者がガチャガチャしてきたのにビクッと反応した。



「おっおい…ドアをガチャガチャしてるぞ」

「(そう言えばドア召喚したままだった。しまうの忘れてた)ガチャって入ってこれないなら私達に危害があると判断されてるから無視で」

「お前って……」

「なにか?」

「なんでもない……そう言えばラブナシカ見たか?」

「まだ見てない、這い寄る混沌が言ってたけどなにか処置を受ける可能性あるからねぇ」

「あぁ…確かにな」

「…子供の体だともう眠いや…新聞とか調べたいけどもね…勉強って体力使う」

「機能を発動させたのか?」

「うん。やっといたよ」

「なら一旦寝るか。寝て起きてもどうせ宿屋の外は10分程度しか経たねぇし」



ルウカとサニカはエントランスラウンジ左に設置されたソファーにそれぞれ寝っ転がった。

ルウカは宿屋に併設されている3つの時計を見た。

1つ目は宿屋の時間の経過を指し示し、2つ目は今いる世界の時間を示し、3つ目はこの宿屋が生まれた世界の時を示している。


時間の経過を見てサニカが発動させた機能が正常に動いているのを確認してから目を瞑った。

 







◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇






「ルウカ〜起きなさ〜い………起きなきゃ…チュ~するわよ」



ルウカは飛び起きると、目の前には三頭身しかないラブナシカが浮いていてルウカはソファーから転げ落ちたがズササと素早く離れた。



「ギャァァァ!三頭身オバケェ!!」

「誰がオバケよ!」

「遂に三頭身妖精にオカマキャラか現れた!」

「うっさいわ」



ピーチクパーチク騒いでいた所にサニカが冷たいお茶の入ったステンレス製のコップを持ってきた。



「君は寝起きのルウカにちゃちゃを入れないの」

「だってー…反応が面白いんだもの」

「だから君たちのイタズラ合戦が終わらないんだよ」

「……さっサニカ……お前の横にふよふよ浮き沈みしているのがラブナシカなのか!?」

「うん。無敵の宿屋にモンスター扱いされて最初は入れなかったみたい。

私が目覚めて未来の出来事が書かれている新聞を移動させてたら入って来たよ」

「でも時を戻されたと思ったらこんな姿になってて驚いたわ〜他の人達には見えてないみたいだからこの姿でウロウロしてても平気だったわよ」



ラブナシカが考え深げに話していたが、少し離れた位置にいたルウカも近くにいるサニカも三頭身妖精となったラブナシカを見て、現実で乙女達を導くリアルな人型の妖精を見るもんじゃねぇな〜と思っていた。



「それでこれから何をするつもりなの?アタシはサポートしか手伝えないわよ。ほとんど力を封印されちゃったし」

「ラブクラスだったらあの神様の時戻しとか防げたんじゃねえのか?」

「ナンノコトカアタシ、ワカラナイ」

((この反応からして絶対に防げたな))

