過去にしくじった話〜邂逅〜
【とある町】
《駅前》
「ふぃ~…やっと着いたし」
「そうですね。凶悪犯が逃走した事で警備が厳重になり、更には捜索がかなり広い範囲で行われてます…厳重すぎて進まなくて大変でしたね」
「何か買ってこ」
「はい」
ふたりが街頭テレビを見た後直ぐに電車に乗ることが出来たが、ラブナシカが逃走した事で厳重警戒処置が発令されて乗り継ぎに苦労した。
だがそんな中でも落ち着いてガタンゴトンガタンゴトンと電車に揺られながらも性別逆転している時に拠点としている一軒家がある地域に来れたのだった。
「どこ寄って行こう?」
「大型スーパーが良いですね。日用品、衣服、食料も買えるので凶悪犯が捕まるまで籠もれますし」
「それならすぐそこにあるから寄ってくし」
ふたりは駅前から歩いて15分の所にある大型スーパーに寄ろうとしが昼間なのに入口近くで夜のオネェ様たちが大人数で屯していた。
「……来る分には文句は言うまいさ。大型スーパーだもの来るもの拒まないだろうけど、あのオネェ様たちが陣取って屯しているのは流石に迷惑なんじゃないです?」
「流石に何があったし」
ふたりを含む他のお客様も大型スーパーに入れなくてヤキモキしているが流石に夜のオネェ様に立ち向かう輩は現れなかった。
「あら〜カワイイ男の子が居るじゃなーい」
サニカはルウカと共にさっと大型スーパーに入れずに集まっていた人混みに紛れこんだ。
「あら!逃げ足が早いこと!」
「もう、アンタが声をかけたから逃げちゃったじゃないの」
「本当にカワイイ男の子だったから」
「んも~」
大型スーパー前に大規模な人混みが発生したことで凶悪犯を捕まえるために人員を割けずにいた警察が動き女性警察官たちが現れた。
「どうして大型スーパーの入口近くで屯しているの!」
「凶悪犯が逃走したって言うニュースをみて怖いから日用品やらを買いに来たの。先にママ達が買い出しに出ているからここで待ってるだけよ」
「フードコートなどで待てないんですか?」
「待てないわよ。アタシたち以外の買い物客でいっぱいなんだもの」
ふたりはオネェ様と警察官の話を聞く前に人々の間をかき分けながら大型スーパーから離れて行く選択を取り、性別逆転したとき用の拠点に向かっていると嫌な感じがするとルウカがポロッと言い始めた。
「………どんなふうに嫌な感じがするのです?」
「なんとなく嫌な感じ?」
「…まぁ…性別逆転したとき用の家は「長期旅行しているので家を開けてます」と管理者を入れてますし…人間の感は時に凄いですからねぇ」
「それに真っ昼間から面倒事に巻き込まれそうになったし」
「またホテルにでも…」
ルウカとサニカは瞬時にクルッと後ろを向くと例の解散したはずのとある信者が怪しい白い布を手に持ち身構えていた。
ルウカは足を使い白い布を持つ手に向けて蹴り上げた。
「……何しとんねん、ワレ」
「ぁ……」
「ルウカ、なんで私たちの居場所がバレているのでしょうか」
「あーしにもわかんない。掛かってくるなら掛かって来い」
「ちょっ何を」
ルウカの挑発に触発されたのか、隠れていた信者がゾロゾロ現れた。
「こんなにも居たみたいだし」
「挑発しなくてもっ!」
「あーし達だけでも大丈夫!」
「大丈夫じゃねぇ!」
怪しい集団はふたりを捕まえようと襲いかかった。
サニカが戦うよりも逃げる選択をしたのをみてルウカは。
「ちょっ!逃げるなし!」
「本能は逃げろと言っているっ!」
ふたりがドタバタしていると信者に囲い込まれた!そしてふたりに襲いかかった。
サニカは襲いかかってきた相手をそのまま掴み巴投げして直ぐに立ち上がりルウカは背負い投げして見せた。
「やれば出来るじゃん」
「暴力沙汰はもう嫌なんじゃいっ!」
さらにとある信者たちは目がガンギまった状態でさらに襲いかかった。
コレはもう応戦するしかないとサニカは腹をくくった。
ルウカは既にケンカ拳法を使い応戦していた。
いくら暴れても警察官が来る気配はなく流石のルウカも限界が近づいてきてコレはと思い始めた。
「コレはお前の言う通りだったかもな」
「はぁ…だから言ったじゃないか…気絶させても直ぐに復活してくるし…どうなってるんでしょうか」
「さぁな……次行くぞ!」
ルウカが合図したが「まちなさーい!!」と聞き覚えのある声が聞こえてふたりはげんなりした。
信者たちはフィトネスビキニに子供用の仮面を付けた変態が現れたのを見てざわざわし始めた。
「うふふふふ…!愛の伝導心の一撃を喰らいなさーい!ラブイズオーバー!!」
「愛の伝導神が愛を伝える前に愛を終わらせたぜ」
フィトネスビキニ仮面の体から桃色のビームが放たれるとガンギまっていた信者達は吹き飛ばされ何処かへ飛んでいき、ルウカとサニカは電柱の影に隠れて無事だった。
そしてひとりの幹部らしきゴテゴテの衣装を着た輩だけがその場に残った。
「ほぅ……地球にいる間は一部の力を封じられてもこれだけの力があるのか。
まさか僕のモル…倒されて強くなっていた信者達が吹き飛ばされるとはねぇ」
「今回限りはとある地球の神様が助力してくれたのよ。日本の警察を掌握しているアンタに対抗するには必要だろうってね」
「それで脱走が出来たのか……今回はコチラに分が悪いみたいだから引こうかな…信者の回収も残ってるし。
誰にやらせようかなぁ」
ラブナシカとラブナシカが警戒している者が話をしているとルウカとサニカに向けて名前を名乗った。
「あっそう言えば、電柱に隠れているふたりに名乗っとくよ。
僕の名は布袋音猫…次に君たちと合う時はこの地球の命運を掛けた勝負をする時だろう。じゃあね〜」
布袋音猫はパチンっと指を鳴らしてから転移していった。
「ラブナシカ殿」
「…アタシを警察に突き出したのはアタシのことをラブと読んでくれたら水に流してあげるわ。抜け出すのに手間は掛からなかったし…それに何に巻き込まれたのか話さないとだもの」
「やっぱり巻き込まれてたんですね」
「あら〜…サニカが男の子になると童顔美人になるのねぇ」
「性別逆転している時に拠点としている場所から嫌な感じがしなくなったからラブを連れて帰るし」
「ルウカったら……見た目とギャルの話し方よね?が合ってないわよ」
「そんなのオレが一番わかっとるわ」
3人は性別逆転している時に拠点としている一軒家にむかっていったのだった。




