過去にしくじった話〜赤いフリフリのエプロン〜
【とある一軒家】
《リビング》
「そう言えばラブにド直球に聞きたかった事があるんだがいいか?」
「応えられる答えだったら応えるわ」
「怪人についてだが…」
「サイコパスだと言われようとも別に何とも思ってないわ。
あのままだったらアナタ達が確実にしんでたのが見えたからヤるつもりでやったもの」
「……どういう事だ?」
「アナタ達は自然と避けてたみたいだけど、あの施設のとある隠し部屋に即死トラップの部屋が2つあったのわかってた?」
「何?オレの探知に掛からなかった部屋がまだ合っただと…」
「……逃げやすい場所をパルクールしてループしてたからわかんない」
「……本当に【ヒュプノスの人形】しかなくって不幸中の幸いね。サニカはどうやってカラダを鍛えるつもりなの?」
「多分だけどこの家の周辺をウロウロしていれば逃げ足も体術も鍛えられるよ」
「…………ねぇ…柳沢ちゃんの事なんだけど」
「死ぬかも知れないんだろ?」
「あっアナタっ」
「おう、オレ達はわかってて行かせたぜ」
「オレ達は?」
「私が掛けてる眼鏡は魔具だよ」
「だとしたら見えてたのにどうして…外に出したの」
「死相は見えたけど五分五分だったからそれに守り神がいるから……オレ達が高校三年の時の修学旅行でカズハの親友がある事件に巻き込まれてしんでるんだよ」
「え……でも」
「柳沢カズハは…親友がしんでることが認められず、生きていると思いこんで同じ就職した仕事仲間として今も認識してるし、その子が守護霊になってる」
ラブナシカはルウカとサニカを見て驚いた。
「……それでその事件現場はどこなの?」
「その事件が発生した場所に君もいたじゃないか」
「アタシもいたですって?…………………施設跡地っ!」
「そうだ、オレ達は当時まだ高校生だったし解散命令が出される前の施設内部に入ることすら出来なかったけどな。ほら当時の資料を読むと良い」
ルウカはアイテムボックスからいくつかの資料を取り出してラブナシカに渡して渡されたラブナシカは資料を読みだした。
「本当に当時は凄かったよ。なんてたって修学旅行中の数多の学校の中学生や高校生を言葉巧みに連れ去ってるから」
「被害にあったのはアナタ達が通ってた高校だけじゃないのね…どうして容赦なく数日のうちに解散命令が即決で可決されたのがわかったわ」
「数多の学校を巻き込んだものそうだけど、もう一つ理由があってね」
「えっまだなにかあったの?」
「その資料には書かれなかった事があってね。連れ去った中学生の中に有名な政治家の孫が居たんだ。
とある宗教団体もまさか実家と縁を切って一般家庭に婿入した元政治一家のご長男さんのご子息が居たとは思わかっただろうね」
「まさか」
「そのご子息は生きてたらしい。ギリギリセーフだったらしいけど」
「既に贄にされてた子が沢山いたのね」
「もしかしてだがその時に【外なる邪神】の召喚が成功していたのかも知れないな」
「…ふたりの話を聞いてどうして人の姿で邂逅してきたのかわかったわ。儀式が不完全に終って完全な状態では出てこれなかったからだったのね………ならアタシも直ぐに動かなきゃ♡」
「なっ何をする気だ」
「儀式を邪魔されたなら集めた魂がバラバラに散っていった筈よ。完全にこの世界に現れるために生贄にされてた魂の回収をしているはず。
柳沢ちゃんを襲っている魂狩をボコって回収したのをまるっと貰っちゃえばいいのよ…行くわよ」
「………お前は直ぐに動くよな」
「当たり前じゃない。善は急げよ」
するとラブナシカはフィトネスビキニの姿からラフな格好に着替え鼻歌交じりで外に出ていった。
「どうする」
「ついて行かなきゃ駄目だろうね」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
【とある三丁目】
「オーッホホホホ!やってやったわよ!」
「ひっ」
「ラブの奴、殺戮を尽くしてるぞ」
ふたりがたどり着くと既に殺戮が尽くされ邪神を信仰している輩がピクピクと体をピクらせて大切なナニカを失った絶望的な表情をしていた。
「……邪神を信仰しているのがこんなにもいたとは」
「ふっふたりともっ!」
「……アレ?いつもカズハと一緒にいたナギサは?」
「それが変なのが現れてナギサのお腹を突き刺したと思ったら黒いモヤになって消えちゃったのよ!」
「あぁ……君の身代わりになったのか…」
「えっ」
「ラブ、物を回収したのならこの場から引きたいんだが」
「そうね帰りましょ」
「アンタ達ーー!アタシの偽物に惑わされちゃ駄目よ!」
積み上げられていた信仰している輩を吹き飛ばし真っ赤なフリフリのエプロンを着たラブナシカが現れた。
増殖したラブナシカを見て三人は顔を引き攣らせた。
「厄介なのに化けたぞ」
「化けるにしてもラブナシカかカズハしか候補なかったから仕方ないね」
「しかたなくねぇーよ。信者に化けれたわよ」
「でも本物はわかってるよな」
「うん」
「え"っなんでわかるのよ」
「いやー…あの真っ赤なフリフリエプロンをマネるのはどんな種族でもマネることが出来ない唯一無二の手作りのオリジナルなのさ………よっと」
本物のラブナシカから投げつけられた魂が詰められている袋をルウカがキャッチした。
「えっ……そんな事ができる人がいたの?」
「手芸の神様って知ってるでしょ」
「300年前に実在した手芸の神様のオリジナルなの!?」
「興奮の度合いが凄いな」
「当たり前よ!300年前に作られた作品が今でも現役で使われてるし、新品同様のままでアーティファクト扱いされてるのよ!小さい品でも数百万はくだらないアンティーク品!」
「へぇー(アンティーク品としての価値高っ)」
「まさか…まだ見ぬ品があったなんてっ!」
「取り敢えず、この場所から移動しない?あの競技を見ながら過ごす?」
ラブナシカとラブナシカに化けた何者かがローションまみれになりながらガバディを始めたのが見えた。
「………移動しましょ」
三人はそそくさと場所を移動した。