「……まっ君がそれで良いなら私は何も言わないけどさ、私たちの邪魔したら二度とこの宿の中に上げないし…後は…なんでもない」

「ちょっとー…気になる所で会話を切らないのよ」

「まっ邪魔だけはしないでくれよ?今現在ではラブ抜きでやらねばならないんだからな」

「そこは安心しなさい。アナタ達が欲しがるような情報とかを見つけたりするサポートに徹するわ」

「なら良し」



好きなだけ寝て過ごしたふたりはは未来から持ってきた新聞を開いて調べ始めた。

ラブナシカは前に渡されたのとは別の資料の方を読んでどのような事が未来で起きたのか時系列をじっくりと隅々まで確認している。



「……時系列的に這い寄る混沌は自身を信仰している者を使ってもう動いてるわね」

「ガキンチョのオレらには出来ることは少ねえぞー」

「そうねぇ…アタシもこうだから見える人がいたとしても出会い頭で逃げられるし」

「自覚あるんかい」

「あるわよ」

「ラブを使って這い寄る混沌を信仰している輩の妨害は出来そうだけどそれしたら後々怖そうだよな。今は未来の新聞を見て情報を整理しようぜ」

「りょーかい」



3人で休憩を挟みながら新聞を隅々まで調べたがカズハの件は見つけることが出来ず仕舞いであった。



「…どうもカズハの件は見つからねぇな」

「交代して読んでいるけど駄目ねー」

「……この時には門を使って異世界と地球を許可が取れれば一般人も行ったり来たりし出来てるんだよね。

カズハは向こうの世界生まれってことはない?これだけ探してもないし、向こうの世界の新聞は手に入れてないから」



サニカの発した言葉にラブナシカとルウカはハッとした。



「異世界へ移住とかその逆しかりを既にしてたりするから可能性ありそうじゃない?」

「……その線は考えなかったな」

「なら今回は異世界へ旅してみる?向こうのアナタたちにも協力してもらえば見つかるかも知れないわよ?」

「それだけは駄目だ。向こうまで巻きこんだらそれこそ収集がつかなくなるぞ」

「でも向こうの世界の方を調べるってかなり良い案かも知れないね。車とかは今はまだ使えないから移動手段を確保しなきゃだけど」

「それならオレは愛馬の天藍号を連れてくるかな…乗馬なら小さい頃から仕込まれてるし、この宿屋は従魔と過ごせる施設があるもんな」

「私はどうしようかな……」



サニカが悩んでいるとラブナシカがとある一方向を見た。



「悩むことないじゃないサニカ」

「え?」

「そこの子犬を護衛獣にしちゃえば良いじゃない。護衛獣の契約は特殊な系統の魔法になるからアタシが手伝えば魔法が使えなくても契約できちゃうわよ?

そして護衛獣になればただの地球の犬ではなくなるから進化するようになるもの」



ラブナシカは悪魔の囁きを囁いた!だがサニカは話を聞き流した!



「山でもデコボコした道でも大丈夫なチャリを確保しよ」

「も~無視しなくても良いじゃないの」

「ラブナシカ、オレにその護衛獣の契約とやらのやり方を教えてくれないか?」

「あらルウカが食い付いたわ」

「従魔契約とは違うんだろ?」

「えぇ、違うわよ。護衛獣の契約はその辺にいる魔素を持たないただの動物と契約を行使するための術だから少しやり方が違うのよ」

「へぇー」

「やり方は………」





ルウカとラブナシカはコソコソと話し始めた。サニカは子犬と子狸の世話をしに向かった。


子犬と子狸は2匹仲良く犬の玩具で遊んでいたがサニカを見て近くにやって来た。


 

「おや……仲良く出来てる。どうやって躾ってやるんだろ……本格的にやったことないからどうしようかな」



サニカは懐から犬用のジャーキーを取り出し、まずはお座りを覚えさせようとした時には祝詞が聞こえ突然足元が光り輝いた。



「ここに幼獣と絆を結ぶ者あり主人は幼獣に知恵を与え、幼獣は主人となるものを護る力を習得せよ!

ここに絆結びが結ばれたし!」

「えっ」



するとサニカの体からとてつもない程の太い光の線が出てくると二又に分かれて子犬と子狸の体の中に入って行くと契約が結ばれたと本人は理解し、光が落ち着くと変化が直ぐに現れた。



『わーい、オヤツ、オヤツ!』

『オヤツ…』

「………喋った」

『あれ!?オヤツくれた人のはなしわかるよ!』

『…………』

「……君たち名前欲しい?」

『なまえってなーに?』

『?』

「君たちを現す物さ」

『よくわからないけどほしいっ!』

『ボクも…』



サニカは頭を撫でながら名付けした。



「君の名前は頭の模様がハチワレで耳がマダラ模様があり、白いボディに小さいブチが沢山あるから譜月」

『ふうげつ!』

「君はなんか純日本って感じでのほほ~んてしてる感じがするから治郎」

『じろう…』

「譜月、治郎。コレから私の魂が消滅するまで一生を共にすることになったけどヨロシクね」

『よろしくー!』

『…よろしく』

「今日までは良いけど明日から君たちには人間社会の掟とか覚えさせないと」



サニカは譜月と治郎の頭を撫で撫でしてからゆっくりとルウカとラブナシカの方を向いた。



「ひぇっ」

「あらあら〜サニカったらそんな顔も出来るのねぇー」

「しばらくの間、この宿屋に滞在するの禁止とする。さっさと出て行けこんのトラブルメーカー共が」



サニカがそう宣言するとルウカとラブナシカは宿屋からポイッと外に出された。



「……………ラブナシカ泊まる所はどうする?」

「野宿はやりたくないから一時的なら大人の姿になれるから予約とってホテルに泊まりましょ」

「ホテルに泊まるよりオレの実家に行くべ。今はまだ籍を抜いてないからオレの部屋に泊まればいいし。

天藍号をオレの護衛獣にしたいから戻らなきゃだしな」

「なら遠慮なくついて行かせてもらおうかしら」

「明日の待ち合わせ場所はサニカに連絡しとけば来てくれるだろうから…今日はこのまま戻るか」





◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




【詠ま星学園】



「……………どうして夜の学校で待ち合わせなんだい?」

「オレとラブナシカで異界へ行くための門の管理局に連絡を入れたんだが向こうでひと悶着があったらしく封鎖しているんだそうだ。

昔からこの学園の七不思議の向こうに行くための隠し門があるみたいなんだ」

「それで夜の学園に不法侵入して七不思議を辿っていこうっていう魂胆か……警備とか凄そうだけど」

「そこはお前の宿屋にあの人が残しておいてくれた透明布団を被って進むのさ!」

(それでどうして他の人達が居るのかな?)

(七不思議を調べる約束してたんだ、すまん)



サニカは少し離れた場所にいるお子ちゃま達を見た。



「七不思議を調べるのに良い人物がいると言ってたが……まさかルウカのイトコさんだったとは」

「……はじめまして私の事は日村って呼んでくれるとありがたい。そこのアホがお世話になってます」

「以外と毒舌…何処から入るのルウカ?」

「学園の西の生け垣から子供だったら入れそうな場所があるらしいんだ」




5人の子供+他の子供たちには見えないようにしている三頭身ラブナシカがついて来ていた。

ルウカに案内された生け垣に向かい子供だったら入れる場所があり、そこから学園に侵入していった。


※関係者以外は学園や学校に昼であろうと夜であろうとも侵入するのは犯罪ですのでやめましょう。









◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇




【詠ま星学園】


《一階の廊下》


「……七不思議っても5個は学園に残ってるサービス残業している教員が要因じゃねえか」

「でも6と7つ目はまだ分からないわよ〜」

「そうだな(ラブナシカそろそろ頼むぞ。流石にこいつらごと行くわけには行かないから)」

(任せなさい)

「…残る七不思議は廊下を這いずり回る女子生徒と校庭の黒い渦だっけ?」

「そうだな」



5人はそろりそろりと歩いているとピタ…ピタ…と音が響き始めた。

音が響き渡り恐る恐る後ろを向くと廊下の床にピッタリとくっつくシルエットが映し出されていた。



「あぅ」

「アレは水上先生がコケただけじゃね」

「そもそも真っ暗闇でよく人の姿と分かるわよね〜」

「「「ん?」」」



三頭身のラブナシカを遂に見てしまったルウカとサニカ以外の3人の子供はギャァァァ!!とパニックになり透明布団から飛び出して廊下を走り出すと這いずり回る奴もこちらに向かって早いスピードで迫って来ていた。



(おい!ラブナシカ!アレはどういう事だ)

(知らないわよー…アレだけはガチだったって事じゃないの?逃げなきゃヤバそうね)

(3人が玄関を出て学校から出るのを確認しないと)

(そうだった) 


ルウカは結構な速さで走るサニカを見てニヤリと笑ったがラブナシカですら逃げなきゃヤバそうと言ったのを聞いて冷や汗をかいていた。



ラブナシカが先回りして学校の表玄関をガチャと開けると普通に開いた。



「ヒィッ〜!変なのが表玄関を開けたっ!」

「なにかの罠か?!」

「お前たち!玄関から出て学校の敷地から出るぞ!」

「うわーん!来るんじゃなかった〜!」

「……」



誰一人として立ち止まることなく表玄関から飛び出すと校庭に黒い渦が渦巻いていた。



「へっ?!最後の七不思議の黒い渦もある!」

「…アレ!ふたりがいないわ!」

「おっおい!這いずり回る女子生徒が出てきてるぞ!」

「何なのよ!!」



這いずり回る女子生徒はルウカのクラスメイトを追いかけ決して黒い渦に近づけさせないように長距離走の如く校庭をぐるぐる回っていた。


ルウカとサニカは逆に透明布団を被ったまま黒い渦の近くまで歩みを進めラブナシカも近くにやって来た。

追いかけられていたクラスメイトをタイミングを見計らい転移魔法でそれぞれの家に飛ばした。


するとクラスメイトを追いかけていた這いずり回る女子生徒はキョロキョロしだし黒い渦の方を見た。

サニカは透明布団をしまうと這いずり回る女子生徒は三人の方に向かって来たがさっさと黒い渦の中に入っていった。


3人が黒い渦の中に入るとすぅ~と入口が消えてそのまま奥まで吸い込まれていった。














◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇








ルウカとラブナシカに転移させられたクラスメイト達はいつの間にかベットの中で寝ていたので夢オチだったんだなと無理やり思い込んで記憶に蓋をした。


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